老後の備えというと貯蓄の総額に目が向きがちですが、同じ金額でも中身の置き場所によって使い勝手は変わります。すぐ動かせるお金なのか、満期まで置いてあるのか、値動きのある商品なのかという違いです。
総務省統計局が2026年5月に公表した「家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均結果」によると、世帯主が70歳以上の二人以上世帯の貯蓄現在高は平均2471万円でした。その内訳を見ると、これまで最も多かった定期性預貯金が通貨性預貯金に抜かれています。
この記事では、70歳代の貯蓄がどんな中身で構成されているのか、そして1年でどこが増えてどこが減ったのかを順に確認していきます。
- 70歳以上の貯蓄現在高は平均2471万円。うち預貯金が1582万円で6割を超える
- 定期性預貯金は1年で43万円減り779万円に。通貨性預貯金803万円に抜かれた
- 有価証券の構成比は70歳以上が18.5%。60歳代の25.1%より低い
なお、70歳代の貯蓄額と平均・中央値の見方については、下記の記事より一部を引用・参照しています。
1. 70歳以上の貯蓄は平均2471万円
まずは総額から確認していきます。ここで使うのは家計調査(貯蓄・負債編)の二人以上の世帯のデータです。
1.1 60歳代の2843万円から目減りする
世帯主の年齢階級別に貯蓄現在高を見ると、50歳代が1756万円、60歳代が2843万円、70歳以上が2471万円でした。二人以上世帯全体の平均は2059万円です。
60歳代でピークを迎え、70歳以上では372万円下がります。退職金を受け取った直後の60歳代が最も厚く、そこから取り崩しが始まる流れが読み取れます。
なお平均値の読み方には注意が必要です。この点について、LIMOの記事「【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!」から要点を引用しておきます。
70代の貯蓄額「平均2000万円超」は富裕層が引き上げている。実態を表す中央値はもっと低く、物価高で現金の価値自体が目減りしている。
出所:【70代の貯蓄・年金・家計のリアル】老後赤字を加速させないためには?投資に頼らない防衛策を徹底解説!
家計調査では年齢階級別の中央値は公表されていません。近い区分では、世帯主が65歳以上の二人以上世帯で平均2564万円に対し、貯蓄保有世帯の中央値は1777万円でした。
1.2 中身は預貯金が6割を超える
70歳以上の内訳は、通貨性預貯金803万円、定期性預貯金779万円、生命保険など421万円、有価証券456万円、金融機関外12万円です。
預貯金を合わせると1582万円で、貯蓄全体の64.0%を占めます。構成比にすると通貨性が32.5%、定期性が31.5%、生命保険などが17.0%、有価証券が18.5%です。
世帯主が70歳以上の二人以上世帯における貯蓄の種類別内訳1/2
出所:総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)2025年平均結果」をもとにLIMO編集部作成
2. 定期預金が通貨性預貯金に抜かれた
ここからが今回の変化です。70歳以上の内訳を前年と比べると、預貯金のなかで順位が入れ替わっています。
2.1 定期性は1年で43万円減った
2024年の70歳以上は、定期性預貯金が822万円、通貨性預貯金が779万円でした。2025年はこれが定期性779万円、通貨性803万円となっています。
定期性は43万円減って5.2%のマイナス、通貨性は24万円増えました。金額の大小が逆転した形です。
同じ期間に生命保険などは372万円から421万円へ49万円増え、有価証券は462万円から456万円へ6万円減っています。
70歳以上の定期性預貯金と通貨性預貯金の逆転2/2
出所:総務省統計局「家計調査(貯蓄・負債編)」2024年・2025年平均結果をもとにLIMO編集部作成
2.2 65歳以上の無職世帯では5年で9ポイント下がった
変化をもう少し長い期間で見ると、傾向がはっきりします。二人以上世帯のうち世帯主が65歳以上の無職世帯では、定期性預貯金の構成比が2020年の40.1%から2025年には31.2%まで下がりました。
同じ期間に有価証券の構成比は15.2%から20.4%へ上がっています。定期預金に寝かせる形から、ほかの置き場所へ移った分があることが読み取れます。
家計相談では、貯蓄の総額は把握していても、その内訳までは意識していない方に多くお会いしてきました。満期を迎えた定期預金が普通預金に入ったままになっているケースは珍しくありません。
まずは通帳と残高照会で、どこにいくら置いてあるかを一度書き出してみることをおすすめします。


