「夫婦二人分の年金があれば、老後もなんとかなるだろう」――そう考えている共働き世帯の方は少なくないかもしれません。

厚生労働省の資料によれば、厚生年金の平均年金月額は15万289円です。夫婦のキャリアや厚生年金の加入期間によっては、二人合わせて月22万円程度の年金を受け取るケースも珍しくありません(例:一方が平均的な厚生年金、もう一方が期間の短い厚生年金や国民年金などの場合)。

しかし、夫婦世帯の生活費の目安として月25万円前後という数字がたびたび参照され、年金だけでは毎月数万円の差額が生じることも多いのが実情です。かつて話題になった「老後2000万円問題」も、まさにこうした夫婦世帯の年金と生活費の差額を前提とした試算でした。

この記事では、仮に夫婦の年金を月22万円、生活費を月25万円とした場合に生じる「毎月3万円の不足」を軸に、65歳で完全にリタイアする場合と、70歳まで5年間働き続けた場合とで、老後資金の必要額がどれだけ変わるかを試算していきます。

和田 直子

「夫婦なら年金も2人分あるから大丈夫」と思われがちですが、金融メディアで一次資料を読み解く中では、夫婦世帯でも数万円単位の不足が生じるケースは珍しくないと感じています。とはいえ、その不足額は「資産」だけでなく「年金」「労働収入」を組み合わせることで、必要な備えを大きく圧縮できる場合があります。

まずは65歳以降の働き方によって必要な老後資金がどう変わるのか、具体的な試算から確認していきましょう。

1. この記事の3つのポイント

  •  夫婦の年金を月22万円、生活費を月25万円とすると、毎月3万円の不足が生じる
  •  65歳から70歳まで5年間、月5万円の収入を得て働くと、その5年間はむしろ黒字になる
  •  資産・年金・労働収入の組み合わせ方次第で、必要な老後資金は数百万円単位で変わる