4. 【元銀行員の視点】貯蓄の利子は、通帳に印字される前に税金が引かれている

ここからは、銀行の窓口にいた頃に見えていたことを書いていきます。

預金の利息は、支払われる時点で20.315%が差し引かれてから口座に入ります。通帳に印字されるのは、差し引いた後の金額です。

そのため、店頭に掲示されている利率をそのまま掛けた金額を思い描いていた方から、計算が合わないと尋ねられることがありました。

この税金は源泉分離課税なので、確定申告で取り戻すことは原則としてできません。ほかの所得と合算されない代わりに、所得が少ない人でも同じ税率がかかります。

ただし、預貯金の利子に税金がかからない仕組みも用意されています。

5. 【知っていますか】貯蓄350万円までの利子が非課税になる「障害者等のマル優」

その仕組みが、国税庁が「障害者等のマル優」と呼んでいる少額貯蓄非課税制度です。

預貯金や合同運用信託、一定の有価証券などについて、元本の合計額が「350万円」までの利子が非課税になります。

さらに、国債と地方債の額面の合計額350万円までの利子が非課税になる「障害者等の特別マル優」が別枠で用意されています。両方を使える場合は、合わせて700万円までが非課税の対象です。

5.1 対象になるのはどんな人?

誰でも使える制度ではありません。

国税庁によると、対象は国内に住所のある個人のうち、障害者等に該当する人に限られます。

身体障害者手帳の交付を受けている人や障害年金を受けている人、遺族基礎年金や寡婦年金を受けることができる妻などが挙げられています。

対象となる年金の種類は法令で定められているため、受け取っている年金によっては該当しないこともあります。ご自身が対象になるかどうかは、取引先の金融機関の窓口や税務署で確認してみてください。

5.2 手続きは非課税貯蓄申告書と非課税貯蓄申込書の2段階

利用するには届出が必要です。

最初の預入等をする日までに「非課税貯蓄申告書」を金融機関を経由して税務署長に提出し、原則として預入等の都度「非課税貯蓄申込書」を金融機関に提出することとされています。

窓口では、身体障害者手帳や年金証書、個人番号カードなどの確認書類を見せてもらう必要があります。

この届出を受け付けていた頃は、手帳や年金証書の原本を確認したうえで書類を作成していました。コピーの持参だけでは手続きを進められず、出直してもらうこともありました。

6. 貯蓄を預け入れたあとから、マル優は遡って使えない

使い勝手のよい制度ですが、注意しておきたい点がいくつかあります。

6.1 申告書の提出は最初の預け入れの日まで

非課税貯蓄申告書は、最初の預入等をする日までに提出することとされています。

すでに預け入れてある定期預金について、あとから届け出て非課税に切り替えるという使い方は想定されていません。

満期を迎えて預け替えるときなど、次の預け入れに合わせて準備しておくことになります。

6.2 350万円の枠は金融機関をまたいで合計する

非課税になる元本350万円は、1つの金融機関ごとに与えられる枠ではありません。

複数の金融機関に分けて預けている場合も合計で判定されます。窓口では自行の残高しか把握できないため、枠を使い切っていないかはご自身で管理する必要があります。

限度額を超えた部分の利子には、通常どおり20.315%の税金がかかります。

6.3 預け入れのたびに申込書が必要になる

申告書を一度出せば終わり、というわけでもありません。

原則として預入等の都度、非課税貯蓄申込書を提出することになっています。定期積金のように何度も預け入れる場合は、その回数だけ手間がかかります。

7. 貯蓄は残高だけでなく「利子から手元に残る額」まで確認しておく

金利が上がったことで、預貯金の利子は久しぶりに家計に効く水準になってきました。

一方で、その利子には20.315%の税金がかかり、通帳に記帳されるのは差し引いた後の金額です。

2025年平均の貯蓄現在高は、二人以上の世帯で2059万円、世帯主が65歳以上の無職世帯で2494万円でした。まずはご自身の残高と内訳、そして預け先の金利を確認するところから始めてみてください。

マル優のように、対象になる人だけが使える非課税の仕組みもあります。該当しそうな場合は取引先の金融機関の窓口や税務署に相談してみると、手続きの順序まで教えてもらえます。

参考資料

中本 智恵