子どもがいる家庭では、収入がある程度あっても手元にお金が残りにくいと感じる場面が多いのではないでしょうか。教育費と住宅ローンが重なる時期は、家計の余力が見えにくくなります。
厚生労働省の「2025年国民生活基礎調査の概況」によると、児童のいる世帯の1世帯当たり平均所得金額は857万3000円でした。全世帯の575万2000円を282万1000円上回る水準です。
この記事では、子育て世帯の収入と貯蓄、負債の実態を公的統計で確認したうえで、大学にかかる費用がいくらなのかを見ていきます。
なお、年収と貯蓄額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 子育て世帯の平均年収は800万円台
2025年国民生活基礎調査の概況によると、児童のいる世帯の1世帯当たり平均所得金額は857万3000円です。2024年1年間の所得を集計した数値になります。
内訳を見ると、稼働所得が797万8000円で全体の93.1%を占めます。そのうち会社などから支給される給与所得にあたる雇用者所得は750万7000円で、総所得の87.6%にあたります。
全世帯の平均所得金額は575万2000円、うち雇用者所得は397万5000円です。子育て世帯は全世帯の平均を大きく上回っており、「生活に余裕がある」という印象を受けるかもしれません。
前年と比べても4.5%増えており、4年連続の増加となっています。
年収の水準そのものについては、LIMOの記事「日本の給与所得者「年収600万円以上」は全体の何%?【男女別・年代別の平均給与一覧】もみる」から要点を引用しておきましょう。
給与階級別の分布状況を確認すると、「600万円超」から「2500万円超」に該当する区分を合算した年収600万円超の割合は、全体で24.9%という結果でした。
出所:日本の給与所得者「年収600万円以上」は全体の何%?【男女別・年代別の平均給与一覧】もみる
1.1 「生活が苦しい」子育て世帯
ただし、同じ調査によると児童のいる世帯の6割は生活が苦しいと感じています。
生活意識について「大変苦しい」または「やや苦しい」と答えた世帯は、全世帯が55.4%に対して児童のいる世帯は61.5%です。内訳は「大変苦しい」が27.6%、「やや苦しい」が33.9%でした。
平均所得は全世帯より282万1000円も多いにもかかわらず、子育て世帯では生活に余裕がないと感じる世帯が多いことが分かります。
2. 年収800万円台の子育て世帯の貯蓄額と負債はいくらか
児童のいる世帯の平均所得金額は857万3000円です。そこで、年収800万円台の世帯の貯蓄額と負債額を確認しましょう。
2026年5月19日に公表された総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」によると、年収800万円から900万円、二人以上の勤労者世帯の平均的な家族の構成は以下のとおりです。
- 世帯主の年齢:49.5歳
- 世帯人員:3.29人
- 18歳未満人員:0.89人
- 世帯主の配偶者のうち女の有業率:65.0%
- 平均年収:845万円
上記によれば平均的な子育て世帯は、夫婦共働きで子ども1人を育てる世帯が想定できるでしょう。
2.1 年収800万円台の子育て世帯の貯蓄額の内訳は
同じ調査によると、貯蓄額は1855万円です。貯蓄額の内訳は以下のとおりです。
- 金融機関:1819万円
- 通貨性預貯金:681万円
- 定期性預貯金:332万円
- 生命保険など:427万円
- 有価証券:379万円(うち投資信託211万円、株式130万円、債券37万円)
- 金融機関外:36万円
最も大きな割合を占めるのは通貨性預貯金と定期性預貯金を合わせた預貯金の1013万円で、貯蓄額の5割強にあたります。
教育費の支出が多いイメージのある子育て世帯ですが、預貯金が多いことで一定の流動性を確保していると見ることができます。
2.2 年収800万円台の子育て世帯の負債額
同じ調査によると、負債額は1114万円です。負債額の内訳は以下のとおりです。
- 住宅・土地のための負債:1039万円
- 公的機関:179万円
- 民間機関:849万円
- その他:10万円
- 住宅・土地以外の負債:55万円
- 月賦・年賦:20万円
「住宅・土地のための負債」は住宅ローンであると推測されます。負債額の9割強を占めており、平均的な子育て世帯は住宅ローンで購入した持ち家に住んでいると考えられます。
実際、この年収階級の持家率は82.2%でした。
2.3 年収800万円台の子育て世帯の純資産額
純資産額とは、貯蓄額から負債額を差し引いた金額です。返済義務がなく、突発的な支出に対応するための資金源になります。
1855万円から1114万円を差し引くと、平均的な子育て世帯の純資産額は741万円でした。
年収800万円台の子育て世帯の貯蓄と負債を、内訳ごとに並べた構成1/2
出所:総務省統計局「家計調査報告(貯蓄・負債編)-2025年(令和7年)平均結果-(二人以上の世帯)」を参考にLIMO編集部作成
世代別の貯蓄水準については、LIMOの記事「【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」」から引用します。
40歳代・二人以上世帯では、平均が1486万円、中央値が500万円となっています。分布を見ると、金融資産非保有は18.8%です。
出所:【全世代(20~70歳代)比較】貯蓄額の平均・中央値はいくら?単身・二人以上世帯で比較すると見えた「お金がある人・ない人の差」
元自治体職員として国民健康保険の保険料を計算していた頃は、住民税の課税情報から世帯の所得を確認していました。
所得が上がると保険料も上がるため、額面の年収と手元に残るお金は別だと感じる場面が多くありました。


