3. 資産の保有状況の勘案も将来の課題に位置づけられている
所得ではなく、持っている資産そのものを見るという論点もあります。基本方針はこれにも触れています。
3.1 資産保有による経済力の勘案は金融所得の取組を通じて対応するとされている
基本方針には、資産保有による経済力の勘案について、金融所得の勘案に向けた取組を通じて対応すると書かれています。
そのうえで、資産自体の保有状況を勘案した対応については、金融所得に関する取組の状況等を踏まえつつ、将来の課題として検討を行うとされています。
3.2 当初から資産を勘案すべきという意見も記録されている
基本方針に付された中間とりまとめには、総所得について、金融所得、預金の利子所得、資産の保有状況を勘案した給付付き税額控除を当初から導入すべきとの意見があったと記載されています。
意見として記録されたうえで、制度の設計は段階的に進める形が選ばれたことになります。
4. 総所得が一定額を超えると給付は逓減して消失する
対象になる所得の種類と並んで、いくらまでが対象になるのかも設計の柱です。
4.1 勤労性の所得が一定の水準に達するまで給付額は逓増する
基本方針は、原則として所得に応じた給付額とするとしています。就労促進の観点から、勤労性の所得が一定の水準に達するまで給付額を逓増させ、その後は定額とするとされています。
働いて収入が増えるほど給付が減るという形にしない、という考え方です。
4.2 閾値となる所得水準は基本方針の段階では決まっていない
総所得が一定額を超える場合には、公平性の観点から、総所得に応じて逓減・消失させるとされています。
ただし、その閾値となる所得水準も給付額も、基本方針では今後検討するとされている段階で、具体的な数字は示されていません。
5. 運用している人が給付付き税額控除の続報を読むときの見方
まだ額が決まっていない制度ですが、どの記述を追えばよいかは絞り込めます。
5.1 判定に使われる所得の種類が広がるかどうかを見る
いまの基本方針では、判定の中心にあるのは勤労性の所得です。金融所得や利子所得が加わるとすれば、それは制度を精緻化する段階の話とされています。
大綱や法律案でこの範囲がどう書かれるかが、運用している方にとっての確認点になります。
5.2 医療保険の側の動きもあわせて見ておく
基本方針は、金融所得の勘案について、医療保険における取組が進んでいることを理由に挙げています。
医療保険の側でどこまで金融所得が勘案されるようになるかが、給付付き税額控除の設計にも関わってくるという書き方です。
6. まとめ
令和8年8月5日に閣議決定された給付付き税額控除の基本方針では、対象を一定の勤労性の所得があり、一定の税・社会保険料負担がある者としています。
勤労性の所得には給与所得と事業所得のほか、業務に係る雑所得も含まれ、個人事業者やフリーランスも対象とされました。
金融所得は制度を精緻化する中で対応、預金の利子所得は遠くない将来の課題、資産の保有状況は将来の課題という位置づけです。
給付額と閾値となる所得水準は決まっていません。9月に決定される大綱と、その後に提出される法律案で確定した内容が示されます。
参考資料
和田 直子