2. 老後資金づくりのために、いまから確認しておきたい3つのステップ

分布を見て「公的年金だけで乗り切るのは難しそうだ」と感じた方も多いでしょう。とはいえ、何から手をつければよいか分からないまま、なんとなく貯蓄を続けているという声もよく聞きます。ここでは、順番に踏んでいきたい3つのステップを整理します。

2.1 ステップ1:「ねんきん定期便」で加入記録と見込額を確認する

最初に取り組みたいのが「ねんきん定期便」の確認です。これまでの加入記録に加えて、将来受け取れる年金の見込額が記載されています。50歳以上の方であれば、現在の加入条件が60歳まで続いた場合の見込額が示されます。

年金額は毎年度改定され、制度自体も社会情勢に合わせて見直されます。まずは現時点での数字を実際に目で確かめることが第一歩です。

2.2 ステップ2:見込額と目標額のギャップを定期的に見直す

ねんきん定期便は毎年届きます。年に1度など時期を決めて、見込額を確認する習慣をつけておきましょう。

そのうえで、老後に必要と考える金額との差を確かめます。いまの準備のペースで足りるのか、それとも積立額を増やす必要があるのか。この判断は、差額が数字になってはじめてできるようになります。

2.3 ステップ3:働き方や制度の変化に合わせて準備の方法を調整する

転職や独立、勤務時間の変更などで加入する年金制度が変われば、見込額も変わります。ライフイベントのたびに確認し直し、NISAやiDeCoといった制度の使い方も合わせて見直しておくと、想定とのずれが小さく済みます。

公的年金の実態を知らないまま準備を進めることが、いちばん避けたいところです。まずはご自身の見込額を知ることから始めましょう。

3. まとめにかえて

今回は、厚生年金の受給額分布と、老後資金づくりの3つのステップを確認してきました。

受給権者の81.2%がひと月20万円未満で、月10万円に届かない人は19.0%。月20万円以上の18.8%をわずかに上回っていました。国民年金のみを受け取っている人まで含めれば、低い側の割合はさらに増えます。

厚生年金は報酬比例で決まる制度ですから、ばらつきが大きいのは当然です。平均額をご自身の金額として当てはめないことが、準備の出発点になります。

長井 祐人

準備をいつ始めるかで迷っている方には、まず数字を出しましょうとお伝えしています。

「ねんきん定期便」の見込額と、いま1カ月に使っている金額。この2つを並べると、毎月いくら足りないかが出ます。次に、その不足額に老後の年数を掛けて総額を出す。ここまで来ると、あと何年でいくら積み上げる必要があるかが逆算できます。

(例)年金見込額(毎月15万円) 支出(毎月20万円)

・収入:15万円 - 支出:20万円 =毎月不足金額:5万円

→毎月不足金額5万円 × 12か月 × 老後年数:30年間 = 1800万円

ご相談でも、この逆算ができた方から準備が動き出しています。まずはご自身の不足金額を確認して、老後いくら不足するのかを計算してみましょう。

不足を埋める手段としては、NISAやiDeCoといった税制優遇制度の活用、家計の見直し、就労期間を延ばして厚生年金の加入期間を延ばすことなどが挙げられます。

まずはご自身の見込額を確かめるところから始めてみてはいかがでしょうか。

参考資料

長井 祐人