3. 「上げても下ろしても動ける」髪はどうつくる?——カットの重さ調整とメッシュの役割

今回のスタイルのキーワードとして挙がっていたのが、「上げもおろしもできるような感じで」という要望です。

これは、パーマだけで実現できるものではなく、カットの段階でどこに重さを残し、どこを軽くするかを設計しておく必要があります。

毛先まで重さが残ったままパーマをかけると、髪は一定方向にしか流れにくく、結果的に「下ろす」以外の選択肢が取りづらくなります。逆に、毛量を適度に間引いてから丸みのある動きを加えると、根元の立ち上がりと毛先の軽さの両方が生まれ、上げても下ろしても様になる状態がつくりやすくなります。

もうひとつの要素が、アフターで見られた明るいメッシュです。

単色の髪は、動いていても光の反射がほぼ均一なため、動きそのものが見えにくいという特徴があります。ここに明暗差のあるメッシュを入れることで、毛束の重なりや動く方向が色の境目としてはっきり視認できるようになります。

「動ける髪」を「動いて見える髪」に変える役割を果たしているのが、このメッシュだといえます。

なお、今回の投稿でどの工程がどこまで丁寧に行われたかは、テロップとキャプションで確認できる範囲にとどまります。仕上がりの質感を支える技術的な考え方として、一般的な仕組みを紹介しました。

4. 美容師のお財布事情、「大変身」の腕にみる収入のリアル

厚生労働省「令和7年 賃金構造基本統計調査」を元にした就業者統計データによると、全国の美容師の「平均年収は388万5000円(平均年齢30歳)」です。

ただし、美容師の収入は一律ではなく、実力や人気の高さによって大きく変動します。

一人前になると歩合給になるケースも多く、SNSを活用したセルフプロデュースでファン(指名客)を獲得し、大きく稼ぐトップスタイリストも存在します。

ここで見ておきたいのは、この388万円はあくまで"平均"であり、美容師の多くが歩合制で働いているという点です。歩合制とは収入が売上に連動する仕組みで、固定給と違って人による差が大きく出ます。そのカギを握るのが『指名客』です。指名客は、繰り返し来てくれる顧客基盤――企業でいえばブランドや常連客という"無形の資産"にあたります。近年はSNSが、この資産を全国規模に広げる装置になっており、発信力のある美容師は、技術という『労働』に加えて集客という『資産』を持つことで、平均を大きく上回っていきます。同じ資格・同じ技術でも収入差が開くのは、この資産の有無によるところが大きいのです。

美容師の平均年収はいくら?30歳で「388万円」のリアル。歩合制とSNS集客で差がつくお金事情
美容師の平均年収はいくら?30歳で「388万円」のリアル。歩合制とSNS集客で差がつくお金事情

美容師の年収は、技術力だけでなく、SNSでの発信力や指名客という"資産"をどれだけ築けるかによって大きく変わってくるといえそうです。

参考資料

LIMO美容部