財務省が2026年9月2日に公表した個人向け国債の発行条件によると、9月募集分の適用利率は固定3年が年1.96%、変動10年が年1.95%でした。
8月募集分では変動10年が1.87%、固定3年が1.71%で、変動10年のほうが高い状態でした。満期が3年のタイプが、満期10年のタイプを追い抜いたことになります。
この記事では、なぜ順位が入れ替わったのかを、3つのタイプで違う利率の決まり方から見ていきましょう。
1. 9月募集分で順位が入れ替わった
まず、8月募集分と並べて確認します。
1.1 固定3年が変動10年を上回った
9月募集分の適用利率は、固定5年が年2.24%、固定3年が年1.96%、変動10年が年1.95%です。固定3年が変動10年をわずかに上回りました。
8月募集分は固定5年2.06%、変動10年1.87%、固定3年1.71%でした。このときは固定3年が3つのなかで最も低く、変動10年との差は0.16ポイントありました。
1.2 上昇幅は固定3年が最も大きい
1か月での上昇幅は、固定3年が0.25ポイント、固定5年が0.18ポイント、変動10年が0.08ポイントです。固定3年の伸びが最も大きく、変動10年の伸びが最も小さい形になりました。
この差の積み重なりで、順位が入れ替わっています。3つとも上がってはいますが、上がり方が同じではありません。
2. 変動10年だけ利率の決まり方が違う
順位が入れ替わった理由は、計算のしかたにあります。
2.1 基準金利に0.66を掛ける
変動10年の適用利率は、基準金利に0.66を掛けて求めます。9月募集分の基準金利は2.96%で、これに0.66を掛けると1.95%です。
固定5年は基準金利から0.05%、固定3年は0.03%を差し引くだけです。9月募集分では固定5年の基準金利が2.29%、固定3年が1.99%でした。
2.2 基準金利は変動10年が最も高い
3つの基準金利を並べると、変動10年の2.96%が最も高くなっています。それでも適用利率が最も低いのは、0.66という掛け目があるためです。
基準金利の高さと適用利率の高さは一致しません。ここを取り違えると、なぜ満期が長いほうが低いのかが分からなくなります。
3. 基準金利そのものの求め方も別
もう一段さかのぼると、基準金利の出どころも違います。
3.1 変動10年は入札の平均落札利回り
変動10年の基準金利は、利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札における平均落札利回りです。初回の利子については、募集期間開始日までの最後に行われた入札が使われます。
実際の入札の結果が元になっているため、市場の動きがそのまま反映される形です。
3.2 固定5年と固定3年は想定利回り
固定5年と固定3年の基準金利は、募集期間開始日の2営業日前において、市場実勢利回りを基に計算した期間5年または3年の固定利付国債の想定利回りです。
参照する年限も、値を決める日も違います。3つの基準金利が同じ月でも別々の水準になるのは、このためです。
今月どれが高いかは、来月には変わっている可能性があります。目先の順位より、満期まで利率が固定されるほうがよいのか、変わるほうがよいのかで選びたいところです。
