2. 【中間管理職】3年前と比べて負担が「増えた」のは51.0%。ちょうど半数だった

負担のほうの数字を示した調査があります。一般社団法人日本経営協会が2026年7月28日に発表した、第8回「日本のミドルマネジャー意識調査」です。一般社団法人日本経営協会によると、この調査は企業・団体で部下を持つ課長級・次長級・部長級のミドルマネジャー539名を対象に実施されました。

調査の対象が部下を持つラインの管理職に限られている点は、読むうえで押さえておきたいところです。働く人全体の傾向ではなく、あくまで管理職自身がどう感じているかを聞いた調査になります。

そのうえで、3年前と比較した業務負担についてみていきます。「負担が大きく増えた」が9.8%、「負担が増えた」が41.2%で、合わせた「負担増」は51.0%となりました。

ちょうど半数です。一方で「変わらない」は46.2%、「負担が減った」は2.6%、「負担が大きく減った」は0.2%でした。

負担が減ったと答えた人は、合わせても3%に届きません。増えたか、変わらないか。管理職の実感は、ほぼこの二択に分かれているといえます。

ここで一度、言葉を整理しておきます。この調査でいう「負担増」は、「負担が大きく増えた」と「負担が増えた」を合わせた値です。

賃金の一覧では、役職が上がれば水準も上がっていました。ただ、ここまではまだ負担の「量」の話です。では、どの業務が重くなっているのでしょうか。

3. 増えたのはどの業務か。上位5項目はすべて「人と決まりごと」だった

負担増で最も高かったのは「コンプライアンス意識・行動の徹底」で54.4%。次いで「ハラスメントへの対処」が47.1%でした。

3位は「部下のモチベーション維持・向上」で44.9%。4位と5位は同率で、「部下の育成(メンバー育成)」と「組織内での交渉・調整」がいずれも40.1%となっています。

並べてみると、共通点が見えてきます。主には人に向き合う仕事やルールを守ってもらう仕事です。

仕事上の悩みについても同じ傾向がみられます。最も多かったのは「部署の人材不足」で50.3%。2位の「プレイヤー業務の過大」23.9%を大きく上回りました。

4. 希望して管理職になった人は21.0%。それでも充実感は70.5%

では、実際の充実感を見てみましょう。

まず、管理職への昇進を「希望した」人は21.0%にとどまりました。「特に希望するのではなく、流れの中でなった」が47.1%、「その他」が31.9%です。

望んでなった人は2割。それでも7割に充実感2/2

望んでなった人は2割。それでも7割に充実感

出所:一般社団法人日本経営協会「第8回 日本のミドルマネジャー意識調査」をもとにLIMO編集部作成

図の左が昇進意向、右が充実感です。自ら手を挙げてなった人は、5人に1人ほどということになります。

最も多いのは「特に希望するのではなく、流れの中でなった」の47.1%でした。望んで就いたわけではないまま担っている人が、半数近くいるということです。

それでも、管理職としての仕事に充実感が「十分ある」は9.3%、「それなりにある」は61.2%でした。合わせて70.5%です。「あまりない・ない」は29.5%にとどまりました。

負担は増えている。それでも7割が充実感を持っている。どちらか一方だけを取り出すと、実態を見誤ることになりそうです。

5. まとめにかえて

今回は、中間管理職と呼ばれる層について、賃金と業務負担の2つの側面からみてきました。

厚生労働省の統計では、役職別の平均賃金は部長級63万5800円、課長級52万9200円、係長級39万9200円。非役職者は31万500円で、非役職者を100とすると課長級は170.4という水準でした。

一方、日本経営協会の調査では、3年前と比べた負担は「負担増」が51.0%でちょうど半数です。増えていたのは、コンプライアンス意識・行動の徹底54.4%、ハラスメントへの対処47.1%、部下のモチベーション維持・向上44.9%、部下の育成と組織内での交渉・調整がいずれも40.1%でした。一方で仕事に充実感があるのは70.5%です。

賃金は上がる。負担も増える。それでも手応えはあるーこの3つが同時に成り立っているのが、いまの中間管理職の姿だといえそうです。

ただ日本経営協会の調査では、管理職として働き続けるために必要なことで「生活(プライベート)の安定」(39.9%)や「仕事に対する正当な評価・報酬」(39.0%)が挙げられています。この分は今の管理職が管理職を続けていくためにも、新たに管理職となる人のためにとっても重要な要因と考えられるでしょう。

6. 元証券会社社員の執筆者コメント

宮野 茉莉子
役職はそもそも希望や適性があるかが重要です。仕事は30代、40代、50代…と長く続けていくもの。人生の多くの時間を占めるからこそ、自身の本音や適性などとも向き合って、自身のキャリアプランを考えたいものですね。同時にお金の面でキャリアを考える方もいると思いますが、収入や貯蓄を増やす方法は役職のみではありません。その他の面にも目を向け、総合的に考えてマネープランは考えて見てくださいね。

参考資料

宮野 茉莉子