4. 【元自治体職員の実感】非課税かどうかは保険料の軽減にも関わる

自治体で国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料を計算していた頃は、住民税の課税情報を参照しながら算定していました。その立場から見ると、非課税かどうかは住民税そのものだけの話ではありませんでした。

4.1 窓口では軽減の判定と結び付けて尋ねられた

保険料には所得に応じた軽減のしくみがあり、その判定には世帯の所得が使われます。窓口では「非課税になれば保険料も下がるのか」という質問をよく受けてきました。

ただし注意したい点があります。住民税で適用される配偶者控除などは、国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料の所得割には適用されません。住民税が変われば保険料も同じように変わる、という理解は正確ではないということです。

非課税かどうかと保険料の軽減判定は関係していますが、使う数字と控除の扱いが異なります。ここは分けて考えておくほうが混乱しにくくなります。

4.2 通知書が届いたら数字を照らし合わせる

毎年送られてくる住民税の納税通知書や課税証明書には、合計所得金額が記載されています。この記事で挙げた限度額と照らし合わせると、自分がどのあたりに位置しているかが見えてきます。

保険料の通知書も同じ時期に届きます。両方を並べて確認しておくと、翌年の見通しを立てやすくなります。

5. 住む市町村によって課税・非課税が分かれる

均等割の限度額が条例で決まるということは、同じ年金額でも住んでいる市町村によって結果が変わりうるということです。

5.1 3級地の単身は148万円が目安になる

単身で65歳以上の場合、年金収入の非課税ラインは1級地で155万円、2級地で151万5000円、3級地で148万円が目安です。

全国の市町村の約8割は3級地とされています。大都市の数字を見て判断すると、実際の基準とずれることがあります。

5.2 均等割は課税、所得割は非課税という帯がある

所得割の限度額は全国一律で、単身なら45万円です。これに対して均等割の限度額は3級地で38万円と低くなります。

そのため3級地の単身で合計所得が38万円を超え45万円以下の場合、均等割は課税され、所得割は非課税という状態になります。年金収入でいうと、65歳以上で148万円を超えて155万円以下の帯がこれにあたります。

この場合は均等割が課税されているため、住民税非課税世帯には該当しません。優遇制度の対象からも外れる点は確認しておきたいところです。

6. 制度ごとに「誰の世帯か」が違う

住民税非課税世帯を要件とする制度は複数ありますが、判定の対象になる人の範囲は制度ごとに異なります。

6.1 高額療養費は加入している医療保険で範囲が変わる

高額療養費制度の低所得区分は、国民健康保険の場合、同一世帯の世帯主および国民健康保険の被保険者が住民税非課税であることが要件です。

これに対して健康保険(被用者保険)の場合は、被保険者本人と被扶養者で判定します。世帯主が誰かは関係しません。

同じ「非課税世帯」という言葉でも、見る範囲が違う点に注意が必要です。

6.2 介護保険料と給付金は世帯全員で見る

介護保険料の第1段階から第3段階は、本人および世帯全員が市町村民税非課税であることが前提になります。そのうえで本人の課税年金収入額とその他の合計所得金額で段階が分かれます。

老齢年金生活者支援給付金も、請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税であることが要件のひとつです。加えて前年の公的年金等収入金額とその他の所得の合計が、昭和31年4月2日以後生まれの方で80万9000円以下であることが求められます。

この給付金の判定は9月30日時点の世帯状況と前年所得で行われます。10月1日以降に要件を満たした場合は、改めて請求書の提出が必要です。

6.3 扶養親族が1人いるかどうかで基準が動く

世帯の人数によって限度額が変わる点も、判定を分かりにくくしている要因です。

この点について、LIMOの記事「【2026年最新】「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう「収入ゼロでも給付金が届かない?」5つの盲点を徹底解説」から要点を引用します。

特に65歳以上で年金収入のみの世帯では、扶養者が1人いるだけで非課税ラインは年収211万円以下となり、単身世帯と比べて基準が大幅に緩和されることがわかります。

出所:【2026年最新】「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう「収入ゼロでも給付金が届かない?」5つの盲点を徹底解説

7. 【補足】給与収入がある場合の扱い

60歳代前半は、まだ働いて給与収入がある方も少なくありません。その場合の扱いも確認しておきます。

7.1 給与所得控除の最低保障額は65万円

給与所得控除の最低保障額は65万円です。令和7年分の所得税から適用され、住民税では令和8年度分から反映されます。

年金と給与の両方がある場合は、給与所得控除後の給与等の金額と公的年金等に係る雑所得の合計が10万円を超えるときに、所得金額調整控除が適用されます。

計算がやや複雑になるため、両方の収入がある場合は市区町村の住民税担当窓口で確認するのが確実です。

8. まとめにかえて

60歳代の住民税非課税ラインは、64歳までと65歳以上で分かれます。1級地の単身なら105万円と155万円で、差の50万円は公的年金等控除の最低保障額の違いによるものです。

年齢の判定はその年の12月31日時点で行うため、誕生月を待つ必要はありません。また均等割の限度額は市町村の条例で決まり、級地区分によって148万円から155万円まで幅があります。

ここで挙げた金額はいずれも目安です。実際の判定は前年の合計所得金額とお住まいの市町村の条例によりますので、ご自身が該当するかどうかは市区町村の住民税担当窓口に確認してみてください。

参考資料

太田 彩子