5. 【視点】平均約6万円と満額7万円台の1万円差
平均月額約6万円と満額7万608円の差は月1万円。年間で12万円、20年で240万円の差になります。この差は、加入期間の長短と受給選択によって埋められる、あるいは開いていく変数です。
5.1 加入期間だけでも満額に近づける方法がある
未納期間があっても、後から任意加入や後納制度で埋められる場合があります。60歳以降の任意加入は、65歳までの5年間で加入期間を上乗せできる制度です。
6. 【落とし穴】繰上げ受給は月4万6千円まで下がる
繰上げ受給を選ぶと、平均月額は4万6千円と満額の6割程度まで下がります。一時的な家計逼迫や病気で早く受給したい場面はあるものの、生涯にわたって減額が続く点は忘れがちです。
6.1 繰上げ後は取り消しできない
一度繰上げ受給を始めると、後から取り消して本来受給に戻すことはできません。健康状態・貯蓄・就業機会を総合的に判断してから選ぶことが重要です。
7. 【対応策】満額に近づける3つの方法
満額7万608円に近づけるための実践的な方法を整理します。
7.1 ①60〜65歳の任意加入で加入期間を上乗せ
加入期間が40年に届かない場合、60歳から65歳までの任意加入で保険料を納付し続けられます。5年間フル加入すれば、月額数千円〜1万円台の上乗せが可能です。
7.2 ②付加年金で月400円→200円×納付月数を上乗せ
任意加入や第1号被保険者の期間中に、月400円の付加保険料を上乗せすると、将来「200円×納付月数」の付加年金を生涯受け取れます。2年で元が取れる制度です。
7.3 ③繰下げ受給で最大84%増額
受給開始を66〜75歳に遅らせる繰下げ受給は、1年で8.4%、最大10年で84%の増額が可能です。健康寿命と家計余力が許せば、本来受給6万1千円が繰下げで11万〜13万円台まで伸びる計算です。
8. まとめ|自分の加入期間と受給時期を早めに確認
満額月7万608円と平均月6万円の1万円差は、加入期間と受給選択で埋まる余地があります。ねんきん定期便・ねんきんネットで自分の加入期間を確認し、任意加入・付加年金・繰下げ受給の3つを組み合わせて、老後の水準を上げる余地を検討することが実践的です。
9. 筆者からのコメント
「60歳以降の任意加入で加入期間を延ばせる」と聞くと、20歳から60歳までの未納期間そのものを後から穴埋めできる制度だと誤解されがちです。
ですが任意加入は、60歳から65歳までの期間に新たに保険料を納めて加入期間を積み増す仕組みであり、過去の未納月をさかのぼって納付するものではありません。過去の免除期間を穴埋めしたい場合は、追納という別の制度が対象になります。
また付加年金は、加入できるのが第1号被保険者期間などに限られ、会社員として厚生年金に加入していた期間は対象外です。任意加入・追納・付加年金・繰下げ受給は、それぞれ対象となる期間や条件が異なるため、自分がどの制度を使えるかは、日本年金機構の窓口やねんきんネットで個別に確認しておくと安心です。
