「金(ゴールド)の価格が最高値を更新」というニュースを耳にすることが増えました。
2025年、金価格は歴史的な上昇を見せましたが、これから投資を始めても「高値掴み」になってしまうのではないかと不安に感じる方も多いのではないでしょうか?
今回は、機関投資家としての経験を持つ証券アナリスト・泉田良輔氏が、YouTubeチャンネル『イズミダイズム』にて、専門機関が発行した英語の市場分析レポートを基に、2026年の金価格の行方を初心者向けに噛み砕いて解説した内容をご紹介します。
【2026年】金価格はまだ上がる?専門機関レポートと今後の見通しを動画で見る
1. 2025年はなぜ「金」と「株」が同時に上がったのか
まず、2026年を予測する前に、歴史的な相場となった2025年を振り返りましょう。
泉田氏が引用した「ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)」のレポート『Gold Outlook 2026』によると、2025年の金価格は約60.6%も上昇しました。また、米国株や新興国株も15%~30%程度上昇しています。
通常、投資の世界では「金は株の代わり(代替資産=オルタナティブ)」と言われます。
- 景気が良く株が上がる時は、金は下がりやすい
- 景気が悪く株が下がる時は、金が上がりやすい
しかし、2025年はこのセオリーに反し、両方が大きく上昇する「レアな年」となりました。
泉田氏はこの現象について、「インフレが続き、現金の価値が目減りする中で、実物資産である株も金も選ばれた」と分析しています。
ただし、パフォーマンス(上昇率)で見ると、株よりも金の方が圧倒的に高かったのが特徴です。
主要資産の収益率比較1/5
出所:World Gold Council「Gold_Outlook_2026」
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2. 2026年の金価格はどうなる? プロが見る「3つのシナリオ」
では、2026年はどうなるのでしょうか?
多くの市場参加者は「現状維持(横ばい)」を予想していますが、泉田氏はWGCのレポートを基に、景気動向によって「大きく上がる」か「下がる」か、両極端なシナリオがあり得ると解説しています。
2.1 【強気シナリオ】景気後退ならさらに「15%~30%上昇」
もし世界経済が減速し、地政学的なリスク(戦争や貿易摩擦など)が高まった場合、投資家は「安全資産」である金に逃避します。
この「Doom loop(負の連鎖)」と呼ばれるシナリオでは、各国の中央銀行が景気を支えるために金利を下げます。
金利が高いと買われにくい金にとっては追い風となり、価格はさらに15%~30%上昇する可能性があります。
2.2 【弱気シナリオ】好景気・インフレ再燃なら「5%~20%下落」
逆に、トランプ政権の政策などが成功し、経済が予想以上に強く成長した場合です。これを「Reflation return(リフレ回帰)」と呼びます。
景気が良くインフレが進むと、中央銀行は金利を上げざるを得ません。金利が高いドルにお金が戻っていくため、金価格は5%~20%下落する調整局面を迎えるでしょう。
2.3 【コンセンサス】現状維持なら「±5%」
市場の平均的な予想(コンセンサス)では、大きな変動はなく横ばい(±5%程度)とされていますが、泉田氏は「不確実性が高い2026年に、何事もなく横ばいで終わる可能性は低い」と見ています。
2026年の金価格3つのシナリオ2/5
出所:World Gold Council「Gold_Outlook_2026」
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3. 予測を覆す「ワイルドカード」とは?
シナリオ分析に加えて、泉田氏が重要視しているのが「ワイルドカード(予測不能な重要要因)」です。2026年の金相場を左右するカギは、以下の2点です。
3.1 新興国「中央銀行」の爆買い
現在、世界中の中央銀行(国の銀行)が金を買い集めています。
特に新興国は、先進国に比べて外貨準備における金の保有比率がまだ低いため、今後も買い増しを続ける可能性があります。これは金価格を底上げする強力な要因です。
加速する中央銀行の「金シフト」3/5
出所:World Gold Council「Gold_Outlook_2026」
3.2 インドの「金担保融資」
世界最大の金需要国の一つであるインドでは、現金を借りるために金を担保にするケースが増えています(2025年だけで200トン以上)。
経済が順調なら担保として塩漬けにされますが、もし不況になれば担保が売却(リサイクル)され、市場に金が溢れて価格を下げる要因になり得ます。
金価格の高騰とインドにおける金担保ローンの急増4/5
出所:World Gold Council「Gold_Outlook_2026」をもとにイズミダイズムが作成
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4. 2026年は「中央銀行」から目を離すな
泉田氏の結論はシンプルです。
「2026年は中央銀行の動きから目が離せない年になる」
景気が悪くなれば金利を下げて金価格を押し上げ、逆に景気が過熱すれば金利を上げて金価格を下げる。その舵取りをするのが中央銀行だからです。また、彼ら自身が「金の買い手」としても振る舞うため、二重の意味で重要になります。
これから投資ポートフォリオに金を組み入れようと考えている方は、単に価格を見るだけでなく、「世界経済の体温(景気)」と「中央銀行の顔色(政策)」をチェックすることが、高値掴みを避けるポイントになりそうです。
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5. イズミダイズムとは
イズミダイズムは、元機関投資家である泉田良輔の個人YouTubeチャンネルです。プロの視点で金融や経済に関する様々なニュースの解説や、資産形成に役立つトピックをお届けします。
新NISAの開始やインフレを背景に、個人の資産運用への関心が高まる中、機関投資家と個人投資家の「視点の違い」や、経済ニュースの裏側にある「構造」をロジカルに解説します。
教科書的な知識だけでなく、プロの実体験に基づいた分析を通じて、ビジネスパーソンや個人投資家に役立てていただけるコンテンツをお届けしています。
