2. 銀行預金とNISAの単純比較はNG 両者のメリットを再確認

銀行預金は利率が引き上げられたものの、実績から見ると、利回りは新NISAの方が高くなっています。

ただし、両者は性質が全く異なるため、単純な比較は厳禁です。

2.1 銀行預金の武器は「安全性」 財務規制による高い健全性と「預金保険」の双璧

銀行預金の大きな特徴は、元本が保証されていることです。銀行は将来の元利金の支払いを約束して預金を集めており、預金者は元本割れのリスクを負うことなく運用できます。

なお、銀行預金には預け先となる銀行の信用リスクは伴います。もっとも、銀行は自己資本比率規制など、財務健全性を一定以上に保つことが義務づけられており、一般の事業会社と比べると、破綻の可能性は極めて低水準といえます。

さらに、仮に銀行が破綻した場合も、銀行預金は原則として預金保険制度による補償が受けられます。この二重の仕組みにより、銀行預金の安全性は高く維持されています。

2.2 NISAの武器は「期待リターン」 リスク資産への強制投資で高い運用益を目指す

一方、NISAには元本保証がありません。対象商品は個別株式または投資信託であり、いずれも元本が保証された銘柄はなく、元本割れのリスクが伴います。

特に「つみたて投資枠」の対象商品には、株式に投資しない銘柄はありません。債券など、別の資産と組み合わせたバランス型はありますが、一定以上は株式に投資することとなります。株式は一般にリスクが高い資産であり、投資には慎重な判断が求められます。

一方で、リターンに期待できるのもNISAの特徴です。元本割れのリスクを負いますが、先述のとおり、これまで高い運用実績を残してきました。

銀行預金とNISAで優劣を決めるのではなく、特徴に応じて両者をうまく使い分け、資産形成に活用したいところです。

なお、NISAの対象商品に個人向け国債を加えるべきとの議論はあります。こちらの見通しは不透明ですが、注目したいポイントといえるでしょう。

3. 金利上昇で「MRF」に再開の動き 第3の選択肢として注目

実は証券会社にも銀行預金に近い「公社債投信(公社債投資信託)」という商品があります。公社債投信は、株式が一切組入れられず、短期金融商品といったリスクの低い資産のみで運用される、元本の安全性を重視した商品です。

公社債投信は、低金利が続いた影響から買付停止が相次ぎました。しかし、足元で再開の動きがあります。例えば、公社債投信の一つであるMRF(マネー・リザーブ・ファンド)は、ネット証券の一角が2026年に新規の受け付けを開始しています。

公社債投信は、一般に普通預金よりは高い利回りに期待できます。NISAの対象外ですが、銀行預金も同様であり、証券口座内で購入できるため、入出金の手間を省けるのも利点です。銀行預金とNISAの二者択一ではなく、今後はMRFも含めて検討したいところです。

若山 卓也

MRFは、証券口座における待機資金の受け皿という位置づけです。資金を自動で振り替える機能があり、購入代金の充当や売却代金の受け入れといった手続きを自動的に行います。株式や投資信託に回らない資金も利回りが発生するため、無駄なく運用できることがメリットです。

ただし、公社債投信は安全性が高い商品とはいえ、元本保証ではありません。過去には「エンロン・ショック」で公社債投信の一部が元本を割り込むこともありました。購入は、運用資産としての性格を持つ資金を中心に考え、安全性を過信しないことが大切です。

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本記事は情報提供を目的としたものであり、特定の投資手法や金融商品の購入を推奨・勧誘するものではありません。制度内容については執筆時点の情報に基づいておりますが、最新の詳細は所管官庁等の公式情報をご確認ください。投資や税務に関する最終的な決定は、読者ご自身のご判断と責任において行っていただきますようお願いいたします。

参考資料

若山 卓也