4. 差が開くのは30歳代から。55歳から59歳で378万円
同じ年代で男女を並べて、差を見ます。19歳以下48万円、20歳代前半37万円。ここまでは大きく開いていません。20歳代後半で68万円、30歳代前半で150万円、30歳代後半で223万円と、ここから一気に広がります。40歳代前半270万円、40歳代後半294万円、50歳代前半345万円、そして55歳から59歳の378万円が最大です。60歳代に入ると311万円、232万円と縮まります。全体では男性587万円と女性333万円で、差は254万円でした。※なお、この差は原資料の千円単位で引いた額です。万円に四捨五入した数字どうしを引くと、1万円ずれる年代があります。
なぜ30歳代で開くのかまでは、この調査は答えていません。働き方の変化、職種や役職の分かれ方、家庭の事情との重なり。いくつもの事情が考えられますが、どれがどれだけ効いているかは、この統計からは読み取れません。
もうひとつ。同じ年代の中には、表の額の倍を受け取っている方も、半分に満たない方もいます。一覧表は、その散らばりをならして1つの数字にしたものです。
5. 年収では決まらない社会保険料。もとになるのは4月~6月の3カ月
ここからもう一つの話です。年収が分かれば社会保険料も決まりそうに思えますが、健康保険と厚生年金保険の保険料は、年収から計算されていません。
日本年金機構によると、事業主は7月1日現在で使用している全被保険者について、4月・5月・6月の3カ月間の報酬月額を算定基礎届で届け出ます。厚生労働大臣はその内容をもとに、毎年1回、標準報酬月額を決定し直します。これが定時決定です。対象になるのは支払基礎日数が17日以上の月で、特定適用事業所に勤める短時間労働者は11日以上になります。
決め直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に使われます。つまり保険料を決めているのは1年分の年収ではなく、4月・5月・6月に受け取った報酬です。この3カ月に残業が多ければ高い等級になり、たまたま少なければ低い等級のまま1年が過ぎます。
9月に切り替わった保険料が引かれるのは、9月分の給与からの勤め先もあれば、10月の支給分からの勤め先もあります。給与の締め日と支払日で変わります。
6. 給与明細と源泉徴収票の、どこを見るか
自分について手元で確かめる順番をご紹介します。
まず年収です。前の年の源泉徴収票にある支払金額が、この一覧表と同じ性質の数字になります。手取りではなく、引かれる前の額です。ここが分かれば、年代別の一覧で自分の行を探せます。
次に保険料です。給与明細の控除欄にある「健康保険料」「厚生年金保険料」を、9月または10月の明細と8月の明細で見比べてください。金額が動いていれば、定時決定で等級が変わったということです。
そのうえで4月・5月・6月の明細を出します。支給欄の合計、つまり基本給に手当や残業代を足した額が、等級のもとになった報酬です。標準報酬月額そのものは「ねんきん定期便」やねんきんネットでも確かめられるでしょう。
注意点も1つ。4月から6月の報酬を抑えれば保険料は下がりますが、標準報酬月額は将来の厚生年金の計算にも使われます。目先の手取りと、あとで受け取る額は、同じ数字でつながっています。どちらを重く見るかは、その方の状況しだいです。今の年収だけでなく、老後まで考えてみるのもよいでしょう。
7. 元証券会社社員の執筆者コメント
参考資料
宮野 茉莉子
