配偶者を亡くされ、お子さんを育てながら遺族年金を受給されている方のなかには、「自分の年金とは別に、子どもの分も支給されるのだろうか」と疑問に思われる方も少なくありません。
日本年金機構が2026年6月22日に更新した「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」には、子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受け取っている間は、子には遺族厚生年金は支給されないと注記されています。
この記事では、受け取れる遺族の順位を確かめながら、なぜ子の分が別に出ないのかを整理し、世帯で受け取る額まで見ていきます。
1. 遺族厚生年金は最も優先順位の高い遺族が受け取る
はじめに、誰が受け取れるのかを確認します。
遺族厚生年金は、亡くなった方に生計を維持されていた遺族のうち、最も優先順位の高い方が受け取るしくみです。
1.1 順位は子のある配偶者から祖父母までの6区分
順位は上から、子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母となっています。
ここでいう子と孫は、18歳になった年度の3月31日までにある方、または20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の状態にある方に限られます。
1.2 遺族基礎年金を受け取れる方はあわせて受け取れる
遺族厚生年金と遺族基礎年金は別の制度なので、両方の要件を満たせばあわせて受け取れます。
遺族基礎年金の対象は、子のある配偶者と子です。子の定義は遺族厚生年金と同じです。
2. 妻または55歳以上の夫が受け取っている間、子には支給されない
ここからが本題です。
順位の上位に受け取る方がいる間、下位の方には支給されません。
2.1 注記に書かれている取り扱い
日本年金機構は、子のある妻または子のある55歳以上の夫が遺族厚生年金を受け取っている間は、子には遺族厚生年金は支給されないとしています。
つまり親が受け取っている間、子の分が上乗せされることはありません。子が2人でも3人でも、遺族厚生年金として世帯に入る額は変わらないことになります。
2.2 遺族基礎年金の子の加算とは別の話
一方で遺族基礎年金には、子の加算額があります。1人目および2人目の子は各24万3800円、3人目以降の子は各8万1300円です。
子の人数で増えるのは遺族基礎年金のほうで、遺族厚生年金ではありません。この2つを混ぜて考えると、受け取れる額を多く見積もってしまいます。
3. 子が1人いる世帯で受け取る額はいくらになるか
実際の金額でも確かめてみます。
亡くなった夫の平均標準報酬額が30万円で480月加入していた場合を例にします。
3.1 遺族厚生年金は年59万1948円
遺族厚生年金は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。この前提なら報酬比例部分は年78万9264円、遺族厚生年金は年59万1948円になります。
この額は妻が受け取り、子には遺族厚生年金として別に支給されることはありません。
3.2 遺族基礎年金と合わせた世帯の年額
遺族基礎年金は、昭和31年4月2日以後生まれの妻であれば基本額が年84万7300円です。子1人ぶんの加算額24万3800円を足すと年109万1100円になります。
遺族厚生年金の年59万1948円と合わせると、世帯で受け取る額は年168万3048円です。月額に直すと約14万254円になります。
子の人数で増えるのは遺族基礎年金の側だけです。年金証書が届いたら、遺族厚生年金と遺族基礎年金の欄を分けて読み、家族で共有しておくと見通しが立ちます。
