4. 通知書の金額は「振込予定日時点の予定額」
年金振込通知書に並んでいる金額について、日本年金機構はこう説明しています。
年金振込通知書に記載されている金額は、振込予定日時点の予定額です。各支払期において支払額に変更がない場合は、記載の金額を受け取れます。各支払期において支払額に変更があった場合は、その都度、年金振込通知書を送付します。
出所:日本年金機構「年金Q&A(年金振込通知書に記載されている金額は必ず受け取れますか。)」
目を留めたいのは「予定額」という言い方です。通知書は、その時点で見込まれている金額を並べた紙であって、1年ぶんの入金を確定させた紙ではありません。それでも、動かなければ書かれたとおりの金額が入る、とも書かれています。並んでいるのは、いまのところこの金額です、という知らせに近いものです。通知書を開くときは、金額そのものより、この前置きのほうを先に思い出しておくと、あとで金額が変わったときに戸惑わずにすみます。
金額が動いたときは、そのたびに新しい通知書が届きます。手元の1枚が最後とは限りません。
1年ぶんの金額が並んでいると、決まったものとして受け取ってしまいます。けれども通知書の側は、あくまで予定として出しているという立て方です。
変更があったときに新しい通知書が届くのは、裏を返せば、届いた時点でその金額に更新されたという合図でもあります。古い1枚と新しい1枚が手元に残るので、どちらが最新かは日付で確かめることになります。
予定額という言い方には、もうひとつ含みがあります。支払額に変更がない場合は、書かれている金額をそのまま受け取れる、と説明されています。つまり全員の金額が動くわけではありません。動く方に新しい通知書が届き、動かない方には届かない、という分かれ方です。
届かなかったから見落としている、ということでもありません。手元の1枚がそのまま効いている、という合図として受け取れます。
5. 【年金振込通知書】金額が変わるのは、どの項目か
年金から差し引かれる保険料には、1年を2つに割った区切りがあります。厚生労働省の資料によると、4月から9月までが仮徴収、10月から翌年3月までが本徴収の期間です。仮徴収は前年度をもとにした金額、本徴収はその年度の金額から仮徴収ぶんを引いた残りです。
切り替わるのは介護保険料だけではありません。同じ資料が本徴収の対象として挙げているのは、介護保険料・後期高齢者医療保険料・国民健康保険料の3つで、通知書の2番と3番にあたります。日本年金機構はさらに、個人住民税額と森林環境税額を加えた5つを、年金から特別徴収されるものとして挙げています。通知書の5番です。10月に変わりうる欄は1つではありません。
年金Q&Aの結びも、介護保険料に限った言い方にはなっていません。
市区町村が決定したその年の介護保険料額は、10月の年金支払分からの特別徴収額に反映する仕組みになっているため、特別徴収する保険料は10月から変更される可能性があります。
出所:日本年金機構「年金Q&A(8月(および9月)に届いた年金振込通知書は、8月分(および9月分)の支払額のみ記載されており、10月以降の支払額は記号の記載になっています。これはなぜですか。)」
これらが動けば、いちばん下の控除後振込額も動きます。年金支払額そのものが変わらなくても、手元に入る金額は変わる、という形になります。
所得税額および復興特別所得税額も、上の項目につられて動きます。年金支払額から社会保険料と各種控除額を差し引いたあとの金額に5.105%を掛けて計算されます。ここでいう社会保険料は、介護保険料と、後期高齢者医療保険料または国民健康保険料を天引きした分の合計です。
10月に動きはじめるのは差し引かれる保険料の欄ですが、そこから連鎖して所得税額も、控除後振込額も動くこともあります。
6. 10月に届いた通知書で確かめる3つ
10月上旬に新しい通知書が届いたら、順番に見ていくと分かりやすくなります。
はじめに、控除後振込額を見てください。差し引かれたあとの、実際に口座へ入る金額です。通帳やアプリで見た数字と突き合わせるなら、比べる相手はこの欄になります。
次に、同じ紙の上にある前回支払額と並べます。前回の定期支払月、つまり8月に入った金額です。ここに差があれば、6月から10月のあいだで何かが動いたことになります。
そのうえで、上の項目を1つずつ確かめます。介護保険料額が動いているのか、後期高齢者医療保険料や国民健康保険料なのか、住民税と森林環境税なのかー差し引かれる項目のどれが変わったのかをみてみましょう。
金額の増減について確かめたいことがあれば、年金の支払いそのものは年金事務所、介護保険料や住民税をいくらにするかは住んでいる市区町村の窓口が相談先になります。手元に通知書を置いてから連絡すると、話が早く進みます。
受け取る金額が動くこと自体は、めずらしいことではありません。保険料や税が毎年決め直される仕組みである以上、そこに連動して振込額も動きます。
7. 編集部よりコメント
この記事で具体的な金額を挙げていないのは、通知書に載る数字が一人ひとり違うためです。1番目の年金支払額は差し引く前の金額で、そこから引かれる保険料や住民税の決め方は自治体ごとに違います。年金額が同じでも、6番目の控除後振込額はそろいません。平均や目安で語れる種類の数字ではない、ということです。
10月は、年金から差し引かれる保険料が仮徴収から本徴収に切り替わる月です。介護保険料だけでなく、後期高齢者医療保険料や国民健康保険料も同じ区切りで動きます。年金額そのものの改定とは別の動きなので、年金が増えても減ってもいないのに、手元に入る金額だけが変わることがあります。どの項目が動いたのかまで見ておくと、たずねる先が年金事務所と市区町村のどちらになるかも見当がつきます。
参考資料
- 日本年金機構「年金Q&A(年金はいつ支払われますか。)」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「年金Q&A(8月(および9月)に届いた年金振込通知書は、8月分(および9月分)の支払額のみ記載されており、10月以降の支払額は記号の記載になっています。これはなぜですか。)」
- 日本年金機構「年金Q&A(年金振込通知書に記載されている金額は必ず受け取れますか。)」
- 日本年金機構「年金からの介護保険料、国民健康保険料(税)、後期高齢者医療保険料、住民税および森林環境税の特別徴収」
- 厚生労働省「保険料(税)の特別徴収 ~図解資料~」
宮野 茉莉子
