4. 非課税でも「収入」として数えられる場面がある
税金がかからないことと、収入として扱われないことは別です。遺族年金がはっきり収入に数えられる場面があります。
4.1 健康保険の被扶養者になれるかどうかの判定に含まれる
家族の健康保険の被扶養者になるには、年間収入の要件を満たす必要があります。
日本年金機構は、この被扶養者の収入には雇用保険の失業等給付、公的年金、健康保険の傷病手当金や出産手当金も含まれると明記しています。
公的年金には遺族年金も入ります。所得税がかからない年金でも、この判定では収入として数えられます。
4.2 「社会保険の扶養」基準額は130万円未満、60歳以上なら180万円未満
年間収入の基準額は原則130万円未満です。
60歳以上の方、または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満になります。
扶養認定日が令和7年10月1日以降で、認定を受ける方が19歳以上23歳未満の場合は150万円未満です。ただし配偶者は除かれます。
4.3 手続きでは受取額のわかる通知書のコピーがいる
障害年金、遺族年金、傷病手当金、出産手当金、失業給付など非課税の収入がある場合は、受取金額のわかる通知書等のコピーを別に用意する必要があります。
課税されない収入は源泉徴収票などで確認できないため、別の書類で示す仕組みです。
年金証書や年金額改定通知書は手元に残しておくと手続きがスムーズになります。
5. 迷ったときの確認先
遺族年金は税と社会保険で扱いが分かれるため、窓口も分かれています。
5.1 年金額そのものは年金事務所
受け取っている年金の内訳や見込額は、年金事務所か街角の年金相談センターで自分の記録をもとに確かめられます。
2つ以上の年金を受け取る権利ができたときは、どの年金を受け取るかの選択の申出が必要になる場合もあります。
5.2 被扶養者になれるかどうかは勤務先と健康保険
家族の被扶養者になれるかどうかの判定は、勤務先を通じて加入している健康保険が行います。
遺族年金の額を含めて基準額に収まるかどうかを、事前に相談しておくと安心です。
6. まとめ
遺族基礎年金と遺族厚生年金には所得税も住民税もかかりません。公的年金等の源泉徴収票も届かないので、受け取った額がそのまま手元に残ります。
一方で、健康保険の被扶養者になれるかどうかの判定では、遺族年金も年間収入に含まれます。基準額は原則130万円未満、60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者は180万円未満です。
非課税であることと、収入として数えないことは違います。ここを取り違えると、扶養に入れると思っていたのに入れなかった、ということが起こります。
まずは自分が受け取っている年金の種類と額を年金証書で確かめ、扶養の手続きが絡むときは勤務先の健康保険にも先に相談しておきましょう。
参考資料
- 国税庁『No.1605 遺族の方に支給される公的年金等』
- 日本年金機構『障害年金や遺族年金を受けている人にも公的年金等の源泉徴収票は送付されるのでしょうか。』
- 日本年金機構『従業員が家族を被扶養者にするとき、被扶養者に異動があったときの手続き』
- 日本年金機構『遺族年金ガイド 令和8年度版』
村岸 理美