仕事中や通勤の途中の出来事が原因で家族を亡くしたとき、手続きの窓口は1つではありません。
厚生労働省は、業務または通勤が原因で亡くなった労働者の遺族に対し、労災保険から遺族(補償)等給付を支給すると案内しています。これとは別に、厚生年金保険からは遺族厚生年金が、国民年金からは遺族基礎年金が支給されます。
両方を受け取れるのか、受け取れるとしてどちらかが減るのかは、分かりにくいところです。厚生労働省は、厚生年金は全額受け取れるが労災年金は調整されるため全額を受け取ることはできない、としています。
この記事では、遺族基礎年金と遺族厚生年金の額を確認したうえで、労災保険の遺族(補償)等年金との併給調整のしくみを確認します。
1. 遺族年金は「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2つに分かれる
まず、公的年金から支給される遺族年金の中身を確認します。亡くなった方が加入していた制度によって、受け取れるものが変わります。
1.1 遺族基礎年金は年84万7300円に子の加算額を足す
遺族基礎年金を受け取れるのは、亡くなった方に生計を維持されていた子のある配偶者または子です。
日本年金機構によると、令和8年4月分からの額は年84万7300円に子の加算額を足した額です。昭和31年4月1日以前生まれの方は年84万4900円となります。
子の加算額は1人目と2人目がそれぞれ年24万3800円、3人目以降がそれぞれ年8万1300円です。
1.2 遺族厚生年金は報酬比例部分の4分の3
遺族厚生年金の額は、亡くなった方の老齢厚生年金の報酬比例部分の4分の3です。
厚生年金保険の被保険者である間に亡くなった場合は短期要件にあたり、被保険者期間が300月に満たないときは300月とみなして計算します。業務上の事故による死亡は、この短期要件にあてはまることになります。
2. 業務上の死亡では、労災保険の遺族(補償)等年金もあわせて請求できる
労災保険の給付は、公的年金とは別の制度から支給されます。同じ死亡を理由に両方の年金が支給される場合、調整のしくみが働きます。
2.1 遺族厚生年金と遺族基礎年金は減額されない
厚生労働省は、労災保険給付と厚生年金の併給について、厚生年金は全額受け取れるが労災年金は調整されるため全額を受け取ることはできないと説明しています。
調整が設けられている理由についても、両制度からの年金が調整されないまま支給されると受け取る年金額の合計が被災前に支給されていた賃金よりも高額になってしまうこと、事業主の二重負担の問題が生じてしまうことを挙げています。
減額されるのは労災保険の側で、遺族厚生年金と遺族基礎年金は全額を受け取れる形です。
2.2 労災保険の年金にかける調整率は3つに分かれる
遺族(補償)等年金にかける調整率は、あわせて受け取る社会保険の年金の組み合わせによって決まります。
- 遺族厚生年金と遺族基礎年金の両方を受け取る場合は0.80
- 遺族厚生年金のみを受け取る場合は0.84
- 遺族基礎年金のみを受け取る場合は0.88
子のある配偶者であれば遺族基礎年金もあわせて受け取るため0.80、子のない配偶者であれば遺族厚生年金のみとなり0.84が使われることになります。
調整率のような数字は、制度をまたぐと説明の言い回しが変わりやすい部分です。
厚生労働省の案内を手元に置いたうえで、決定通知書の記載と突き合わせて確かめておくと、ご家族で共有するときにも説明しやすくなります。
