4. おひとりさまの家計収支の数字はどう読むか
2万9980円という不足額は平均値です。読み方には気をつけたい点があります。
4.1 平均消費性向が100%を超えている意味を押さえる
平均消費性向125.3%は、可処分所得だけでは消費支出をまかなえていない状態を示しています。差を埋めているのは、貯蓄の取り崩しや資産の売却です。
この数字は世帯全体の平均なので、年金額が多い世帯では100%を下回り、少ない世帯ではさらに高くなります。
4.2 非消費支出は年金暮らしでも続く
非消費支出1万2990円には、税金や社会保険料が含まれます。仕事を辞めても、住民税や国民健康保険料、後期高齢者医療の保険料、介護保険料の負担は続きます。
年金額から差し引かれる形で天引きされる場合もあるため、通知書や振込通知で実際の手取りを確認しておくとよいでしょう。
5. 貯蓄額の統計はおひとりさまを含んでいない
貯蓄額の話をするときに、気をつけておきたい点があります。
5.1 家計調査の貯蓄・負債編の対象は二人以上の世帯に限られる
総務省統計局の家計調査報告のうち、貯蓄と負債を扱う集計は二人以上の世帯を対象としています。2025年平均の1世帯当たり貯蓄現在高は2059万円でした。
5.2 よく見る2000万円台はおひとりさまの数字ではない
つまり2059万円という金額は、二人以上で暮らす世帯の平均です。おひとりさま世帯の貯蓄額として読むことはできません。
単身世帯の資産を含む調査としては全国家計構造調査がありますが、令和6年調査の家計資産・負債に関する結果は、2026年9月時点では公表されていません。
6. 取り崩しの前に確かめておきたいこと
最後に、自分の数字を把握するための手がかりを挙げます。
6.1 見込額は「ねんきん定期便」で確認する
ここで挙げた年金額はいずれも例や平均です。自分の見込額は「ねんきん定期便」やねんきんネットで確認できます。
厚生年金の加入期間と、その間の報酬の水準で金額は変わります。平均収入50万9000円という前提が自分と違えば、年金額も当然変わります。
6.2 不足額は支出の側からも動かせる
不足額は収入と支出の差です。年金額を後から増やすことは難しくても、支出の内訳を把握しておけば、取り崩しのペースは変えられます。
保険料の軽減や減免が使えるかどうかは、市区町村の窓口で確認してください。制度の適用は世帯の状況によって判断されます。
7. まとめにかえて
2025年平均で、世帯主が65歳以上の単身無職世帯は実収入13万1456円に対して支出が16万1435円で、毎月2万9980円が不足していました。平均消費性向は125.3%です。
年金額は2026年4月分から引き上げられ、老齢基礎年金の満額は月7万608円になりました。ただし働き方によって金額は大きく変わり、厚生労働省が示す例では月17万6793円と月7万8249円で9万8544円の差があります。
また、よく目にする2000万円台の貯蓄額は二人以上の世帯の平均です。自分の見込額は「ねんきん定期便」で、保険料の負担は市区町村の窓口で確かめてみてください。
参考資料
- 総務省統計局「家計調査報告(家計収支編)2025年(令和7年)平均結果の概要」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)2025年(令和7年)平均結果」
LIMO編集部貯蓄解説班