3. 60歳を超えた課長級の年間給与水準は76.9%

減額される場合、どの程度下がるのかを見ていきます。

3.1 課長級は23.1%減る

60歳で給与を減額している事業所では、標準的な常勤従業員が60歳になる前に受けていた年間給与水準を100とした場合、60歳を超えて受ける年間給与水準は課長級が76.9%、非管理職が77.4%です。

課長級は23.1%、非管理職は22.6%減る計算になります。減り方そのものは、両者でほとんど変わりません。

3.2 減るかどうかで差がつく

減額される場合の下がり幅は課長級も非管理職も同程度です。違いが出るのは、そもそも減額の対象になるかどうかのほうです。

課長級は57.4%、非管理職は48.6%が減額ありでした。この8.8ポイントの差が、管理職と非管理職の分かれ目になっています。

60歳を超えたあとの年間給与水準は、いずれも8割を下回ります2/2

60歳を超えたあとの年間給与水準は、いずれも8割を下回ります

出所:人事院「令和8年 各種調査等の結果詳細」をもとにLIMO編集部作成

和田 直子

減額される場合の下がり幅は役職にかかわらず約23%減と共通していますが、注目すべきは『管理職の方が減額対象になる確率が約9ポイント高い』点です。管理職を目指すキャリアは現役時代の年収を増やす一方で、60歳以降の収入ギャップが大きくなりやすい特徴があります。高収入期である50代のうちに蓄えを増やし、60歳以降の生活費ダウンサイジングに備えましょう。

4. 60歳からの給与を見るときに気をつけたいこと

数字を読むうえでの注意点を挙げておきます。

4.1 集計の対象が限られている

給与減額の状況は、定年年齢を60歳から引き上げた事業所を対象にしたものです。定年制を廃止した事業所も含まれます。

また、企業規模100人以上かつ事業所規模50人以上の事業所が対象です。小規模な勤め先の状況は、この数字には表れていません。

4.2 自分の勤め先の仕組みを確かめる

減額の有無も時期も事業所によって違います。60歳到達時に給与がどうなるかは、勤め先の就業規則や賃金規程で定められています。

制度の内容は勤め先ごとに異なりますので、詳しくは人事の担当部署に確認してください。

5. 60歳以降の「給与ダウン」に備えて今できること

今回の調査結果が示す通り、「定年が延びても給与がそのまま維持されるとは限らない」のが現実です。特に管理職の方は、60歳到達を機に約2割の減額となる可能性が高くなります。

老後資金やキャリアのミスマッチを防ぐために、50代のうちから以下のステップで準備を進めておきましょう。

①自社の就業規則・賃金規程を確認する

60歳以降の給与減額ルール(時期・減額率・役職定年の有無)を人事担当部署や規程で把握する。

②収入2割減を前提としたマネープランを立てる

60歳以降の年間給与水準(約77%)を基準に、固定費の見直しや住宅ローン完済時期をシミュレーションする。

③60代での働き方・スキルを再定義する

役職を離れた後もプレイヤーとしてどのような強みを発揮できるか、社内外で通じるスキルを整えておく。

制度の実態を正しく把握し、早めに対策を打っておくことが、安心できる老後設計への第一歩となります。

参考資料

和田 直子