もしもの時、ご自身や大切なご家族がいくら受け取れるのか、不安を感じたことがある方は多いのではないでしょうか。6月の年金支給から遺族年金などの公的年金額が増額されることとなりました。

今回は、厚生労働省や日本年金機構の最新の調査結果をもとに、2026年度の遺族年金の改定額と、将来的に導入される「5年間の有期給付化」という新しい制度の仕組みについて分かりやすく解説します。

1. 【遺族基礎年金】6月15日から変わる支給額「年額84.7万円」+子の加算額

遺族基礎年金額(2026年度4月分から)1/2

遺族基礎年金額(2026年度4月分から)

出所:日本年金機構「遺族基礎年金(受給要件・対象者・年金額)」

令和8年度(2026年度)の改定により、18歳年度末までの子がいる配偶者などが対象となる「遺族基礎年金」の額が引上げられます。

  • 2026年度:84万7300円+子の加算額
  • 年間の増額分:約1万5600円(月1300円増額)

※昭和31年4月1日以前生まれの方は84万4900円となります。

また、会社員や公務員の方が加入していた場合に支給される「遺族厚生年金(報酬比例部分)」についても、改定率に従い2.0%の引き上げとなります。

1.1 配偶者と「子ども2人」世帯、合計でいくらもらえる?

例えば、配偶者と子ども2人の世帯であれば、子の加算(1人につき24万3800円)を合わせて年間約133万4900円が支給されます。物価高が続く中、生活の基盤を支える貴重な財源となるでしょう。

2. 【遺族厚生年金】「5年間の有期給付」は本当か?制度改正で「影響ある・なし」はどんな人?

2028年4月以降、共働き世帯の増加といった社会背景に合わせ、遺族厚生年金の仕組みが段階的に変化します。

2.1 「5年間の短期集中型」にシフト

子のいない若年・中年層の配偶者を対象に「原則5年間の有期給付」へと改められます。ただし、この5年間は「有期給付加算」が新設され、月々の受給額は現在の約1.3倍に増額される予定です。これは「生活再建のための集中支援」という位置づけです。

遺族厚生年金の見直し2/2

遺族厚生年金の見直し

出所:厚生労働省「遺族厚生年金の見直しについて」

また、今回の制度改正は、将来の新規受給者を主な対象としています。現在すでに受給されている方や、一定の年齢以上の方に対しては、生活への急な影響が出ないよう、数十年の経過措置を設けるなど十分な配慮がなされています。

2.2 今回の改正で「影響を受ける」可能性がある方

2028年4月1日以降に、新しく受給権が発生する以下の世帯が対象となります。

  • 女性(妻): 夫の死亡時に「40歳未満」の、子どものいない妻(※段階的に対象が拡大される予定です)。
  • 男性(夫): 妻の死亡時に「60歳未満」の夫。
    ※これまでは55歳未満だと受給できない等の制限がありましたが、今後は受給要件が緩和され、対象が広がります。

子どものいない世帯については、生涯給付から、5年間の「重点的な有期給付」へと仕組みが再編されます。

2.3 今回の改正で「影響を受けない」方

すでに受給している方や、特定の条件を満たす方は、引き続きこれまでの仕組みが適用されます。

  • 受給中の方: 既に遺族厚生年金を受給されている方。
  • 子育て世帯: 18歳年度末までのお子さんがいる方。
  • 高齢世代: 配偶者の死亡時に「60歳以上」である方。
  • 特定の年齢層: 2028年度時点で「40歳以上」の女性。

また、5年経過後も、障害年金の受給者や低所得(年収目安122万円以下)の単身者など、継続的な支援が必要な方には個別の配慮がなされる方針です。

3. 年金制度改正の前に「加入状況・将来への備え」を確認しよう

今回は2026年度の遺族年金増額と、将来控える遺族厚生年金の見直しについて解説しました。2026年度には遺族基礎年金が引き上げられ、子育て世帯へのサポートが手厚くなります。

一方で、子どものいない若年層の配偶者向けには、終身給付から5年間の短期集中給付へと制度が大きく移行します。

まずはねんきん定期便などを活用し、ご自身の現在の加入状況や将来の受給見込みを確認してみましょう。万が一の際の公的保障を正しく把握することで、民間保険の見直しなど賢い家計管理へと繋げていくことができます。

参考資料

村岸 理美