4. 高校生等奨学給付金の申請で確認しておきたいこと
対象世帯に当てはまっても、手続きをしなければ給付金は支給されません。申請の前に、次の3点を確認しておきましょう。
4.1 就学支援金とは別に申し込みが必要
高校生等奨学給付金は、授業料を支援する高等学校等就学支援金とは別々に申し込む必要があります。就学支援金の手続きを済ませていても、奨学給付金の申請は別に行います。
給付金の支給を希望する場合は、保護者等からの申し込みが必要です。
4.2 申請時期と提出先は都道府県や学校によって異なる
申請時期や提出先は、都道府県や学校によって異なります。多くの場合、7月1日時点の世帯の状況をもとに判定され、学校を通じて案内が配られます。
新入生は、4月から6月に一部を早期に受け取る申請ができます。早期支給を受けた場合も、残りの額を受け取るには改めて申請が必要になる場合があります。
また、給付金を支給するのは、生徒が通う学校の所在地ではなく、保護者等が住んでいる都道府県です。県外の高校に通っている場合は、お住まいの都道府県の窓口に確認しておくと安心です。
4.3 年度の途中で家計が急変した場合も対象になる
在学中に保護者等の失職や死別などで家計が急変し、対象となる世帯に相当するようになった場合も、支援を受けられます。
ただし、都道府県の案内では、自己都合による離職や定年退職など、災害などに起因しない離職は家計急変の対象にならないとしている例もあります。対象になるかは、学校または都道府県に確認しておきたいです。
5. 授業料が無償化されても残る教育費にどう備えるか
就学支援金と奨学給付金で負担は軽くなりますが、高校3年間にかかるお金はそれだけではありません。文部科学省の調査で、授業料以外にかかっている金額を確認してみます。
5.1 公立高校でも年間約60万円の学習費がかかっている
文部科学省「令和5年度子供の学習費調査」(令和8年1月16日訂正版)によると、全日制の高校に通う生徒1人あたりの年間の学習費総額は次のとおりです。
- 公立高校:59万6954円(うち学校教育費35万1523円、学校外活動費24万5431円)
- 私立高校:117万9261円(うち学校教育費83万2650円、学校外活動費34万6611円)
学校教育費には授業料のほか、通学関係費や修学旅行費、教科書・学用品費なども含まれます。塾や習い事などの学校外活動費も、公立・私立を問わず年間20万円を超えています。
5.2 給付金は「教育資金の一部」と考えて家計に組み込む
たとえば、公立全日制に通う年収380万〜490万円未満程度の世帯が受け取れる奨学給付金は、年3万5930円です。学習費総額と比べると、教育費の一部を補うものだと分かります。
給付金はありがたい支援ですが、それだけで高校3年間の教育費がまかなえるわけではありません。大学などへの進学も見据え、給付金を受け取れる年は家計の余裕分を教育資金として積み立てるなど、使い道をあらかじめ決めておくと、将来の負担を小さくしやすくなります。
6. まとめ
令和8年度からは、高等学校等就学支援金の所得制限が撤廃され、授業料以外の教育費を支える高校生等奨学給付金も、年収490万円未満の世帯まで対象が広がりました。
一方で、奨学給付金は就学支援金とは別に申し込みが必要で、申請時期や提出先も都道府県によって異なります。これまで対象外だった世帯ほど、制度が変わったことに気づかないまま申請の機会を逃してしまうかもしれません。
まずはご家庭の住民税の所得割額を確認し、学校から配られた案内や、お住まいの都道府県のホームページで、申請の時期と方法をチェックしてみてはいかがでしょうか。
参考資料
- 政府広報オンライン「令和8年度から、高校生等の修学支援が新しくなりました」
- 文部科学省「高校生等奨学給付金」リーフレット
- 文部科学省「結果の概要-令和5年度子供の学習費調査」
- 沖縄県「令和8年度 県立高等学校等奨学のための給付金(高校生等奨学給付金)」
和田 直子