老齢年金は受け取りを遅らせると増えます。繰下げ受給です。

ところが遺族年金を受け取る権利があると、この繰下げができないことがあります。しかも令和10年から扱いが変わります。

この記事では、日本年金機構の資料をもとに遺族年金と繰下げの関係と、今後の変更点を確認していきます。

1. 遺族年金の受給権があると老齢年金を繰り下げられない

まず、現在の取扱いを確認します。

1.1 66歳到達日以前に権利を持った場合

日本年金機構によると、原則として66歳に到達した日以前に遺族年金等を受け取る権利を有した場合は、老齢年金を繰り下げて受給することができません。

繰下げによる増額を見込んでいても、遺族年金の受給権が先にあると選べないということです。

1.2 失権していれば繰り下げられる

例外があります。65歳に到達する前に遺族年金等を受け取る権利を失権していた場合は、老齢年金を繰り下げて受給することができます。

権利があったかどうかではなく、その時点で権利を持っているかどうかで判断されます。

2. 遺族年金の受給権が発生すると繰下げの増額率が固定される

すでに繰下げを待っている途中の場合はどうなるのかを見ていきます。

2.1 待機期間中の発生はその時点で止まる

66歳に到達した日後の繰下げ待機期間中に遺族年金等を受け取る権利を有した場合は、その時点で増額率が固定されます。

老齢年金の請求の手続きを遅らせても、増額率はそこから増えません。待てば増えるという前提が途中で止まる形になります。

遺族年金の受給権をいつ持ったかで、繰下げの扱いが変わります1/2

遺族年金の受給権をいつ持ったかで、繰下げの扱いが変わります

出所:日本年金機構「遺族厚生年金(受給要件・対象者・年金額)」をもとにLIMO編集部作成

熊谷 良子

繰下げは自分で決められるものと思われがちですが、遺族年金の受給権が絡むと選べる範囲が変わります。書面で確かめておきたいところです。