4. 先行導入される給付と、本格導入後の給付はどこが違うのか

令和9年度の先行導入と令和11年度の本格導入は、同じ名前でも中身に差があります。基本方針の注記に書かれた違いを見ていきましょう。

4.1 配偶者の所得を勘案する例外措置は先行導入では設けない

本格導入後の制度では、公平性の観点から、高所得の配偶者がいる場合に一定の例外を設けるとされています。

先行導入ではこの例外措置を置きません。

いま公的機関が持っている所得情報だけで動かすため、配偶者の所得まで見る仕組みが間に合わないからです。

4.2 こどもの加算は18歳以下と15歳以下で分かれる

本格導入後は、18歳以下のこどもの人数に応じた加算を行うとされています。

先行導入ではこれに代えて、15歳以下のこどもの人数に応じた加算を行います。

高校生の年代のこどもがいる世帯は、令和9年度と令和11年度で扱いが変わる可能性があります。

5. 令和12年までに結論を出すとされたことと、まだ決まっていないこと

年表の先には、期限だけが決まって中身がこれからという項目が並んでいます。ここを分けて読んでおくと、報道の受け取り方が変わります。

5.1 就労していない高齢者などへの対応は次期年金法改正まで

基本方針は、給付付き税額控除が社会保障のすべての課題を解決するものではないと認めています。

そのうえで、就労していない高齢者などが給付付き税額控除と既存の社会保障制度の双方から取り残されないよう、年金制度や生活保護など既存の制度との関係を整理するとしています。

結論を出す期限は、次期年金法改正が予定されている令和12年までです。

5.2 給付の閾値となる所得水準と給付額はこれから

誰がいくら受け取れるのかは、基本方針の時点では決まっていません。

給付の対象となる所得水準も給付額も、恒久的な財源の確保と合わせて検討するとされています。

対象は個人単位で、単身者も含みます。一定の勤労性の所得があり、一定の税・社会保険料の負担がある人が対象で、事業所得や業務に係る雑所得も勘案されるため、個人事業主やフリーランスも入ります。

5.3 公金受取口座の登録率は現状5割程度

受け取り方についても書かれています。

基本方針は、公金受取口座の登録率が現状5割程度にとどまっているとしたうえで、登録率の向上を国として推進し、この制度の受給では原則としてその利用を進めるとしています。

登録がまだの方は、制度が動き出す前に手元の状況を確かめておくと落ち着いて構えられます。

6. まとめ

令和8年8月5日の閣議決定から本格導入までを並べると、令和8年9月に大綱と法律案、令和9年4月1日から2年間の消費税率1%、令和9年度に給付の先行導入、令和11年度に本格導入という順番になります。

家計に直接効くのは消費税率の引下げで、酒類と外食を除く飲食料品に税抜で月4万円を使う世帯なら、2年間で6万7200円の差です。

一方で、給付の対象となる所得水準も給付額も、この時点では決まっていません。報道で金額を見かけたときは、それが決定なのか検討中なのかを確かめるようにしましょう。

制度の詳細は今後の大綱と法律案で固まります。自分が対象になるかどうかが気になる方は、確定した情報が出てから改めて確認するのが確実です。

参考資料

和田 直子