4. 【ファイナンシャルアドバイザー・菅原美優が回答】退職前後のお金の流れを一枚に整理する
大きな支出の判断を収支の見通しに乗せることが、退職前後のお金の流れを整理する第一歩になります。
整理は、収入・支出・負担の三つに分けて考えると進めやすくなります。ご相談のなかでは、次の三つの順序でお話しすることが多くあります。
4.1 ポイント1:収入がいつ、どう切り替わるかを並べる
一つ目は、「収入がいつ、どう切り替わるかを並べる」ことです。給与が止まる時期、年金の受給が始まる時期、退職金が入る時期はそれぞれ異なります。時期をずらして並べると、収入が落ち込む期間が見えてきます。
4.2 ポイント2:税と社会保険の負担がずれて来ることを織り込む
二つ目は、「税と社会保険の負担がずれて来ることを織り込む」ことです。住民税は前年の所得をもとに計算されるため、退職した翌年の負担が重く感じられることがあります。健康保険の切り替えによって保険料の考え方も変わります。ここを見落とすと、退職後の家計が想定より苦しくなります。
4.3 ポイント3:大きな支出の判断を収支の見通しに乗せる
三つ目は、「大きな支出の判断を収支の見通しに乗せる」ことです。住まいの購入や住み替えのような大きな判断は、退職後の収支を確認したうえで、資産を取り崩す形にするのか、別の方法をとるのかを比べて決める。順番を守ることで、後戻りしにくい判断を落ち着いて下せます。
なお、住民税の計算方法や退職所得の取り扱い、健康保険の切り替え方法と保険料は、勤務先の制度やお住まいの地域、所得の状況によって異なり、制度改正もあります。ご自身の場合の金額や手続きは、勤務先の担当部署、お住まいの自治体、加入している健康保険組合、税務署に必ずご確認ください。運用商品には元本割れの可能性があります。
5. まとめにかえて
公的年金は国民年金と厚生年金の2階建て構造で、2026年度は国民年金1.9%・厚生年金2.0%の増額改定となりました。
それでも国民年金のみでは月7万円台にとどまり、厚生年金を合わせても月15万円以上を受給している人は全体の49.8%と、半数に満たないのが実情です。
受給額には加入期間や現役時代の収入による個人差が大きいからこそ、平均額をそのまま自分に当てはめず、「ねんきん定期便」や「ねんきんネット」でご自身の見込額を確認しておくことが大切です。
そのうえで、退職前後は収入がいつ・どう切り替わるか、税や社会保険の負担がずれて発生することも含めて、お金の流れを一枚に整理しておけば、安心して次のステップに進めます。
参考資料
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 厚生労働省「令和8年度の年金額改定についてお知らせします」
- 日本年金機構「年金の繰下げ受給」
- LIMO「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」
- LIMO「【2026年最新版】老齢年金一覧表「60歳代・70歳代・80歳代・90歳以上」の平均年金月額はいくら?手取りのリアルと5つの公的給付金」
菅原 美優
