介護保険は2000年に始まった制度ですが、いまも見直しが続いています。

厚生労働省によると、社会福祉法等の一部を改正する法律が令和8年法律第51号として成立しました。ケアマネジャーの更新制の廃止や、有料老人ホームへの登録制度の導入など、利用する側に関わる変更が含まれています。

この記事では改正の3つの柱と主な見直しを確認したうえで、制度が変わっても入口であり続ける要介護認定の流れを見ていきます。

1. 【令和8年改正】ケアマネの更新制が廃止、有料老人ホームに登録制度

改正は介護だけでなく福祉全体にまたがります。まず全体の枠組みから確かめます。

1.1 趣旨は包括的な支援体制の強化

出発点は改正の目的です。

厚生労働省によると、改正の趣旨は、質の高い福祉サービスの確保と、社会福祉事業等の安定した経営基盤の確立を両立するため、多様で複雑な福祉ニーズに対応した包括的な支援体制を強化することです。

施行日は令和9年4月1日が原則ですが、改正事項によって異なります。項目ごとに時期が違う点は押さえておく必要があります。

令和8年改正は3つの柱。施行日は令和9年4月1日が原則1/1

令和8年の社会福祉法等の一部を改正する法律の3つの柱と、包括的な支援体制の拡充・福祉人材の確保・支援基盤の強化に含まれる主な見直し項目を並べた図

出所:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要について」などをもとにLIMO編集部作成

1.2 改正の概要は3つの柱に分かれる

構成を確かめます。

1つ目が地域の実情に応じた包括的な支援体制の拡充、2つ目が福祉人材の安定的な確保および定着支援、3つ目が支援基盤の強化等です。

1つ目に6項目、2つ目に3項目、3つ目に2項目が置かれています。介護に直接関わるものは1つ目と2つ目に集まっています。

1.3 小規模市町村では分野を超えた体制を作る

1つ目の柱の最初の項目です。

小規模市町村における包括的な支援体制の整備を促進する事業を新設するとともに、地域住民の支援等を検討する会議を全市町村で設置できるようにします。

あわせて、福祉各分野の相談支援・地域づくり事業の配置基準を分野を超えた基準へ柔軟化し、地域住民の取組との協働を促進するとされています。介護、障害、こども、生活困窮といった分野の区切りをまたぐ形です。

1.4 中山間・人口減少地域には特例の類型を作る

2つ目の項目は地域差への対応です。

中山間・人口減少地域において、地域の実情に応じた配置基準や包括的な評価の仕組みを導入できる特例介護サービスの類型である特定地域サービスを新設します。

また、地域のサービス提供主体が少ない場合に、市町村が事業として居宅介護サービス等を実施できる特定地域居宅サービス等事業を創設します。あわせて事業者間の連携強化や事業継続の仕組みを構築し、介護予防と地域の支え合いを一体的に実施する拠点事業を新設するとされています。

1.5 身寄りがいない高齢者への支援を事業に位置付ける

3つ目と4つ目の項目です。

頼れる身寄りがいない高齢者等に対する日常生活支援、入院等の手続支援、死後事務支援を第二種社会福祉事業に位置付けるとともに、相談体制の整備を図ります。

権利擁護の側も見直されます。成年後見制度や地域の権利擁護事業の適切な利用を支援する中核機関として、市町村が地域権利擁護相談支援センターを設置できるようにします。

1.6 有料老人ホームに登録制度が導入される

5つ目は施設に関わる見直しです。

中重度等の要介護者を入居させる有料老人ホームについて、都道府県等への登録制度を導入します。

また、その入居者に対する相談支援を行う登録施設介護支援を新設し、利用者負担を求めるとされています。新しいサービスであると同時に、費用の負担も生じる項目です。

1.7 被保険者証は電子資格確認へ

6つ目は計画と証書です。

介護サービス量等の中長期推計および医療・介護連携に関して介護保険事業計画を見直すとともに、電子資格確認の導入など、介護被保険者証に関する見直しを行います。

手元の被保険者証の扱いが変わる可能性がある項目です。認定を受けたあとに交付される証書にも関わってきます。

1.8 ケアマネジャーの更新制が廃止される

2つ目の柱には利用者に近い変更があります。

介護支援専門員の更新制を廃止し、法定研修の見直しを行います。ケアマネジャーの資格を維持するための更新手続きがなくなる形です。

人材確保の側も動きます。福祉人材確保のための協議会の設置を都道府県の努力義務とするとともに、生産性向上や経営改善支援等の取組促進を国および都道府県の責務とします。介護福祉士養成施設卒業者については、令和13年度までの卒業者を経過措置として卒業後5年間は資格を持てることとし、准介護福祉士資格を廃止します。

1.9 制度が変わっても、入口は要介護認定のまま

3つ目の柱では、社会福祉連携推進法人が実施できる業務を追加し、社会福祉法人解散時の残余財産の帰属先に地方公共団体を追加します。また災害派遣福祉チームとして活動する人材登録制度を整備します。

ここまでが令和8年改正の概要です。事業の類型が増え、施設に登録制度が入り、資格の運用も変わります。

ただしサービスを使い始めるための入口は変わりません。介護保険のサービスを使うには要介護認定を受ける必要があります。申請してからどれだけの手順と日数がかかるのかを確かめておきます。

なお、要介護認定の申請から結果通知までの流れに関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

要介護認定は申請すればすぐに介護サービスが使える?実際は認定調査・主治医意見書・一次判定・二次判定を経て原則30日程度かかる。有効期間があり更新を忘れると失効する注意点も解説
要介護認定は申請すればすぐに介護サービスが使える?実際は認定調査・主治医意見書・一次判定・二次判定を経て原則30日程度かかる。有効期間があり更新を忘れると失効する注意点も解説