「自分がいくら年金を受け取れるのか分からない」「退職後の家計が読めない」——老後のお金について、こうした不安を口にする方は少なくありません。

2026年度は国民年金1.9%、厚生年金2.0%の増額改定となり、国民年金の満額は月7万608円になりました。

けれども厚生年金を合わせても、月15万円以上を受給している人は全体の49.8%にとどまり、平均額のイメージと実態には差があります。

この記事では、公的年金の2階建てのしくみと2026年度の年金額改定、厚生年金の受給額の分布を確認したうえで、退職前後のお金の流れを整理する視点をご紹介します。

なお、公的年金は偶数月の15日に支給され、次の支給日は10月です(15日が土日祝日にあたる場合は直前の平日に前倒しで振り込まれます)。

菅原 美優
「自分がどのくらいの年金を受け取れるのか分からない」というご相談を多くいただきます。この記事では年金制度の基本と受給額の分布を確認したうえで、退職前後のお金の流れを整理する視点をご紹介します。

なお、厚生年金・国民年金の制度概要や受給額の分布については、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。

【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
ココがポイント
  • 公的年金は国民年金と厚生年金の「2階建て」構造。2026年度は国民年金1.9%、厚生年金2.0%の増額
  • 国民年金の満額は月7万608円、厚生年金の夫婦2人分の給付水準は月23万7279円
  • 厚生年金を月15万円以上受給している人は全体の49.8%。半数に満たない実情も

1. 公的年金の2階建て構造

年金制度のしくみについては受給額を一覧でまとめた記事でも解説されていますが、まず制度の土台を押さえておきましょう。

日本の公的年金制度は、ベースとなる「国民年金(基礎年金)」と、上乗せ部分の「厚生年金」から成り立つため、「2階建て構造」と呼ばれています。

2つの年金制度の基本を、確認していきましょう。

1.1 日本の公的年金制度は2階建て

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厚生年金と国民年金の仕組み

出所:日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」等を参考にLIMO編集部作成

【1階部分】国民年金(基礎年金)

国民年金の加入対象について、同記事ではこう説明されています。

日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入を義務付けられているのが国民年金です。

  • 加入対象:原則として日本に住む20歳から60歳未満のすべての人
  • 保険料:全員定額、ただし年度ごとに改定される(※1)
  • 受給額:保険料を全期間(480カ月)納付した場合、65歳以降で満額の老齢基礎年金(※2)を受給できる。未納期間分に応じて満額から差し引かれる

※1 国民年金保険料:2026年度月額は1万7920円
※2 国民年金(老齢基礎年金)の満額:2026年度月額は7万608円

【2階部分】厚生年金

  • 加入対象:会社員や公務員、またパートなどで特定適用事業所(※3)に働き一定要件を満たす人が、国民年金に上乗せで加入
  • 保険料:収入に応じて(上限あり)決定される(※4)
  • 受給額:加入期間や納付済保険料により、個人差が出る

2階部分の厚生年金は、会社員や公務員が国民年金に上乗せして加入します。国民年金と厚生年金では、加入対象や年金保険料の決定方法、そして受給額の計算方法などが異なります。

そのため、老後に受け取る年金額にも、その方の加入状況や収入によって差が生まれます。

また、公的年金額は物価や現役世代の賃金の変動に応じて毎年度見直される仕組みとなっている点も重要なポイントです。

※3 特定事業所:1年のうち6カ月間以上、適用事業所の厚生年金保険の被保険者(短時間労働者は含まない、共済組合員を含む)の総数が51人以上となることが見込まれる企業など
※4 厚生年金の保険料額:標準報酬月額(上限65万円)、標準賞与額(上限150万円)に保険料率をかけて計算される

菅原 美優
同じ「2階建て」でも、1階部分の国民年金は加入者全員が同じ保険料・同じ受給額なのに対し、2階部分の厚生年金は現役時代の収入と加入期間で受給額が変わります。ご自身の受給見込額を早めに把握しておくことが、退職後の資金計画の第一歩になります。

2. 2026年度の年金額は国民年金(基礎年金)1.9%、厚生年金(報酬比例部分)2.0%の増額

公的年金の金額は、賃金や物価の動向を踏まえ、年度ごとに改定されます。2026年度分は、前年度より国民年金(基礎年金)1.9%、厚生年金(報酬比例部分)2.0%、4年度連続のプラス改定となりました。

  • 国民年金(老齢基礎年金(満額)):7万608円(1人分 ※1
  • 厚生年金:23万7279円(夫婦2人分※2

※1 昭和31年4月1日以前生まれの方の老齢基礎年金(満額1人分)は、月額7万408円(対前年度比+1300円)です。
※2 男性の平均的な収入(平均標準報酬(賞与含む月額換算)45万5000円)で40年間就業した場合に受け取り始める年金(老齢厚生年金と2人分の老齢基礎年金(満額))の給付水準です。

国民年金のみの場合、満額(※3)でも月額で約7万円です。繰下げ受給(※4)の上限年齢である75歳まで受給を待機したとしても、月額13万円に届かないことになります。

※3 国民年金(老齢基礎年金)の満額:国民年金保険料を480カ月納付した場合に、65歳から受け取れる年金額
※4 繰下げ受給:老齢年金の受給開始年齢を66歳~75歳までの間に後ろ倒しする制度。「繰下げ月数×0.7%」の増額率が適用され、75歳で受給開始した場合の増額率は84%。

3. 厚生年金「月額15万円以上」の割合

厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金の男女全体の平均月額は「15万289円」です。なお、この金額には1階部分の国民年金(老齢基礎年金)の月額部分が含まれています

受給額ごとの人数分布は以下のとおりです。

3.1 厚生年金の受給額ごとの受給権者数

この点について、同記事は次のように示しています。

  • ~1万円:4万3399人
  • 1万円以上~2万円未満:1万4137人
  • 2万円以上~3万円未満:3万5397人
  • 3万円以上~4万円未満:6万8210人
  • 4万円以上~5万円未満:7万6692人
  • 5万円以上~6万円未満:10万8447人
  • 6万円以上~7万円未満:31万5106人
  • 7万円以上~8万円未満:57万8950人
  • 8万円以上~9万円未満:80万2179人
  • 9万円以上~10万円未満:101万1457人
  • 10万円以上~11万円未満:111万2828人
  • 11万円以上~12万円未満:107万1485人
  • 12万円以上~13万円未満:97万9155人
  • 13万円以上~14万円未満:92万3506人
  • 14万円以上~15万円未満:92万9264人
  • 15万円以上~16万円未満:96万5035人
  • 16万円以上~17万円未満:100万1322人
  • 17万円以上~18万円未満:103万1951人
  • 18万円以上~19万円未満:102万6888人
  • 19万円以上~20万円未満:96万2615人
  • 20万円以上~21万円未満:85万3591人
  • 21万円以上~22万円未満:70万4633人
  • 22万円以上~23万円未満:52万3958人
  • 23万円以上~24万円未満:35万4人
  • 24万円以上~25万円未満:23万211人
  • 25万円以上~26万円未満:15万796人
  • 26万円以上~27万円未満:9万4667人
  • 27万円以上~28万円未満:5万5083人
  • 28万円以上~29万円未満:3万289人
  • 29万円以上~30万円未満:1万5158人
  • 30万円以上~:1万9283人

厚生年金を月額15万円以上受給している人は、全体の半分に満たない49.8%です。厚生年金を受給していない人も含めて計算すると、この割合はさらに低くなります。

年代別の平均年金月額や手取りの目安を確認したい方は、以下の記事もあわせてご参考ください。
【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金

熊谷 良子
国民年金だけでは老後の生活費をまかなうのは難しく、厚生年金の上乗せがあってようやく生活水準が見えてくるというのが実情です。ご自身の年金見込額は「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」で確認できますので、退職前に一度、正確な金額を把握しておくことをおすすめします。