「厚生年金があるから老後は大丈夫」と考えていたのに、いざ受け取り始めてみると想像していた金額と違った、という声を聞くことがあります。

厚生労働省の「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金部分を含む)を受け取っている方のうち、月額10万円未満の方は19.0%でした。女性に限ると38.2%にのぼります。

この記事では、公的年金の実額を男女別に確認したうえで、年金収入が少ない場合に上乗せできる「年金生活者支援給付金」の令和8年度の基準額と支給要件を見ていきます。

ココがポイント
  • 厚生年金の平均年金月額は15万289円。男性16万9967円に対し、女性は11万1413円だった
  • 厚生年金が月額10万円未満の方は総数で19.0%、女性では38.2%を占める
  • 老齢年金生活者支援給付金の令和8年度の基準額は月額5620円。年金収入とその他の所得の合計が80万9000円以下などの要件がある

なお、年金生活者支援給付金の制度内容や年金の平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説
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【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説
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1. 厚生年金・国民年金の平均年金月額はいくらか

はじめに、いまのシニア世代が実際に受け取っている金額を見ておきましょう。平均だけを見ると実感とずれることがあるので、男女別の数字もあわせて確認します。

1.1 厚生年金の平均年金月額

厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金保険(第1号)の老齢年金を受け取る受給権者の平均年金月額は次のとおりです。国民年金部分を含んだ金額です。

  • 総数:15万289円
  • 男性:16万9967円
  • 女性:11万1413円

男女の差は月5万8554円で、男性は女性の約1.5倍でした。厚生年金は加入期間と報酬額に応じて計算されるため、勤続年数や賃金の違いがそのまま反映されます。

1.2 国民年金の平均年金月額

同じ資料から、国民年金の老齢年金を受け取る受給権者の平均年金月額も見ておきます。

  • 総数:5万9310円
  • 男性:6万1595円
  • 女性:5万7582円

国民年金は保険料が定額で、納めた期間に応じて金額が決まるしくみです。そのため厚生年金ほど大きな男女差は見られず、差は月4013円にとどまりました。

ここまでの数字は、LIMOの記事「【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説」でも整理されています。要点を引用しておきます。

厚生年金の平均年金月額は〈全体〉15万289円、〈男性〉16万9967円、〈女性〉11万1413円(いずれも国民年金の金額を含む)。国民年金は〈全体〉5万9310円、〈男性〉6万1595円、〈女性〉5万7582円です。年金の受給額はこれまでの加入状況によって決まるため、人によって大きな差が生じる点には注意が必要です。

出所:【2026年最新・年金早見表】厚生年金・国民年金はいくらもらえる?平均受給額一覧と手取りのリアル!社会保険料・税金が引かれる「天引き」まで徹底解説

厚生年金と国民年金の平均年金月額を男女別に比べると、厚生年金のほうが差が大きい1/2

厚生年金と国民年金の平均年金月額を男女別に比較した棒グラフ

出所:厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとにLIMO編集部作成

2. 厚生年金が月10万円未満の方は19.0%、女性では38.2%

平均は全体をならした数字なので、分布も見ておく必要があります。同じ資料には、年金月額の階級ごとの受給権者数が掲載されています。

2.1 月額10万円未満の割合

厚生年金保険(第1号)の老齢年金の受給権者1608万5696人のうち、年金月額が10万円未満の方は305万3974人でした。全体に対する割合は19.0%です。

これを男女別に見ると、次のような差が出ます。

  • 男性:10万円未満は9.3%
  • 女性:10万円未満は38.2%

女性は5人に2人近くが月額10万円未満という結果でした。結婚や出産を機に働き方が変わり、厚生年金の加入期間が短くなったケースが含まれていると考えられます。

厚生年金を受け取っていても、金額によっては生活費をまかないきれないことがあります。年金収入が少ない場合には、次に見る給付金が使えることもあります。

3. 令和8年度の年金生活者支援給付金の基準額

年金生活者支援給付金は、年金収入やその他の所得が一定の基準を下回る年金受給者を対象とした制度です。公的年金と同じように、毎年度、物価の変動に応じて金額の見直しが行われます。

3.1 3種類の給付金と基準額

受け取っている年金の種類に応じて、次の3つに分かれています。令和8年度の月額は以下のとおりです。

  • 老齢年金生活者支援給付金:5620円(基準額)
  • 障害年金生活者支援給付金:1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金:5620円

このうち老齢年金生活者支援給付金は、上記を基準額として、国民年金の保険料納付済期間や免除期間に応じて実際の金額が計算されます。納付済期間が40年(480か月)に満たない場合は、その分が反映されることになります。

この基準額については、LIMOの記事「年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説」から引用して確認しておきましょう。

  • 老齢年金生活者支援給付基準額(月額):5620円
  • 障害年金生活者支援給付金(月額):1級7025円・2級5620円
  • 遺族年金生活者支援給付金(月額):5620円

出所:年金生活者支援給付金とは?2026年最新の対象者・いくらもらえるか・ハガキが届かない理由を徹底解説

老齢年金生活者支援給付金は、納付済期間分と免除期間分を足し合わせて計算する2/2

老齢年金生活者支援給付金の計算式と令和8年度の単価を示した図

出所:日本年金機構「老齢(補足的老齢)年金生活者支援給付金」をもとにLIMO編集部作成

4. 年金生活者支援給付金の対象になる方

給付金を受け取るには、いくつかの条件を満たす必要があります。給付金の種類ごとに要件が異なるので、順番に見ていきましょう。

4.1 老齢年金生活者支援給付金の支給要件

対象になるのは、次の3つをすべて満たす方です。

  • 65歳以上で、老齢基礎年金を受けている
  • 請求する方の世帯全員の市町村民税が非課税となっている
  • 前年の年金収入金額とその他の所得の合計が80万9000円以下(昭和31年4月1日以前生まれの方は80万6700円以下)

所得の判定に、障害年金や遺族年金などの非課税の収入は含まれません。なお、所得が80万9000円を超えて90万9000円以下の場合は、補足的老齢年金生活者支援給付金の対象になります。

4.2 障害・遺族の給付金の支給要件

障害年金生活者支援給付金は、障害基礎年金を受けている方で、前年の所得が479万4000円に扶養親族の数に応じた金額を加えた額以下であることが要件です。

遺族年金生活者支援給付金も同様に、遺族基礎年金を受けていて、前年の所得が基準以下であることが条件になります。いずれも住民税の非課税要件はありません。

5. 請求手続きの方法

年金生活者支援給付金は、請求の手続きをすることで受け取れるしくみです。対象になる方には日本年金機構から請求書が郵送されます。

5.1 すでに年金を受給中の方

所得が下がって新たに要件を満たした場合は、毎年9月の第1営業日から「年金生活者支援給付金請求書(はがき型)」が順次郵送されます。必要事項を記入し、切手を貼ってポストに投函する流れです。

5.2 これから老齢年金を受け取り始める方

65歳になる3か月前に届く年金請求書に、給付金の請求書が同封されます。必要事項を記入して、年金の請求書とあわせて提出します。

請求は原則として、手続きをした月の翌月分からの支給です。一度提出すれば、支給要件を満たすかぎり2年目以降の手続きは原則として必要ありません。

太田 彩子

自治体で保険料の賦課を担当していた頃、年金の額そのものよりも「手元に残る金額」を気にされる方が多いと感じていました。年金からは保険料が差し引かれるため、額面と実際の入金額はどうしてもずれます。給付金の対象かどうかを見るときも、まずは通帳と通知書を並べて確認してみることをおすすめします。