3. 止まらないものもある
年金のすべてが調整の対象になるわけではありません。
3.1 老齢基礎年金と経過的加算額は全額
日本年金機構は、老齢基礎年金および経過的加算額は全額支給されるとしています。在職老齢年金で調整されるのは、老齢厚生年金の報酬比例部分です。
年金は2階建てといわれますが、止まる可能性があるのは2階部分だけということになります。1階の老齢基礎年金は働いていても変わりません。
3.2 70歳以降も支給停止の対象になる
平成19年4月以降に70歳に達した人が、70歳以降も厚生年金適用事業所に勤務している場合は、厚生年金保険の被保険者ではありませんが、在職による支給停止が行われます。
ただし70歳以上の人は厚生年金保険の被保険者ではありませんので、保険料の負担はありません。保険料は払わないが調整はある、という関係になります。
4. 働いた分は年金額に反映される
支給停止の話だけで終わらせると、片側しか見ないことになります。
4.1 在職定時改定は毎年10月から
厚生年金に加入しながら老齢厚生年金を受けている65歳以上70歳未満の人が、基準日の9月1日において被保険者であるときは、翌月の10月分の年金額から見直されます。これを在職定時改定といいます。
年金額に反映されていない前年9月から当年8月までの加入期間を追加して、年金額の再計算が行われます。働いた分が毎年反映される仕組みです。
4.2 退職すると翌月から見直される
70歳未満の人が退職して1カ月を経過したときは、退職した翌月分の年金額から見直されます。これを退職改定といいます。70歳に到達したときも、到達した翌月分から見直されます。
このとき支給停止がなくなって全額支給になり、反映されていなかった加入期間も年金額に加わります。ただし退職して1カ月以内に再就職して厚生年金に加入したときは、再計算は行われません。
5. 加入期間が延びると別の加算が出ることもある
働き続けることで、思わぬところが動く場合があります。
5.1 20年を超えたときの加給年金
日本年金機構によると、年金額の再計算により厚生年金加入期間が20年を超えたときは、加給年金が支給される場合や、配偶者に対して振替加算が支給される場合があります。
その際は別途、手続きが必要になります。自動的に加算されるとは限りませんので、該当しそうな場合は年金事務所に確認しておきたいところです。
5.2 支給停止額が変わる時期
支給停止額は、総報酬月額相当額が変わった月または退職日の翌月に変更されます。昇給や賞与の有無で総報酬月額相当額が動けば、支給停止額も動きます。
なお在職定時改定で年金額が再計算された結果、支給停止額が変更となる場合もあります。金額の見通しについては、年金事務所で試算を依頼するのが確実です。
6. まとめにかえて
令和8年4月から、在職老齢年金の基準額が月51万円から65万円に引き上げられました。基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下であれば全額支給されます。
65万円を超える場合は、超えた額の2分の1が支給停止となります。老齢基礎年金と経過的加算額は支給停止の対象にならず、全額支給されます。
働いた期間は在職定時改定や退職改定で年金額に反映されます。65万円は令和8年度の基準額で毎年度改定されますので、自分の場合にどうなるかは年金事務所で確認してみてください。
参考資料
和田 直子