4. 部長級の賃金の伸びは1.4%で、非役職者の2.5%を下回った

令和7年賃金構造基本統計調査には、前の年からどれだけ増えたかを示す対前年増減率も載っています。ここが役職によって割れました。

4.1 役職別に見た賃金の対前年増減率

男女計で見た令和7年の対前年増減率は、部長級が1.4%増、課長級が3.4%増、係長級が3.4%増でした。

これに対して非役職者は2.5%増です。つまり部長級だけが、役職に就いていない人よりも伸びが小さかったことになります。

一覧表2/2

一覧表

出所:厚生労働省『令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況』などを基にLIMO編集部作成

4.2 部長級と非役職者の賃金格差は207.1から204.8に縮んだ

非役職者を100としたときの水準を、令和6年と令和7年で並べてみます。

部長級は207.1から204.8へ下がりました。伸びが非役職者を下回った分、差が縮んだかたちです。

一方で課長級は169.1から170.4へ、係長級は127.4から128.6へと、わずかに開いています。役職者全体で差が縮んだわけではない点は押さえておきたいところです。

5. 女性の部長級は5.2%増で、男女で格差の動きが逆になった

同じ表を男女別に開くと、部長級の見え方がさらに変わります。

5.1 男女別に見た役職別の所定内給与額

男性の所定内給与額は、部長級64万2400円、課長級54万1400円、係長級41万900円、非役職者33万2100円です。

女性は部長級57万8300円、課長級47万300円、係長級36万5700円、非役職者28万100円でした。

部長級で見ると男女の差は6万4100円、非役職者では5万2000円です。

5.2 女性の部長級だけ、非役職者との差が前年より開いた

対前年増減率は、男性の部長級が0.9%増、女性の部長級が5.2%増でした。女性のほうが大きく伸びています。

ところが非役職者を100としたときの水準を見ると、男性の部長級は195.5から193.4へ縮み、女性の部長級は203.4から206.5へ開きました。

女性は非役職者の伸びが3.6%増だったのに対し、部長級が5.2%増と上回ったためです。男女計では差が縮んで見えても、内訳では逆方向に動いていたことになります。

5.3 女性は役職に就いていても勤続年数が短い

平均勤続年数を見ると、部長級は男性22.9年に対して女性20.0年です。

係長級では男性17.8年・女性16.7年、非役職者では男性11.7年・女性9.7年と、どの区分でも女性のほうが短くなっています。

6. まとめにかえて

令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均1177円に改定され、10月1日から12月2日にかけて順次発効します。

一方で令和7年の所定内給与額は、部長級63万5800円、課長級52万9200円、係長級39万9200円、非役職者31万500円でした。

賞与を4カ月分と仮定した年収の目安は、部長級で約1017万円、非役職者で約497万円になります。

ただし部長級の伸びは1.4%にとどまり、非役職者の2.5%を下回りました。役職が上がれば自動的に差が広がっていくわけではない、というのがこの1年の数字です。

今の給与を平均と比べて一喜一憂するより、賞与を含めた年間の手取りが去年からどう動いたかを確かめるほうが、次の一手を決めやすくなります。

参考資料

齊藤 慧