5. 毎月いくら預貯金のつみたてが必要なのか
では、この大学進学費用を毎月の預貯金で積み立てる場合を考えてみましょう。3校の6年間の学費は1301万円から1557万9600円の幅にありました。
この金額を「10年間」と「18年間」それぞれの準備期間で割ると、毎月の積立額はどのくらいになるのかを計算します。利息や運用益は含めていません。
5.1 10年かけて準備する場合
120カ月で割ると次のようになります。
- 慶應義塾大学:1557万9600円÷120カ月=約12万9000円
- 東京理科大学:1329万円÷120カ月=約11万円
- 日本大学:1301万円÷120カ月=約10万8000円
毎月この金額を欠かさず貯蓄し続けることは、多くの世帯にとってやさしいことではないでしょう。では、生まれた直後に預貯金を始めたらどうなるでしょうか。
5.2 18年かけて準備する場合
同じ金額を216カ月(18年)で割ります。
- 慶應義塾大学:1557万9600円÷216カ月=約7万2000円
- 東京理科大学:1329万円÷216カ月=約6万1000円
- 日本大学:1301万円÷216カ月=約6万円
生まれた直後から積み立てを始めた場合に必要となるひと月の金額は、10年で準備する場合のおよそ半分でした。
6年間の学費を預貯金で用意する場合の毎月の積立額を、準備期間10年と18年で比べたもの2/2
出所:各大学の開示データをもとにLIMO編集部作成
6. 大学進学費用を、上手に準備していくためには?
家計の状況は世帯ごとに違い、奨学金や教育ローンを使う家庭もあります。ここでは準備を進めるうえで確認しておきたい点を3つ挙げます。
6.1 6年制と4年制で総額が大きく変わることを前提に置く
薬学部は6年制なので、4年制の学部より在学期間が2年長くなります。文部科学省の調査では、私立大学の初年度納付金の平均は138万983円で、薬学部の208万3144円とは70万円の差があります。
初年度の差だけでも大きいうえに、在学期間が2年長い分がそのまま上乗せされます。進学先の候補に6年制の学部が入る場合は、4年制を前提にした見積もりを立て直す必要があります。
6.2 授業料は据え置きとは限らない
今回の3校でも、4年間で慶應義塾大学は6年間の総額が174万円増え、日本大学は同額のままでした。同じ学部でも大学によって値上げの幅が違います。
進学までに数年ある場合は、いま公表されている金額がそのまま続く前提で計算すると足りなくなる可能性があります。募集要項や大学の情報公表のページで、最新の金額を定期的に確認しておくと安心です。
6.3 奨学金と授業料等減免は所得の要件を先に確かめる
高等教育の修学支援新制度による授業料等減免や、日本学生支援機構の給付型奨学金には世帯の所得や資産の要件があります。対象になるかどうかは世帯の状況で変わるため、進学の直前ではなく早めに確認しておく形が現実的でしょう。
預貯金だけで用意しようとすると毎月の負担が重くなります。運用益が非課税になるNISAのつみたて投資枠を使う方法もありますが、元本が保証される制度ではありません。いつ使うお金なのかを分けたうえで金額を決める必要があります。
どの方法を組み合わせるかは、世帯の収入と進学までの年数によって変わります。判断に迷う場合は、進学先の学生課や日本学生支援機構の窓口、金融機関の相談窓口で確認しておくとよいでしょう。
7. まとめにかえて
私立大学の薬学部を6年間で卒業した場合の学費は、慶應義塾大学が1557万9600円、東京理科大学が1329万円、日本大学が1301万円でした。もっとも高いのは慶應義塾大学です。
3校とも施設設備費にあたる費用が2年次以降も毎年かかります。初年度納付金だけを見て6年分を見積もると、実際の負担より少なく計算されることになります。
この金額を10年で用意するなら毎月およそ10万8000円から12万9000円、18年なら6万円から7万2000円が必要です。まずは進学先の候補がどのくらいの水準なのかを確かめて、準備できる年数から逆算するところから始めたいところです。
参考資料
太田 彩子