3. 住民税非課税世帯と生活保護、何が違う?

この2つは混同されがちですが、実際には性格がまったく違います。

3.1 生活保護は4つの要件を満たすことが前提になる

厚生労働省によると、生活保護は生活に困窮する人に対し、困窮の程度に応じて必要な保護を行う制度です。健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的としています。

受けるには、次の4つを活用することが前提になります。

生活保護の要件3/3

生活保護の要件

出所:厚生労働省「生活保護制度」

  • 資産の活用:預貯金や利用していない土地・家屋を売却して生活費に充てる
  • 能力の活用:働ける人は就労する
  • 他制度の活用:年金や手当など他の給付を優先して使う
  • 扶養義務者の扶養:親族からの援助を受ける

生活保護では、利用できる資産や働く能力、年金・手当など他制度の給付を最低限度の生活の維持に活用することが前提です。また、扶養義務者から実際に援助を受けられる場合、その援助は生活保護に優先します。

ただし、親族による扶養そのものが生活保護を受けるための要件ではありません。親族から援助を受けられない場合でも、生活保護を申請できます。

支給額は、厚生労働大臣が定める基準で算出した最低生活費と世帯の収入を比べ、収入が最低生活費に満たない場合にその差額が支払われる仕組みです。

扶助は生活扶助、住宅扶助、教育扶助、医療扶助、介護扶助、出産扶助、生業扶助、葬祭扶助の8種類があります。

対して住民税非課税は、前年の所得が基準を下回っているという税制上の状態にすぎません。資産があっても、親族からの援助があっても、所得が基準以下なら非課税になります。

3.2 生活扶助を受けていれば住民税は非課税になる

では両者は無関係かというと、そうではありません。先ほど引用した条件の1番目にあったとおり、生活保護を受けていれば住民税は非課税になります。

正確には、生活保護法による生活扶助を受けている人が非課税の対象です。

つまり、生活扶助を受けている人は住民税非課税となりますが、住民税非課税だからといって生活保護を受給しているとは限りません。

3.3 所得が低い世帯が利用できる主な支援・軽減制度

住民税非課税世帯を対象とする制度のほか、住民税とは別の所得基準で判定される制度もあります。

主な制度として次のようなものが挙げられます。

  • 国民健康保険料や介護保険料の軽減
  • 国民年金保険料の免除・納付猶予
  • 高額療養費の自己負担上限の引き下げ
  • 0歳から2歳児の保育料の無償化
  • 高等教育の修学支援

いずれも自動で適用されるとは限りません。申請が必要なものと、判定さえできていれば自動で適用されるものが混在しています。

4. 元証券会社勤務のFPからのアドバイス|自分の状況を確かめる手順

では、自分が課税か非課税かを調べるにはどうすればいいのでしょうか。ここでは、自分の状況を確かめる手順を解説します。

4.1 課税証明書で自分の課税状況を確認する

自分自身が課税か非課税かは、市区町村が発行する課税証明書・非課税証明書で確認できます。世帯全体が非課税かどうかを判断する場合は、同じ世帯の対象者についても課税状況を確認しなければなりません。

証明書には、前年の所得と住民税が課されているかどうかが記載されています。マイナンバーカードがあれば、コンビニで取得できる自治体もあるでしょう。

また、毎年6月ごろに届く住民税の決定通知書でも確認できます。給与から天引きされている方は、勤務先を通じて配られます。

4.2 収入がなくても申告はしておく

収入がなかった場合でも、住民税の申告を求められることがあります。

所得情報が確認できないと、保険料の軽減や各種給付の判定ができない場合があるためです。ただし、扶養親族として申告されている場合など、申告が不要なケースもあります。

必要か分からない場合は、お住まいの市区町村に確認しておきましょう。

4.3 世帯の構成が変わる年は先に確認する

判定は毎年やり直されます。同居家族の就職や配偶者の収入増など、家族の課税状況が変わった年は注意が必要です。

特に、本人の収入は変わっていないのに世帯のだれかが課税されたことで対象外になるケースは、本人には理由が分かりにくいものです。

給付の案内が来なくなったときは、まず世帯の課税状況を確認してみましょう。

5. まとめ

住民税非課税かどうかは、年収ではなく所得で判定されます。東京23区であれば、扶養親族がいない場合で合計所得金額45万円以下が基準です。

これを収入に直すと、単身世帯で給与収入なら110万円以下、65歳以上の年金収入なら155万円以下、65歳未満の年金収入なら105万円以下が目安になります。

65歳を境に50万円変わるのは、公的年金等控除の額が違うためです。

また、住民税非課税と生活保護は別の制度です。生活扶助を受けていれば住民税は非課税になりますが、逆は成り立ちません。住民税非課税世帯の多くは、生活保護を受けていない世帯です。

加藤 聖人
非課税かどうかを自分で計算しようとすると、控除の種類や級地の違いで手が止まってしまいます。実際のところ、課税証明書を1通取れば数分で確認できる話です。判定の仕組みを知っておく意味は、自分が該当するかを当てることよりも、なぜ該当しなくなったのかを説明できるようになる点にあります。去年は届いた案内が今年は来ない。そんなときに、世帯の誰かが課税されたのかもしれないと見当がつけば、次の一手が打てます。ご家族の状況を確認する機会があれば、あわせて聞いてみてください。

参考資料

加藤 聖人