6月も下旬に入り、本格的な夏の訪れが近づいてきました。今月の年金支給日より「老齢・障害・遺族」の3種類の年金が今年度の改定額で支給されています。
近年の物価や賃金の動向を反映し、遺族年金や関連する手当も引き上げられています。
この記事では、2026年度の遺族年金の改定内容を解説するとともに、2028年度から予定されている制度改正がご自身の世帯にどのような影響をおよぼすのか、事前に確認すべきポイントをまとめました。
1. 【2026年度】遺族基礎年金「年間約84万7000円」へ増額
2026年度の改定で、18歳の年度末までのお子さんがいる配偶者などを対象とした「遺族基礎年金」の金額が見直されました。
- 2026年度:84万7300円+子の加算額
- 年間の増額分:約1万5600円
なお、昭和31年4月1日以前に生まれた方は84万4900円です。
会社員や公務員だった方が対象の「遺族厚生年金(報酬比例部分)」も、改定率に基づき2.0%引き上げられます。
1.1 配偶者と子ども2人世帯の受給額シミュレーション
遺族基礎年金は、お子さんの人数に応じて加算額が上乗せされる仕組みです。
例えば「配偶者と子ども2人」の世帯の場合、基本となる年金額に第1子・第2子の加算額(それぞれ年額24万3800円)が追加されます。
これにより、合計で年間約133万4900円が支給される計算となり、教育費や生活費の支えとなります。
2. 【2026年度】遺族年金生活者支援給付金とは?年間約6万7000円の上乗せも
遺族年金生活者支援給付金は、所得などの条件を満たす遺族基礎年金の受給者の生活を支援するための制度です。
- 2026年度の月額:5620円(前年度比+170円)
年額に換算すると約6万7440円となり、大幅な増額ではありませんが、食費や光熱費といった生活費の足しになるでしょう。
子ども2人が遺族基礎年金を受け取るケースでは、月額5620円を人数で按分した金額がそれぞれに支給されます。
2.1 遺族年金生活者支援給付金はどの世代が多く受給している?(令和7年3月時点)
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、遺族年金生活者支援給付金の受給者総数は7万7707件です。
では、どの年齢層の受給者が多いのでしょうか。
年齢階級別の内訳を見ていきましょう。
- 30歳未満:6216件
- 30~39歳:7881件
- 40~49歳:3万4072件(最多)
- 50~59歳:2万7828件
- 60歳以上:1710件
最も多いのは40歳代で、次いで50歳代となっています。
これらの世代は教育費や住宅ローンなどの支出がかさみやすく、家計の管理が重要になる時期といえるかもしれません。
3. 【2028年度】遺族厚生年金の新制度「影響を受ける人・受けない人」の違いをみる
2028年4月1日から、社会の変化や共働き世帯の増加といったライフスタイルの多様化に対応するため、遺族厚生年金の制度が段階的に見直される予定です。
3.1 原則「5年間の有期給付」へ移行
お子さんのいない若年層や中年層の配偶者を対象に、従来の終身給付から原則として5年間の有期給付へと変更されます。
ただし、この5年間は「有期給付加算」が新たに設けられ、毎月の受給額は現行の約1.3倍に増える見込みです。
これは、生活を立て直すための一定期間、重点的に支援することを目的としています。
今回の制度改正は、主にこれから新たに受給権が発生する方が対象です。
すでに受給中の方や一定の年齢以上の方については、生活への急激な変化を避けるため、数十年単位の経過措置が設けられるなど、十分な配慮がなされる予定です。
3.2 新制度で影響を受ける可能性があるのはどんな人?
2028年4月1日以降に新たに受給権が発生する、次のような世帯が対象になる見込みです。
- 女性(妻): 夫の死亡時に「40歳未満」で、お子さんのいない妻(段階的に対象拡大予定)。
- 男性(夫): 妻の死亡時に「60歳未満」の夫。
※従来は55歳未満では受給できないなどの制限がありましたが、要件が緩和され対象が拡大します。
お子さんのいない世帯では、生涯にわたる給付から、5年間の「重点的な有期給付」へと制度が再構築されます。
3.3 新制度でも影響を受けないケースとは
次に該当する方々は、2028年4月以降も現行の制度が維持されるか、改正の対象外となる予定です。
- 受給中の方: 既に遺族厚生年金を受給されている方。
- 子育て世帯: 18歳年度末までのお子さんがいる方。
- 高齢世代: 配偶者の死亡時に「60歳以上」である方。
- 特定の年齢層: 2028年度時点で「40歳以上」の女性。
3.4 補足:継続的な支援が必要な場合の特例措置
原則は5年間の有期給付への移行となりますが、5年が経過した後も、障害年金を受給している場合や、単身で年収が約122万円以下(目安)であるなど、特定の条件を満たす場合は、継続して受給できる仕組みが検討されています。
4. まとめにかえて
2026年度の年金額改定は、物価上昇が続く中、遺族の方々の生活を支える一助となるでしょう。
さらに、2028年度から導入される新制度は、家族構成や働き方の多様化に対応し、より公平で、必要なタイミングで手厚い支援を行う仕組みへと変わるものです。
遺族年金の受給権が再婚や事実婚で消滅する基本ルールは維持されますが、支給期間や金額などの細かな規定は、今後も社会情勢に応じて見直される可能性があります。
常に最新の情報を確認しておくことが、将来設計や万が一の備えにつながります。
参考資料
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」
- 日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」
- 日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」
村岸 理美