住民税非課税世帯という言葉は給付金や医療費の話でよく出てきますが、自分が該当するのかどうかは分かりにくいものです。とくに60歳代は、同じ年代でも判定の基準が途中で変わります。

公的年金等控除は、65歳未満と65歳以上で公的年金等控除額の最低額が60万円と110万円に分かれています。

この記事では、60歳代の住民税非課税ラインが年齢でどう分かれるのか、その差がどこから来るのか、そして限度額そのものがどう決まっているのかを順に確認していきます。

ココがポイント
  • 1級地の単身なら、年金収入の非課税ラインは64歳までが105万円、65歳からが155万円
  • 差の50万円は公的年金等控除の最低保障額(60万円と110万円)の違いによるもの
  • 年齢の判定は誕生日ではなく、その年の12月31日時点で行う

なお、住民税非課税世帯の収入基準と優遇制度に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。

【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド
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【2026年最新】「住民税非課税世帯」を対象とした「優遇措置」8選 《年金・給与》年収いくらで該当するのか境界線も見ておこう「収入ゼロでも給付金が届かない?」5つの盲点を徹底解説
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1. 60歳代の非課税ラインは年齢で2つに分かれる

まずは実際の金額から確認していきます。ここでは大都市が該当する1級地を基準に、年金収入だけがある場合の目安を見ていきます。

1.1 64歳までは年金収入105万円が目安になる

1級地で単身の場合、住民税が非課税となる年金収入の上限は105万円です。夫婦2人世帯で配偶者に収入がない場合は171万3334円となります。

60歳から64歳までの方は、この基準で判定されます。

1.2 65歳からは年金収入155万円に上がる

同じ1級地でも、65歳以上になると単身で155万円、夫婦2人世帯で211万円が上限になります。

単身で比べると105万円と155万円で、差は50万円です。年金額が変わっていなくても、年齢が変わるだけで課税・非課税の判定が変わる場合があります。

1級地における年金収入のみの場合の住民税非課税ライン1/2

1級地における年金収入のみの場合の住民税非課税ライン

出所:国税庁「暮らしの税情報 高齢者と税」および地方税法をもとにLIMO編集部作成

2. 差の50万円は公的年金等控除の違いから生じる

なぜ65歳を境に基準が変わるのか、その理由は公的年金等控除にあります。

2.1 65歳未満は60万円、65歳以上は110万円

国税庁によると、公的年金等に係る雑所得以外の所得が1000万円以下の場合、公的年金等控除の最低保障額は65歳未満が60万円、65歳以上が110万円です。

65歳未満では年金収入が60万円以下なら雑所得は0円、65歳以上では110万円以下なら0円になります。この50万円の差が、そのまま非課税ラインの差として表れます。

2.2 年齢の判定はその年の12月31日時点で行う

ここで押さえておきたいのが、年齢をいつ時点で判定するかです。判定はその年の12月31日時点で行います。

誕生日を迎えた月からではありません。その年の12月31日時点で65歳になっていれば、その年分は110万円の控除が使えます。

誕生月まで待つ必要があるという誤解につながりやすいところなので、確認しておくと安心です。

3. 非課税限度額は均等割と所得割で決まり方が違う

住民税には均等割と所得割があり、それぞれに非課税の限度額が設けられています。この2つは決まり方が異なります。

3.1 均等割は市町村の条例で決まる

地方税法第295条第3項では、前年の合計所得金額が政令で定める基準に従い市町村の条例で定める金額以下である方には、均等割を課することができないとされています。

地方税法施行令第47条の3では、その基準を「基本額×(同一生計配偶者・扶養親族の数+1)+10万円」とし、同一生計配偶者や扶養親族がいる場合は加算額を足す形と定めています。

基本額は35万円を超えない範囲で、生活保護法に定める級地区分ごとの率を参酌して条例で定めるとされています。1級地なら基本額35万円、加算額21万円となり、単身の限度額は45万円です。

3.2 所得割は全国一律で決まる

一方の所得割は、地方税法附則第3条の3で「35万円×(同一生計配偶者・扶養親族の数+1)+10万円」と定められ、扶養親族等がいる場合は32万円を加算します。

こちらは法律で決まっているため全国一律で、級地による違いはありません。単身なら45万円、2人世帯なら112万円となります。

級地区分による単身・65歳以上の非課税ライン(年金収入)の違い2/2

級地区分による単身・65歳以上の非課税ライン(年金収入)の違い

出所:地方税法施行令第47条の3および各市町村の公表資料をもとにLIMO編集部作成

3.3 判定に含まれない収入もある

非課税の判定に使うのは合計所得金額なので、収入の種類によっては判定に含まれないものがあります。

この点については、LIMOの記事「【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド」から要点を引用して確認しておきましょう。

遺族年金や障害年金は「非課税所得」なので、いくら貰っていても判定の数字には含まれない。

出所:【住民税非課税世帯】給与・年金の収入基準《ボーダーラインはいくら?》知っておきたい5つの優遇制度!制度の基本とファクトを網羅した完全ガイド

太田 彩子

自治体で保険料の計算を担当していた頃は、住民税の課税情報を参照しながら国民健康保険料や後期高齢者医療の保険料を算出していました。非課税かどうかは軽減の判定にも関わるため、窓口でもよく尋ねられた項目です。

まずはご自身の年金額と、お住まいの市町村の基準を確認するところから始めてみてください。