国民年金の満額と、実際の平均受給額には約1万円の差があります。40年しっかり保険料を納めれば満額に到達するはずなのに、なぜ平均は満額に届かないのでしょうか。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金(25年以上)の受給者の平均月額は約6万円。令和8年度の満額7万608円(昭和31年4月2日以後生まれ)または7万408円(同以前生まれ)と比べて、約1万円下回る水準です。
この記事では、満額と平均の差の背景と、40年満期加入に近づけるための方法を整理します。
この記事では、以下の記事の内容も引用・参考にしています。
- 令和8年度の老齢基礎年金の満額は月7万608円(昭和31年4月2日以後)または月7万408円(以前生まれ)
- 令和6年度末の平均月額は約6万円で、満額との差は約1万円
- 繰上げ受給は月4万6千円、繰下げ受給は月7万7千円と、選択で1.7倍の差になる
1. 令和8年度の老齢基礎年金満額は月7万608円
まずは満額の水準から確認します。
1.1 令和8年度の満額は7万608円と7万408円の2種類
令和8年度の老齢基礎年金の満額は、次の2種類が併存します。
- 昭和31年4月2日以後生まれ:月7万608円
- 昭和31年4月1日以前生まれ:月7万408円
差は月200円と小さいものの、既裁定と新規裁定で異なる改定率が適用された結果として、2種類の満額が併存しています。
1.2 満額に到達する条件は「40年間の保険料納付済期間」
老齢基礎年金の満額は、20歳から60歳までの40年(480月)を保険料納付済期間で埋めた場合に受け取れます。1カ月でも未納・免除があると、その分だけ満額から減額される仕組みです。
老齢基礎年金 平均月額と満額の位置1/2
出所:LIMO編集部作成
2. 平均月額は約6万円、満額との1万円差
実際の受給額は平均でどの程度なのか、令和6年度末のデータで確認します。
2.1 老齢基礎年金(25年以上)の平均は月約6万円
「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、老齢基礎年金(25年以上)の受給者の平均月額は約6万円でした。前述の満額7万608円と比べ、約1万円下回る水準です。
2.2 繰上げ・本来・繰下げで平均月額が大きく変わる
受給開始年齢の選択によって、平均月額は次のように変わります。
- 繰上げ受給(60〜64歳から受給開始):月4万6千円
- 本来受給(65歳から受給開始):月6万1千円
- 繰下げ受給(66〜75歳から受給開始):月7万7千円
繰上げと繰下げの間で、平均月額は約1.7倍の開きがあります。「いつから受け取るか」の判断が、そのまま長期の受給水準に反映される構造です。
繰上げ・本来・繰下げの平均月額2/2
出所:LIMO編集部作成
3. 満額との差が生まれる理由
平均月額が満額に届かない背景を整理します。
3.1 保険料未納期間・免除期間の存在
老齢基礎年金の受給額は、保険料納付済期間の長さで決まります。学生時代の未納、退職後の未加入、就業中の免除期間などがあると、その分だけ満額から減額されます。
3.2 加入40年に届かない受給者が多数派
令和6年度末の平均約6万円という数字は、加入期間が40年に届かない受給者が一定数含まれていることを反映しています。25年以上の受給要件を満たしていても、40年フルには届かない層が平均を押し下げる形です。
4. 筆者からのコメント
平均月額約6万円という数字だけを見ると、「40年間きちんと保険料を納めても、満額の7万円台には届かないのでは」と不安になる方が少なくありません。
ですが、この約6万円は老齢基礎年金を受け取っている人(受給資格期間25年以上)全体の平均であり、加入期間が40年に届かない人も含まれた数字です。学生時代の未納をそのままにしていたり、免除を受けた期間の追納をしていなかったりする方が一定数含まれていることが、平均を押し下げている一因と考えられます。
逆にいえば、40年間を保険料納付済期間で埋められれば、平均ではなく満額の7万608円(または7万408円)に到達します。まずはねんきん定期便やねんきんネットで、自分の納付済期間が480月にどれだけ近いかを確認することが、平均との差を正しく理解する第一歩です。

