3. 労災保険と厚生年金保険では、対象になる遺族の範囲が違う
両方の制度から年金が出る場合でも、受け取れる遺族が同じとは限りません。
3.1 遺族厚生年金の優先順位は6つに分かれる
日本年金機構は、遺族厚生年金を受け取れる遺族として、子のある配偶者、子、子のない配偶者、父母、孫、祖父母を挙げ、最も優先順位の高い方が受け取ることができるとしています。
子については、18歳到達年度の末日までの方、または20歳未満で障害等級1級・2級の方が対象です。
3.2 労災保険は妻以外に年齢や障害の要件がある
厚生労働省は、遺族(補償)等給付の受給資格者として配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹を挙げています。遺族厚生年金にはない兄弟姉妹が含まれている点が違いです。
そのうえで、妻以外については労働者の死亡の当時に一定の高齢または年少であるか、あるいは一定の障害の状態にあることが必要としています。年金を受け取れるのは、故人の収入で生計を維持していた遺族のうち最先順位者です。
遺族(補償)等年金を受け取る方がいない場合は、遺族(補償)等一時金が最先順位者に支払われます。
4. 請求先が年金事務所と労働基準監督署に分かれる
2つの制度は所管が違うため、手続きも別々に進めることになります。
4.1 遺族厚生年金と遺族基礎年金は年金事務所へ
遺族厚生年金の請求先は年金事務所または街角の年金相談センターです。遺族基礎年金のみを請求する場合は、市区町村の窓口でも受け付けています。
請求には戸籍謄本や住民票、死亡診断書の記載事項証明書などが必要になります。必要書類はケースによって変わるため、事前に問い合わせてから出向くと確実です。
4.2 遺族(補償)等給付は労働基準監督署へ
労災保険の遺族(補償)等給付は、勤務先を所管する労働基準監督署が請求先です。年金事務所では受け付けていません。
どちらか一方だけを請求して終わらせてしまうと、受け取れるはずのものが残ることになります。業務や通勤が原因である可能性があるときは、両方の窓口に相談しておくと安心です。
5. まとめ
業務上または通勤が原因の死亡では、労災保険の遺族(補償)等年金と、公的年金の遺族厚生年金・遺族基礎年金を両方受け取れます。
このとき減額されるのは労災保険の側です。調整率は、遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方を受け取る場合が0.80、遺族厚生年金のみが0.84、遺族基礎年金のみが0.88となっています。遺族厚生年金と遺族基礎年金は全額を受け取れます。
対象になる遺族の範囲も請求先も、2つの制度で違います。年金事務所と労働基準監督署の両方に確認しておくと、手続きの抜けを防げます。