働きながら年金を受け取ると減らされる。そう聞いて、就業時間を抑えてきた方もいます。

日本年金機構によると、令和7年年金制度改正法に基づき、令和8年4月から在職老齢年金の基準額が月51万円から65万円に引き上げられました。14万円の引き上げです。

筆者は銀行と信託銀行で15年以上、個人のお客さまの相談を受けてきました。この記事では、何がどう変わったのかと、支給停止の計算のしかたを見ていきましょう。

ココがポイント
  • 令和8年4月から基準額が月51万円から65万円に引き上げられた
  • 基本月額と総報酬月額相当額の合計が65万円以下なら全額支給
  • 老齢基礎年金と経過的加算額は支給停止の対象にならない

1. 基準額が14万円上がった

まず、改正の中身から見ていきます。

1.1 51万円から65万円へ

日本年金機構の説明によると、令和7年年金制度改正法に基づき、令和8年4月から、年金が減額になる基準額が月51万円から65万円に引き上げられました。基準額とは、賃金と老齢厚生年金の合計に対する線引きの額です。

見直しの趣旨は、平均寿命・健康寿命が延びるなかで、働き続けることを希望する高齢者の活躍を後押しし、より働きやすい仕組みとすることにあるとされています。

1.2 65万円は令和8年度の額

この65万円は令和8年度の基準額です。毎年度、賃金の変動に応じて改定されます。

固定された金額ではありませんので、来年度以降は別の額になる可能性があります。その年度の額を確認することになります。

令和8年4月を境に線引きの位置が変わりました1/2

令和8年4月を境に線引きの位置が変わりました

出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」をもとにLIMO編集部作成

2. 計算に使う2つの額を押さえる

次に、何と何を足すのかを確認します。

2.1 基本月額と総報酬月額相当額

基本月額とは、加給年金額を除いた老齢厚生年金(報酬比例部分)の月額です。老齢基礎年金は含まれません。

総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額に、その月以前1年間の標準賞与額の合計を12で割った額を加えたものです。賞与も月割りで計算に入ります。

2.2 超えた分の半分が止まる

2つの合計が65万円以下であれば全額支給です。65万円を超える場合は、基本月額から、基本月額と総報酬月額相当額の合計から65万円を引いた額の2分の1を差し引いた額が支給されます。

超えた額がそのまま止まるのではなく、その半分が止まる形です。なお年金支給月額がマイナスになる場合は、老齢厚生年金は加給年金額を含めて全額支給停止となります。

止まるのは超えた額の半分です2/2

止まるのは超えた額の半分です

出所:日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」をもとにLIMO編集部作成

和田 直子

働き方を抑えるかどうかは、基準額だけで決める話ではありません。賃金そのものと、将来の年金額への反映を含めて見たいところです。