2. 【9月】秋に届く「扶養親族等申告書」と年金の税金の仕組み。令和8年分からの金額は?
公的年金は、税金の世界では「雑所得」として扱われます。給与と同じように、一定額を超えると所得税が源泉徴収され、受け取る前に差し引かれます。老後の手取りは、この税金のしくみで少しずつ変わってきます。
2.1 年金から税金が引かれる・引かれないの境目
年金にかかる所得税には、源泉徴収の基準となる金額があります。令和8年分からは、基本的には65歳以上の方は年金額が205万円、65歳未満の方は155万円が一つの境目です。これを下回る場合は、原則として年金から所得税は源泉徴収されません。
つまり、同じ「年金生活」でも、受け取る額や年齢によって、税金が引かれる人と引かれない人が出てきます。自分の年金が源泉徴収の対象になるのかどうかを知っておくと、毎月の手取りの見通しが立てやすくなります。
2.2 9月に送付の「扶養親族等申告書」を出すと手取りが変わる
源泉徴収の対象になる方のもとには、毎年秋(9〜10月ごろ)に「扶養親族等申告書」が届きます。これは、配偶者控除や各種の控除を年金の源泉徴収に反映させるための大切な書類です。
申告書を提出すると、控除が反映されて源泉徴収される税額が抑えられます。反対に出し忘れると、控除が受けられず税額が高くなることがあります。届いたら早めに記入して返送しておくことが、手取りを守る第一歩です。
3. 元証券会社員からのアドバイス
60歳代・二人以上世帯の貯蓄は、平均2683万円・中央値1400万円でした。年金という収入の柱と、この蓄えをどう組み合わせるかが、これからの家計の安心を左右します。年金の手取りを守りながら暮らすために、今日からできることを3つお伝えします。
一つ目は、秋に届く「扶養親族等申告書」を、届いたその週のうちに書いて返すことです。後回しにすると出し忘れやすく、控除の反映が遅れて手取りが目減りすることがあります。
二つ目は、夫婦二人分の年金の「額面」と「手取り」を分けて把握することです。額面から税金や社会保険料が引かれた後の金額が、実際に使えるお金です。ねんきんネットで見込み額を確かめておきましょう。
三つ目は、取り崩しのペースを決めておくことです。年金で足りない分を貯蓄から補う前提で、1年にいくらまで取り崩すかの上限を決めておくと、蓄えが長持ちします。
証券会社でご相談を受けていたお客様は、その多くが60歳以上で、退職金の運用を控えた方々でした。お金の相談というと運用の話が中心になりがちですが、実際には「手取りがいくら残るか」を正しくつかむことが、老後の安心にいちばん効いてきます。
年金は額面のままもらえるわけではなく、税金や社会保険料が引かれます。秋に届く「扶養親族等申告書」を出すだけで手取りが変わるように、制度を知っているかどうかで、同じ年金でも残るお金は違ってきます。
届いた書類を後回しにせず、その週のうちに記入して返すだけで、防げる目減りは意外と大きいものです。
まずは、夫婦二人分の年金の手取りを一度書き出してみてください。そこに貯蓄の取り崩しをどう重ねるかを考えれば、老後のお金の全体像はぐっと見えやすくなります。今日のいちばんの一歩は、届いた申告書を開くことです。
4. まとめにかえて
今回は、60歳代・二人以上世帯の平均貯蓄額(2683万円)と中央値(1400万円)を確認しました。2000万円以上の世帯が4割近くいる一方、貯蓄のない世帯もあり、同じ世代でも差の大きい年代です。
あわせて、秋に届く「扶養親族等申告書」と年金の税金のしくみをみてきました。年金は雑所得として源泉徴収の対象になり、令和8年分からは65歳以上205万円・65歳未満155万円が一つの境目です。
今日からできることは3つです。まず、扶養親族等申告書が届いたら早めに提出すること。次に、夫婦二人分の年金の額面と手取りを分けて把握すること。
そして、貯蓄を1年にいくらまで取り崩すかの上限を決めておくこと。年金の手取りを守りながら、蓄えを長持ちさせる家計を、この秋から整えていきましょう。
参考資料
宮野 茉莉子
