11. 40歳代に多い「手元のまとまったお金を、一度に入れるか分けて入れるか決めきれない」というご相談。ファイナンシャルアドバイザー・長井 祐人が伝えたいこと

新NISAを使い始めるとき、毎月コツコツ積み立てていく方法と、手元にあるまとまったお金をある程度まとめて入れる方法の、どちらを選ぶか迷う方は少なくありません。同じご家庭のなかでも、口座ごとに考え方が分かれることがあります。

11.1 40歳代に多いお悩み相談は「一度に入れるか分けて入れるか、決められない」

40歳代(ご相談者)
夫婦それぞれの口座で長く続けていくつもりですが、入れ方の考えが分かれています。私はまとまったお金を一度に入れてしまいたい気持ちがある一方で、配偶者は毎月少しずつ積み立てていくほうがよいと言います。どちらが正しいのか決めきれず、手が止まっています。

この「入れ方をどうするか」というご相談は、これから始める方だけでなく、すでに口座をお持ちの方からもよくいただきます。

11.2 【ファイナンシャルアドバイザー・長井 祐人が回答】どちらが得かではなく、続けられるかで選ぶ

長井 祐人

新NISAを活用して資産運用を行う際、「積立投資」と「一括投資」のどちらを選ぶべきかは、お金を使う時期と自分自身のリスク許容度によって異なります。

積立投資は、投資するタイミングが分散できるため、価格変動の影響を抑えられます。
一方、一括投資はまとまった資金を一度に投資するため、相場が上昇すれば大きなリターンを
期待できる反面、下落した場合には損失も大きくなる可能性があります。

どちらを選ぶうえでも大切なのは、投資できるお金のすべてを一度に投資しないことです。
特に一括投資では、今後の生活に必要なお金や相場が下落した際に追加投資できる余力を
残しておくことで、下がった時でも投資を続けられる選択肢を持つことができます。

11.3 ポイント1:入れ方を分けても、値下がりそのものを避けられるわけではない

「分けて入れれば値下がりを避けられる」という受け止め方をされることがありますが、これは正しくありません。分けて入れても、保有している分は相場が下がれば同じように値下がりします。価格変動のリスクや元本割れの可能性は、入れ方を変えても消えるものではありません。違いが出るのは、買う時期がばらけることで、ある時点での落ち込み方が緩やかになりやすい、という程度の話です。逆に上がっていく局面では、あとから入れる分の買値が高くなることもあります。まずは「入れ方はリスクをなくす手段ではない」という前提をそろえておくと、そのあとの判断がぶれにくくなります。

11.4 ポイント2:区別すべきは損得ではなく、下がったときに手を止めずにいられるか

ご相談の場では「どちらのほうが有利なのか」という形でご質問をいただくことが多いのですが、先の値動きは誰にも分からないため、どちらが有利かを事前に決めることはできません。相場の見通しを前提に入れ方を選ぶと、その見通しが外れたときに続けられなくなってしまいます。そこで基準にしていただきたいのが、下がったときに自分がどう感じるか、そのときにも手を止めずにいられるかという点です。まとめて入れたあとに大きく下がると、気持ちの負担が重くなり、途中でやめたくなる方もいます。反対に、少しずつ入れていくほうが落ち着いていられるという方もいます。どちらの感じ方も否定されるものではなく、自分がどちらなのかを先に確かめておくことが、続けるための土台になります。

11.5 ポイント3:口座ごとに入れ方が違っていてもかまわない

ご夫婦のように複数の口座で運用される場合、入れ方をそろえなければいけないと考えて、そこで話が止まってしまうことがあります。けれども、口座ごとに使うお金の性格も、値動きに対する感じ方も違っていることがほとんどです。当面は使う予定がないお金と、数年以内に使うかもしれないお金では、置き方の考え方も変わってきます。それぞれの事情に合わせて入れ方を変える、という整理に行き着くご家庭は少なくありません。一方をまとめて、もう一方は少しずつ、という形も、それぞれの理由が説明できるのであれば、ちぐはぐな状態ではありません。決めた理由を短くでも書き留めておくと、値動きがあったときに立ち返る目印になります。

なお、NISAのような制度は、金額や条件が改正されることがあります。最新の内容は公的機関の情報や、関連する窓口でご確認ください。

12. まとめにかえて

まとまったお金を一度に入れるか、分けて入れるかという問いには、どなたにも当てはまる正解がありません。どちらを選んでも価格変動のリスクは残り、元本割れの可能性もなくなりません。だからこそ、有利かどうかを当てにいくのではなく、下がったときに自分が続けられる入れ方はどちらかという視点で選んでいただくのがよいという考え方もあります。決めきれないまま手が止まっている時間が長くなること自体が気がかりになる方も多いので、まずはご自身が値動きをどう受け止めるタイプなのかを整理してみてください。ここで挙げた考え方は一般的な整理であり、必要な備えや適した進め方は、ご家庭の状況によって変わります。個別のご事情については、専門家にご相談いただくことをおすすめします。

参考資料

長井 祐人