4. 収入要件の判定には前年の数値が使われる
収入要件で見られるのは、いつの収入なのかを確認します。
4.1 基準になるのは前年の収入または所得
日本年金機構が示しているのは、前年の収入が850万円未満であること、または所得が655万5000円未満であることです。
請求する時点の収入ではなく、前年の数値で判定される形になっています。
4.2 収入と所得は別のもの
収入は給与などの支払われた額、所得は収入から給与所得控除などを差し引いた額です。同じ人でも2つの数字は違います。
850万円と655万5000円は、それぞれ別の基準に対応する数値ですので、並べて差を計算するものではありません。自分がどちらで判定されるかは、年金事務所で確認しておくと確実です。
5. 遺族年金の請求には時効がある
要件を満たしていても、請求しないままでは受け取れません。
5.1 遺族年金の時効は5年
日本年金機構によると、遺族年金を受け取る権利の時効は、支給事由が生じた日の翌日から5年です。老齢年金や障害年金と同じ年数になっています。
一方で、死亡一時金や脱退一時金の時効は2年です。制度によって年数が違いますので、混同しないよう注意が必要です。
5.2 時効を過ぎても申し立てられる場合がある
日本年金機構は、やむを得ない事情により時効完成前に請求をすることができなかった場合は、その理由を書面で申し立てることにより、基本権を時効消滅させない取扱いを行っているとしています。
国民年金法第102条第1項および厚生年金保険法第92条第1項にもとづく取扱いです。5年を過ぎていても、まずは年金事務所に相談してみてください。
6. 遺族年金を請求するときに確かめておきたいこと
請求の前に押さえておきたい点を挙げておきます。
6.1 別居していても認められる場合がある
生計を同じくしているという要件は、同居が基本ですが別居でも認められる場合があります。日本年金機構は、仕送りをしている、健康保険の扶養親族である等の事項があれば認められるとしています。
単身赴任や施設への入所などで別居していた場合も、あきらめずに窓口で確認してみてください。
6.2 遺族厚生年金と遺族基礎年金は両方受け取れる場合がある
日本年金機構は、遺族基礎年金について、遺族厚生年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できるとしています。遺族厚生年金の側でも、遺族基礎年金を受給できる遺族の方はあわせて受給できるとされています。
どちらか一方を選ぶ制度ではありません。要件を満たすかどうかは加入記録によって決まりますので、年金事務所や街角の年金相談センターに相談してみましょう。
7. 遺族給付は589万2695人が受給。入口は生計維持の2要件
2026年8月31日に公表された厚生年金保険・国民年金事業月報の令和8年4月分では、遺族給付の受給者数は589万2695人でした。厚生年金保険(第1号)が587万6692人、国民年金が7万6760人です。
遺族年金を受け取る前提になるのが生計維持で、要件は「生計を同じくしていること」と「収入要件を満たしていること」の2つです。収入要件は前年の収入850万円未満、または所得655万5000円未満とされています。
この2つを満たしたうえで、遺族の優先順位で受け取る方が決まります。別居していた場合でも認められることがありますので、窓口で確認しておきましょう。