3. 厚生年金に加入すると、将来の年金はどう変わるのか

加入対象が広がると、老後に受け取る年金にも影響します。厚生年金の上乗せ分がどう計算されるのかを見ていきましょう。

3.1 報酬比例部分は平均標準報酬額と加入月数で決まる

日本年金機構によると、平成15年4月以降の加入期間にかかる老齢厚生年金の報酬比例部分は、平均標準報酬額に1000分の5.481をかけ、さらに加入期間の月数をかけて求めます。

平均標準報酬額とは、その期間の標準報酬月額と標準賞与額の総額を加入月数で割った額です。実際の計算では過去の報酬に再評価率をかけて、最近の賃金や物価の水準に置き換えたうえで用います。

3.2 平均標準報酬額を月10万円とすると、10年で月5481円の上乗せ

仮に平均標準報酬額を月10万円として、10年(120ヶ月)加入した場合で計算してみます。10万円に1000分の5.481をかけ、120ヶ月をかけると年額6万5772円となり、月あたりでは5481円です。

同じ条件で20年(240ヶ月)なら年額13万1544円で、月あたり1万962円になります。加入期間が長くなるほど上乗せは大きくなる仕組みです。

これは老齢基礎年金とは別に、上乗せして受け取れる分です。ただし実際の金額は再評価率や賞与の有無で変わりますので、目安として見ておいてください。

4. 保険料の負担も同時に発生する

年金が増える一方で、加入すれば保険料を払うことになります。手取りへの影響もあわせて確認しておきましょう。

4.1 厚生年金保険料は事業主と半分ずつ負担する

日本年金機構によると、厚生年金保険料率は18.3%で固定されており、事業主と被保険者とが半分ずつ負担します。被保険者の負担分は9.15%にあたります。

仮に標準報酬月額が9万8000円であれば、保険料の全額は月1万7934円で、本人が負担するのはその半分の8967円です。国民年金の保険料を自分で全額納めている方にとっては、負担の感じ方が変わってくる部分でもあります。

4.2 医療保険も勤め先の健康保険に切り替わる

社会保険への加入は厚生年金保険だけの話ではありません。健康保険もあわせて勤め先の制度に加入することになります。

これまで配偶者の扶養に入っていた方は、その扱いが変わります。手取りがどう変わるかは働き方や世帯の状況によって違いますので、勤め先の担当部署や年金事務所で確かめておくと安心です。

5. まとめにかえて

2026年10月に賃金要件が撤廃される予定で、いわゆる年収106万円の壁を意識する必要はなくなる見通しです。ただし週の所定労働時間が20時間以上であることなど、残る要件は引き続き満たす必要があります。

企業規模要件も2027年10月の36人以上を皮切りに段階的に縮小し、2035年10月には10人以下の企業まで広がる予定です。勤め先の規模によって、いつから対象になるかが変わってきます。

厚生年金に加入すれば保険料の負担は生じますが、その分だけ老後に受け取る年金は増えます。目先の手取りと将来の年金の両方を並べたうえで、働き方を考えてみてください。

参考資料

和田 直子