3. 老齢給付と障害給付は3つの組み合わせから選ぶ
障害年金を受けている方が老齢年金を受けられるようになった場合も、65歳以後に選択できます。
3.1 選べるのは3通り
日本年金機構によると、障害基礎年金や障害厚生年金を受けている方が老齢基礎年金と老齢厚生年金を受けられるようになったときは、65歳以後、次のいずれかの組み合わせを選択することができます。
「障害厚生年金と障害基礎年金」「老齢厚生年金と老齢基礎年金」「老齢厚生年金と障害基礎年金」の3通りです。
3.2 2つの基礎年金はあわせて受けられない
ただし、障害基礎年金と老齢基礎年金の2つの基礎年金をあわせて受けることはできません。
土台になる基礎年金はどちらか一方で、その上に乗る厚生年金を組み替えるという形です。3通りのうち3つ目は、基礎は障害、厚生は老齢という組み合わせになります。
3.3 遺族給付との違い
障害給付と遺族給付の場合は2通り、老齢給付と障害給付の場合は3通りです。老齢の側は基礎年金にも権利が出るため、選べる形が1つ増えることになります。
4. 同じ支給事由でも2つあれば選択になる
支給事由が同じ場合でも、選択になるケースがあります。
4.1 2つの厚生年金はあわせて受けられない
日本年金機構は、同じ支給事由であっても2つ以上の基礎年金または2つ以上の厚生年金を受けられるときは、本人がいずれか1つの年金を選択することになるとしています。
この場合も「年金受給選択申出書」の提出が必要です。
4.2 配偶者の遺族厚生年金と子の遺族厚生年金
機構が挙げている例は、夫が亡くなったことにより遺族厚生年金を受けていた妻が、子が亡くなったことにより新たに遺族厚生年金を受けられるようになったときです。
2つの厚生年金をあわせて受けることはできませんので、いずれかを選択することになります。
4.3 63歳で特別支給の老齢厚生年金が出たときも選択
機構はもう1つ、遺族厚生年金を受けていた方が63歳になって特別支給の老齢厚生年金を受けられるようになった場合を挙げています。
遺族給付と老齢給付をあわせて受けることはできませんので、この時点ではいずれかを選ぶことになります。65歳になると組み合わせが変わる点が、この年齢差の意味です。
5. 確かめておきたい3つのこと
判断のために手元でできることをまとめます。
5.1 いま受けている年金の支給事由を確認する
年金証書や年金額の通知書で、受けている年金が老齢・障害・遺族のどれなのかを確認してください。支給事由が同じか違うかで、扱いが変わります。
5.2 65歳を境に組み合わせが変わる
65歳前は原則どちらか一方ですが、65歳以後は組み合わせを選べる場合があります。障害給付と遺族給付なら2通り、老齢給付と障害給付なら3通りです。
自動で切り替わるものではなく、「年金受給選択申出書」の提出が必要です。
5.3 額の比較は年金事務所で確認する
どの組み合わせが多くなるかは、厚生年金の加入歴によって変わります。基礎年金の側は障害基礎年金2級と遺族基礎年金の基本額がどちらも84万7300円ですが、上に乗る厚生年金の額は加入期間と報酬で決まります。
年金事務所や街角の年金相談センターで、組み合わせごとの額を確認してから選んでください。
6. 65歳が組み合わせの境目になる
支給事由が異なる2つ以上の年金を受けられるようになったときは、原則いずれか1つを選択することになります。遺族年金と障害年金は支給事由が違いますので、この原則に当たります。
65歳以後は特例があり、障害給付と遺族給付なら「障害厚生年金と障害基礎年金」か「遺族厚生年金と障害基礎年金」のいずれかを選べます。障害基礎年金は2級が年84万7300円、1級が年105万9125円です。
老齢給付と障害給付なら3通りから選べますが、2つの基礎年金をあわせて受けることはできません。いずれの場合も「年金受給選択申出書」の提出が必要ですので、額を比べてから手続きしてください。
7. まとめにかえて
支給事由が異なる年金は「1人1年金」が原則のため、障害年金と遺族年金の両方を自由に受け取れるわけではありません。
一方で、65歳以後は特例により、障害基礎年金を受けながら遺族厚生年金を選択できる場合があります。また、老齢年金の受給権が発生すると、選択できる組み合わせがさらに増えます。
ただし、どの年金を受け取るかは自動で決まるものではなく、「年金受給選択申出書」の提出が必要です。将来の受給額は加入歴や報酬によって異なるため、年金事務所などで確認し、自分にとって有利な受給方法を検討するとよいでしょう。
参考資料
村岸 理美