3. 122万円のほかに132万円と204万円という数字がある
全額支給の目安には、条件によって別の数字も示されています。
3.1 税制改正を反映すると132万円の見込み
厚生労働省は、年間122万円という数字に注記を付けています。2025年度税制改正を反映した地方税所得に基づくと132万円(見込み)としています。
122万円と132万円は別の制度を指した数字ではなく、同じ目安を何に基づいて計算するかの違いです。
3.2 寡婦に該当する場合は年間204万円程度
もうひとつの注記もあります。夫と死別した妻が所得に関する要件を満たして地方税法上の「寡婦」に該当する場合は、年間204万程度となるとされています。
同じ単身でも、寡婦に当たるかどうかで全額支給の範囲が変わります。自分がどちらに当たるかで、働ける幅の見え方が違ってきます。
4. 有期給付の額は現在の約1.3倍になる
継続給付で受け取る額の水準も押さえておきます。
4.1 有期給付加算が上乗せされる
厚生労働省によると、有期給付の額は新たに加算(有期給付加算)が上乗せされ、現在の遺族厚生年金の額の約1.3倍となります。
継続給付は、この増額された遺族厚生年金を引き続き受給する仕組みです。5年を過ぎたところで元の水準に戻るわけではありません。
4.2 1.3倍は現在の額に対する倍率
約1.3倍という数字は、いまの遺族厚生年金の額を基準にしたものです。もとの年金額が人によって違いますので、増える金額も人によって変わります。
自分の場合にいくらになるかは、亡くなった方の加入記録によって決まります。
5. 【遺族厚生年金】見直しは2028年4月施行予定
いつから適用される内容なのかも確認しておきます。
5.1 令和7年6月に成立した法律に定められている
厚生労働省は、法律では遺族厚生年金の見直しは2028年4月施行予定であるとしています。
この法律は令和7年5月16日に「社会経済の変化を踏まえた年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する等の法律案」として第217回通常国会に提出され、衆議院で修正のうえ6月13日に成立しました。
5.2 影響を受けない方も示されている
厚生労働省は、見直しによって影響を受けない方として4つを挙げています。すでに遺族厚生年金を受給している方、60歳以降に受給権が発生する方、18歳年度末までのこどもを養育する間にある方の給付内容、2028年度に40歳以上になる女性です。
継続給付の話は、これらに当たらない方が対象になります。
6. 確かめておきたい3つのこと
見直しの内容を自分の場合に当てはめるための手立てをまとめます。
6.1 いまの働き方でいくらの収入になるか見ておく
継続給付が全額支給される目安は、単身で就労収入が月額約10万円以下です。いまの働き方を続けたときに月いくらになるかを出しておくと、どのあたりに位置するかが見えてきます。
6.2 寡婦に当たるかどうかを調べておく
地方税法上の「寡婦」に該当する場合は、目安が年間204万程度になるとされています。所得に関する要件がありますので、市区町村の税務担当に確認しておくと確かです。
6.3 年金事務所で自分の額を確かめる
継続給付の額は、もとの遺族厚生年金の額によって変わります。全額支給停止になる収入の水準も、そこに連動します。
自分の場合にいくらになるかは、年金事務所や街角の年金相談センターで確認できます。施行は2028年4月の予定ですので、いま受け取れる額は現行制度で決まります。
7. まとめにかえて
厚生労働省によると、5年間の有期給付の終了後も、障害状態にある方や収入が十分でない方は、引き続き増額された遺族厚生年金を受給することができます。
単身の場合は就労収入が月額約10万円(年間122万円)以下で継続給付が全額支給されます。収入が増えるにつれて収入と年金の合計額が緩やかに増加するよう年金額が調整され、概ね月額20万円から30万円を超えると全額支給停止となります。
見直しは2028年4月施行予定です。自分の収入がどのあたりに来るかを先に見ておくと、働き方の見通しが立てやすくなります。
参考資料
村岸 理美