障害厚生年金の3級に届かない程度の障害が残ったときにも、受け取れる給付があります。
日本年金機構によると、障害手当金は一時金として支給されるもので、額は報酬比例の年金額の2倍です。最低保障額は127万1000円(昭和31年4月1日以前に生まれた方は126万7400円)とされています。
この記事では3つの支給要件と、受け取れないケースを確認したうえで、要件の土台になる加入記録の見方を見ていきます。
1. 【障害手当金】障害厚生年金より軽い障害が残ったときの一時金
障害手当金は、障害厚生年金に該当する状態よりも軽い障害が残ったときに受け取ることができる制度です。年金として毎月ではなく、一度だけ支払われます。
1.1 要件は3つ。初診日が厚生年金の被保険者期間中
1つ目は初診日の要件です。
日本年金機構は、厚生年金保険の被保険者である間に、障害の原因となった病気やけがの初診日があることを挙げています。ただし国民年金、厚生年金または共済年金を受給している方は除かれます。
初診日とは、障害の原因となった病気やけがについて初めて医師等の診療を受けた日です。同一の病気やけがで転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日が初診日になります。
1.2 保険料の納付要件も満たす必要がある
2つ目は保険料です。
初診日の前日において、保険料の納付要件を満たしていることが要件です。障害厚生年金と同じ考え方で、初診日がある月の前々月までの被保険者期間で、国民年金の保険料納付済期間と保険料免除期間をあわせた期間が3分の2以上あることが原則です。
ただし初診日が令和18年3月末日までのときは、初診日において65歳未満であれば、初診日の前日において、初診日がある月の前々月までの直近1年間に保険料の未納がなければよいことになっています。
1.3 「初診日から5年以内に治っている」ことが条件
3つ目がこの制度の特徴です。
日本年金機構は、障害の状態について、初診日から5年以内に治っていること(症状が固定)を条件のひとつに挙げています。障害年金が治らない状態を前提にしているのに対し、障害手当金は治ったうえで軽い障害が残った場合を対象にしているということです。
治療が続いている間は、この要件を満たしません。5年という期限もあるため、いつ治ったと判断されるかが結果に直結します。
1.4 障害厚生年金より軽く、障害等級表に定める状態
3つ目の要件は3つの条件からなり、残る2つがこちらです。
治った日に障害厚生年金を受け取ることができる状態よりも軽いこと、そして障害等級表に定める障害の状態であることです。先ほどの「初診日から5年以内に治っていること」とあわせて、3つすべてに該当している必要があります。
つまり、軽すぎれば等級表に当たらず、重ければ障害厚生年金の側になります。障害手当金が対象にしているのは、その間にある範囲です。
1.5 額は報酬比例の年金額の2倍
金額の出し方は決まっています。
日本年金機構は、報酬比例の年金額に2を掛けた額を一時金として支給すると示しています。報酬比例の年金額は、平成15年3月以前の加入期間について平均標準報酬月額に1000分の7.125と月数を掛けた額と、平成15年4月以降の加入期間について平均標準報酬額に1000分の5.481と月数を掛けた額を足したものです。
この報酬比例の年金額の計算では、厚生年金期間が300月(25年)未満の場合は300月とみなして計算します。加入期間が短い時期に障害が残った場合でも、一定の水準が確保される仕組みです。
反対に上限側の扱いもあり、障害認定日がある月より後の加入期間は、年金額の計算の基礎になりません。
1.6 最低保障額は127万1000円
下限も設けられています。
障害手当金の最低保障額は127万1000円です。昭和31年4月1日以前に生まれた方は126万7400円となります。報酬比例の年金額の2倍がこの額に届かない場合は、最低保障額が支給されます。
障害厚生年金3級の最低保障額は63万5500円(昭和31年4月1日以前に生まれた方は63万3700円)です。障害手当金の最低保障額は、この額のちょうど2倍にあたります。額の決め方が3級を基準にしていることが、この数字から読み取れます。
1.7 老齢厚生年金を受け取っていると対象外
受け取れないケースもあります。
日本年金機構は、老齢厚生年金を受け取っている方は障害手当金を受け取ることができないとしています。あわせて、障害認定日において国民年金、厚生年金または共済年金を受け取っている方も対象外です。
老齢年金を受け取り始めた後に軽い障害が残った場合は、この一時金の対象にならないということになります。
1.8 労災の障害補償を受けていても対象外
他の制度との調整もあります。
障害認定日において、労働基準法または労働者災害補償保険法等により障害補償を受け取っている方、船員保険法による障害を支払事由とする給付を受け取っている方も、障害手当金を受け取ることができません。
仕事中や通勤中のけがであれば労災の側で補償される場合があります。どちらの制度に当たるかで扱いが変わるため、ご自身のケースは年金事務所にご確認ください。
なお、加入記録の確認方法やねんきん定期便の見方に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

