2. 【継続給付】定期的に受け取れる5つの制度
まずは、要件を満たしているあいだ継続して受け取れるものです。いずれも所得の多寡ではなく、子どもの有無や働き方、体調といった状況が条件になっています。
2.1 児童手当
こども家庭庁によると、支給対象は0歳から18歳に達する日以後の最初の3月31日までの子です。月額は3歳未満が1万5000円、3歳以上高校生年代までが1万円で、第3子以降は3万円となります。
支給は偶数月の年6回で、それぞれ前月分までの2か月分がまとめて振り込まれます。
第3子以降の3万円については、子の数え方に注意が必要です。22歳になった年度末までの子を含めて数えるため、上の子がその年齢を過ぎると順番が繰り上がり、下の子の額が3万円から1万円に下がります。
令和6年10月の拡充で所得制限が撤廃され、対象も高校生年代まで広がりました。以前に所得超過で対象外だった世帯も、いまは対象に入っている可能性があります。
2.2 児童扶養手当
ひとり親家庭などが対象の手当です。こども家庭庁によると、令和8年4月分からの手当額は全部支給で月額4万8050円です。
一部支給は4万8040円から1万1340円までとなります。2人目以降は1人につき全部支給で1万1350円が加算されます。
令和7年度の全部支給は4万6690円でしたので、1360円の引き上げです。支給は1月、3月、5月、7月、9月、11月の年6回で、所得制限限度額は収入ベース・2人世帯で全部支給190万円、一部支給385万円となっています。
2.3 傷病手当金
病気やけがで働けなくなったときに、健康保険から受け取れる給付です。1日あたりの額は、支給開始日以前12か月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2とされています。
支給期間は支給開始日から通算して1年6か月。令和4年1月から通算化されたため、途中で復職した期間があれば、その分を繰り越して受け取れるようになりました。
会社員や公務員が加入する健康保険の給付で、住民税の課税状況は要件になっていません。
2.4 失業給付(基本手当)
離職後の生活を支える給付です。先ほど確認したとおり、令和8年8月1日から日額の上限と下限が引き上げられました。
実際の日額は、離職前6か月間の平均賃金額をもとに算出され、賃金水準が低いほど給付率が高くなる仕組みです。
給付日数は離職理由や年齢、被保険者だった期間に応じて決まります。会社都合か自己都合かで受給開始までの期間が変わる点も、確認しておきたいところです。
※2025年4月から自己都合退職の給付制限が原則2か月から1か月へ短縮されています
2.5 介護休業給付金
家族の介護のために休業したときの給付です。厚生労働省によると、支給額は休業開始時賃金日額に支給日数と67%を乗じて算出されます。
対象家族1人につき通算93日まで、3回を上限に分割して取得できます。
介護は突然始まることが多く、制度を調べる余裕がないまま無給で休んでしまうケースもあるため、休業に入る前に勤務先に確認しておきましょう。
3. 【生活支援】特定の支出を支えてくれる4つの制度
次に、条件を満たしたときに特定の支出を支えてくれる制度です。いずれも申請の期限があるため、該当しそうな出来事があったら早めに動くことが大切になります。
3.1 再就職手当
基本手当の受給資格がある人が、所定給付日数の3分の1以上を残して安定した職業に就き、一定の要件を満たした場合に受け取れる手当です。
基本手当の支給残日数が所定給付日数の3分の2以上あれば、残日数に70%と基本手当日額を乗じた額が支給されます。3分の1以上であれば、乗じる率は60%です。
早く決まるほど受取額が大きくなる設計になっています。給付を最後まで受け取るほうが得だと考える方もいますが、必ずしもそうとは限らない、ということです。
3.2 出産育児一時金・出産手当金
出産育児一時金は、公的医療保険の加入者が出産したときに子ども1人につき原則50万円が支給されます。産科医療補償制度に加入する医療機関等での出産でない場合などは、48万8000円となります。
出産手当金は、出産のために会社を休んで給与が支払われないときの給付です。傷病手当金と同じく、標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2が1日あたりの目安になります。
なお、出産育児一時金と出産手当金は目的の異なる制度で、それぞれの支給要件を満たせば両方を受け取れます。
3.3 住居確保給付金
離職などで家賃の支払いが難しくなったときの制度です。
厚生労働省によると、家賃相当額が原則3か月、延長を含めて最長9か月支給されます。支給は自治体から大家や不動産媒介事業者へ直接行われます。
収入と資産の要件があり、資産については基準額の6か月分かつ上限100万円という条件が設けられています。名称に「住居」とありますが、対象は現役世代の生活再建全般に関わる制度です。
3.4 災害見舞金など被災時の支援
自然災害で被害を受けたときには、自治体の災害見舞金のほか、災害弔慰金や被災者生活再建支援制度といった仕組みがあります。
金額や要件は制度と自治体によって異なります。
被災直後は手続きどころではありませんが、罹災証明書の取得が多くの支援の入口になります。まずはここから始めると考えておくと、動きやすくなります。
4. 【負担軽減】保険料・税を軽くする3つの制度
最後は、お金を受け取るのではなく、支払う額そのものを減らす制度です。受け取る給付に比べて目立ちませんが、効果は毎月続きます。
4.1 国民年金保険料の免除・納付猶予
日本年金機構によると、令和8年度の国民年金保険料は月額1万7920円です。所得が一定以下の場合、全額免除、4分の3免除、半額免除、4分の1免除、納付猶予といった仕組みを利用できます。
たとえば4分の1免除であれば、納める額は1万3440円になります。
押さえておきたいのは、免除を受けた期間も受給資格期間に算入される点です。ただし納付猶予の期間は受給資格期間には入るものの、年金額には反映されません。
未納のまま放置するのとは、将来の扱いが大きく変わります。
4.2 国民健康保険料の軽減
世帯の所得が法令で定める基準を下回る場合、保険料のうち均等割・平等割の部分が7割、5割、2割のいずれかで軽減されます。
この軽減は申請を必要としない自治体もありますが、確定申告や住民税の申告をしていないと判定ができません。
もうひとつ知っておきたいのが、非自発的失業者の軽減です。倒産や解雇などで離職した特定受給資格者・特定理由離職者は、離職日の翌日の属する月から、その月の属する年度の翌年度末まで軽減されます。
前年の給与所得をもとに保険料が決まる仕組みのため、収入が途絶えた直後こそ効いてくる制度です。
4.3 住民税の減免
災害、失業、事業の休廃止などで著しく所得が減少した場合、住民税そのものの減免を受けられることがあります。要件や減免の割合は自治体の条例で定められており、地域によって異なります。
自動的に適用されるものではなく、納期限までの申請が原則です。納付が難しいと感じたときは、放置せず市区町村の窓口に相談することが先決になります。
5. FPからのアドバイス|取りこぼさないための3つの習慣
ここまで12の制度を見てきました。ただ、制度を知っているだけでは1円も入ってきません。数多くの家計を見てきた経験から、取りこぼしを防ぐための考え方をお伝えします。
5.1 公的なお金は「申請が必要な制度が多い」
老齢・障害・遺族年金といった公的な制度は、暮らしの大きな支えになります。ただ、受給資格があるからといって、自動的に振り込みが始まるわけではないので注意が必要です。
受け取りをスタートさせるには、必ず自分自身で「年金請求書」を出して、請求手続きを行わなければなりません。
国や自治体の給付金や補助金もこれと同じで、基本的には「申請」がセットになっています。
万が一、期限に間に合わなかったり書類が不足したりすると、受給額が減る、あるいは受け取れなくなるといった不利益が生じる可能性もあります。
役所から案内が来ないことは、対象外であることを意味しません。前の章で見た国民健康保険料の軽減のように、申告をしていないと判定そのものができない制度もあります。
5.2 「生活が変わったとき」を制度の見直し時期にする
制度を調べるきっかけを、日付ではなく出来事に結びつけておくと取りこぼしが減ります。
離職、転職、出産、家族の介護、被災、病気による長期の休業。この6つは、いずれもここまで挙げた制度のどれかに直結します。
しかし、こうした変化の直後こそ最も余裕がなく、調べる時間が取れない可能性もあるでしょう。
だからこそ、平時に「この出来事が起きたらここに相談する」という対応先だけでも決めておく価値があります。
雇用保険はハローワーク、健康保険は勤務先か協会けんぽ、年金は年金事務所、税や国民健康保険は市区町村です。
5.3 金額の大小ではなく、期限の近さで優先順位をつける
複数の制度に該当しそうなとき、受取額の大きいものから調べたくなります。ただ、優先すべきは期限が迫っているほうです。
申請期限を過ぎた制度は、どれだけ金額が大きくても受け取れません。
一方で、金額が小さくても継続して効く制度もあります。保険料の軽減は毎月効きますし、年金の免除は将来の受給資格にもつながります。
目先の金額だけで判断せず、期限と継続性の2つで見ていただければと思います。
6. まとめ
今回取り上げた制度の多くは、「住民税非課税世帯であること」だけを一律の要件としているわけではありません。
課税世帯でも、所得や就労状況、家族構成などの要件を満たせば対象になる制度があります。
そして8月1日には、失業給付の日額が改定されました。上限の伸びが平均給与と同じ2.7%前後だったのに対し、下限は6.26%と2倍を超えるペースで引き上げられています。
年度の途中でも数字は動くということです。
制度は知っているだけでは使えません。生活に変化があったときに窓口を思い出せるようにしておくこと、そして申告や申請を後回しにしないこと。この2つができていれば、取りこぼしはかなり減らせるはずです。
参考資料
- 厚生労働省「雇用保険の基本手当日額の変更~8月1日(土)から実施~」
- 厚生労働省「令和8年8月1日からの基本手当日額等の適用について」
- こども家庭庁「児童手当制度のご案内」
- こども家庭庁「児童扶養手当について」
- こども家庭庁「児童扶養手当」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「傷病手当金」
- 全国健康保険協会(協会けんぽ)「出産手当金」
- 厚生労働省「令和4年1月1日から健康保険の傷病手当金の支給期間が通算化されます」
- 厚生労働省「Q&A~介護休業給付~」
- 厚生労働省「Q&A~労働者の皆様へ(基本手当、再就職手当)~」
- 厚生労働省「出産育児一時金等について」
- 厚生労働省「住居確保給付金」(生活支援特設ウェブサイト)
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」
- 厚生労働省「国民健康保険の保険料・保険税について」
加藤 聖人