3. 移管を選ぶか中途換金を選ぶかで手元に残る金額が変わる

2つの方法には、金額の面でもはっきりした違いがあります。額面100万円・適用利率が年1.95%の変動10年を例に見ていきます。

3.1 移管なら中途換金調整額は差し引かれない

相続人の口座へ移管する場合は、国債がそのまま引き継がれます。額面100万円はそのまま残り、年1.95%の利子も続きます。

中途換金をしないので、中途換金調整額が差し引かれることもありません。満期まで持ち続けることもできます。

3.2 中途換金なら1万5538円が差し引かれる

中途換金を選ぶと、直前2回分の各利子(税引前)相当額に0.79685を掛けた金額が差し引かれます。

適用利率が年1.95%なら、半年分の利子(税引前)は9750円です。直前2回分の1万9500円に0.79685を掛けると1万5538円になります。

これは第3期利子支払日以降に換金する場合の金額で、発行から日が浅いうちは別の計算式が使われます。なお、換金に手数料はかからず、1万円単位で一部だけ換金することもできます。換金金額を受け取れるのは、申し込んだ日を含めておおむね3営業日後です。

4. 【元銀行員の視点】口座のある金融機関が分からないと手続きが止まる

移管も中途換金も、口座のある取扱機関で手続きします。実務でつまずくのは、金額よりも先に、どこに口座があるかという点です。

4.1 取引報告書や残高のお知らせから取扱機関を探す

個人向け国債は、証券会社や銀行、郵便局などの金融機関に開設した国債の口座で管理されています。書類が手元に残っていれば、そこに取扱機関の名前が書かれています。

持っていること自体は家族に伝えていても、どこの口座かまでは共有されていないことがあります。

4.2 口座名義人が亡くなった場合は1年未満でも中途換金できる

個人向け国債には中途換金ができない期間がありますが、口座名義人が亡くなった場合は、その期間中であっても中途換金が可能です。

申請の際には、相続人たる地位を証明する書類などが必要になります。財務省は、手続きが金融機関によって異なる場合があるため、口座を開設している取扱機関に尋ねるよう案内しています。

5. まとめにかえて

個人向け国債は1万円から1万円単位で譲渡や相続ができ、保有者が亡くなった場合は相続人の口座へ移管することもできます。

移管であれば額面がそのまま残り、利子も続きます。中途換金を選ぶと、適用利率が年1.95%で額面100万円の場合は1万5538円が差し引かれる計算になります。

令和8年9月募集分の適用利率は、固定5年が年2.24%、固定3年が年1.96%、変動10年が年1.95%でした。どちらを選ぶかを決める前に、口座のある取扱機関で手続きと金額を確かめてみてはいかがでしょうか。

参考資料

和田 直子