8. 【繰上げ・繰下げ早見表】受給開始年齢で年金月額はどこまで動くか
受け取り始める年齢は60歳から75歳までの間で選べます。前倒しは1か月0.4%減、繰下げは1か月0.7%増です。
65歳時点の月額と開始年齢の組み合わせで金額が分かるよう、早見表にまとめました。
8.1 【早見表】月5万円から25万円までの受取額
縦軸が65歳で受け取る場合の月額、横軸が受給を開始する年齢です。60歳は24%減、70歳は42%増、75歳は84%増で計算しています。(※以下は早見表の図版から代表的な年齢を抜粋したものです)
- 65歳で月5万円:60歳3万8000円/70歳7万1000円/75歳9万2000円
- 65歳で月8万円:60歳 6万800円/70歳 11万3600円/75歳 14万7200円
- 65歳で月10万円:60歳7万6000円/70歳14万2000円/75歳18万4000円
- 65歳で月13万円:60歳9万8800円/70歳18万4600円/75歳23万9200円
- 65歳で月15万円:60歳11万4000円/70歳21万3000円/75歳27万6000円
- 65歳で月20万円:60歳15万2000円/70歳28万4000円/75歳36万8000円
- 65歳で月25万円:60歳19万円/70歳35万5000円/75歳46万円
※減額率は昭和37年4月2日以後生まれの1か月0.4%で計算しました。昭和37年4月1日以前に生まれた方は1か月0.5%となり、減額幅が大きくなります。
8.2 【損益分岐】60歳は80歳10か月、70歳は81歳11か月
65歳受給と累計が並ぶ年齢は、60歳受給なら80歳10か月、62歳受給なら82歳10か月、70歳受給なら81歳11か月、75歳受給なら86歳11か月です。
この分岐年齢は65歳時点の月額に左右されません。月5万円でも月25万円でも同じ年齢になります。
8.3 【注意点】額面と手取り、そして請求後にできなくなること
早見表の金額はすべて額面です。年金額が増えれば所得税や住民税、社会保険料の負担も増えるため、手取りの伸びは額面ほどにはなりません。
住民税非課税のボーダーラインを超えると、医療費の自己負担限度額の区分や介護保険料の段階も変わります。年金生活者支援給付金のように、非課税であることを要件とする給付の対象から外れることもあります。
繰上げについては、金額以外の制約も押さえておきたいところです。請求後は事後重症などによる障害基礎年金を請求できず、寡婦年金も受けられません。国民年金への任意加入や保険料の追納もできなくなり、請求の取り消しもできません。
繰下げが不利だという話でも、繰上げを避けるべきだという話でもありません。額面の増減だけで決めず、手取りと制度上の区分まで確かめておきたいということです。自分の条件での試算は年金事務所で相談できます。

判断を難しくするのは、繰上げ請求が取り消せず、国民年金の任意加入や追納の道も閉ざされる点です。また早見表の金額はいずれも額面であり、税や社会保険料が増えれば手取りの伸びは額面ほどにはなりません。
まずはねんきん定期便で自分の見込額を確かめ、働き方や非課税ラインへの影響まで含めて考えたいところです。
9. 年金は開始年齢で金額が変わる。取り消せない選択もある
年金の受給開始は60歳から75歳までの間で選べます。繰上げは1か月0.4%減で60歳なら24%減、繰下げは1か月0.7%増で75歳なら84%増になります。
厚生年金の平均は月15万289円、国民年金は月5万9310円です。60歳から64歳の平均が低いのは、繰上げを選んだ人が含まれているためでした。
繰上げ請求は取り消せず、国民年金の任意加入や保険料の追納もできなくなります。決める前に、ねんきん定期便の見込額と条件を確かめてみてください。
参考資料
- 日本年金機構「公的年金制度の種類と加入する制度」
- 日本年金機構「短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
- 日本年金機構「厚生年金保険の保険料」
- 日本年金機構「国民年金保険料」
- 日本年金機構「令和8年4月分からの年金額等について」
- 日本年金機構「年金振込通知書」
- 日本年金機構「年金から介護保険料・国民健康保険料(税)・後期高齢者医療保険料・住民税および森林環境税を特別徴収されるのはどのような人ですか。」
- 厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
- 日本年金機構「年金の繰上げ受給」
- 厚生労働省「年金制度改正法が成立しました」
- 厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」
- 日本年金機構「在職老齢年金の計算方法」
- 日本年金機構「年金の繰上げ・繰下げ受給」
石津 大希
