8. 40歳代に多い「買ったあとは何も見ないでよいのか」というご相談。IFA・木村 悦朗が伝えたいこと
非課税で投資できる制度の口座で投資信託を保有し、買ったあとは動かさずに続けている。日頃のご相談では、そうした持ち方をしている方から「このままでよいのか」という声をよく受けます。特定の方の事例ではなく、同じ迷いを持つ方が多いテーマとして整理します。
8.1 40歳代に多いお悩み相談は「動かさずにきたが、どこを見ればよいか分からない」

まとまった資金を一度に投じた経験がある方ほど、その後どこを見ればよいのかが分からないまま時間だけが過ぎていく、というご相談になりやすいところがあります。
8.2 【IFA・木村 悦朗が回答】まったく見ないことと、見たうえで動かさないことは別もの
「一旦投資信託を買ったあとは、何も見ないでおくのが正しい持ち方だ」という意見も散見されますが、全く見ないことと、見た上で動かさないという判断をすることとは大きな違いがあります。資産を放っておくと、資産の配分が知らないうちに偏っていくケースがあります。
いまの配分がどうなっているか、年に一度程度で良いので確かめてみることが大切で、もし偏りが大きければ元の配分に近づける方法があると知っておくことが、この先の続け方を落ち着いて選ぶための手がかりになります。
8.3 ポイント1:放っておくと、配分は知らないうちに偏っていく
買ったあとは動かさない、という方針そのものは1つの考え方です。ただ、保有しているものの値動きはそれぞれ違うため、よく増えたものの比率だけが自然に大きくなっていきます。前ページで前提を置いて示した数字でも、当初は半分ずつだった配分が20年後にはおよそ7対3まで動きました。手を加えていなくても形は変わる、ということです。まとまった資金を一度にまとめて投じた場合は、その時点で決まった配分がそのまま長く残りやすくなります。相談の場で中身を足し合わせてみると、全体としては特定の地域に大きく寄っていた、という整理に行き着くことが少なくありません。
8.4 ポイント2:いまの配分がどうなっているかを、年に一度確かめる
では、いまの配分はどこで確かめられるのか。保有しているものの資料には、どの地域を対象にした資産がどのくらいの割合で組み入れられているかが示されています。複数を保有している場合は、それぞれの中身を足し合わせて全体で見るのがポイントです。確かめる頻度を年に一度と決めておくと、日々の値動きのたびに気を取られずに済みます。見ることと動かすことは別の作業で、確かめたうえで今回は動かさない、という判断もそのひとつです。
8.5 ポイント3:偏りが大きければ、元の配分に近づける方法がある
確かめた結果、偏りが大きいと感じた場合はどうするか。分散という考え方は、値動きの要因が異なるものを組み合わせて、どれか1つの動きに結果が左右されにくくしておく、という整理です。はじめに決めた割合から離れていれば、増えた側を一部売って元の割合に近づける、あるいはこれから入れる資金を少ない側に寄せる、といった進め方があります。偏っていること自体が問題というより、その偏りをご自身で選んだのかどうかが分かれ目になります。何かに乗り換えるという話ではなく、いまの状況を確かめ、必要なら元の形に近づけるという手順です。なお、配分を戻すために売却したときの課税の扱いは口座の種類によって異なり、価格変動により元本を下回る可能性も残ります。税制の取り扱いは変更されることがあるため、最新の内容は公的機関の情報や関連部署への確認とあわせてご覧ください。
どの頻度でどこまで手を入れるかは、その資金を使う予定の時期や、値下がりをどこまで受け止められるかによって変わります。ここで挙げた手順も一般的な考え方のひとつで、近いうちに使う予定のある資金まで同じ扱いにしてよいかどうかも含めて、迷う部分は専門家に相談しながら整理していくと進めやすくなります。
9. まとめにかえて
年金一覧表からは、年代ごとの平均月額に大きな差がない一方で、一人ひとりの受給額には広い幅があることが読み取れました。平均は自分の位置を測る目盛りにはなりますが、そのまま自分の見込み額になるわけではありません。
土台の高さが人によって違えば、その上に自分で積み上げる部分の必要量も変わります。積み上げている途中の資産については、金額が増えたかどうかだけでなく、はじめに決めた形からどれだけ離れたかを見ておくと、状況をつかみやすくなります。今回の試算も一定の利回りを置いた目安であり、実際の結果は市場の値動きによって上下します。
まずは「ねんきん定期便」で加入状況を確かめ、あわせて保有している資産の中身を年に1回見渡してみるところからになります。どの頻度でどこまで手を入れるかは個々の状況で変わるため、判断に迷う部分は専門家に相談しながら進めていくのが確かな進め方です。なお、年金制度や税制の取り扱いは変更されることがあるため、最新の内容は公的機関の情報や関連部署への確認をあわせて行ってください。
