8月から10月にかけては、年金まわりの動きが続く時期です。8月に定期支払があり、9月ごろには年金生活者支援給付金の請求書が新たに対象となる人へ送られ、次の支払日は10月15日にやってきます。
通帳に記帳された金額を見て、「自分の年金は多いほうなのか、少ないほうなのか」と気になった方も多いのではないでしょうか。平均額は報道でよく目にしますが、その平均をクリアしている人が実際どのくらいいるのかまでは、意外と知られていません。
そこで本記事では、厚生年金を月15万円以上受け取っている人の割合を、男女全体と男女別のデータで確認します。あわせて、公的年金だけに頼らない準備をどう考えるかを整理します。
なお、公的年金の仕組みや平均受給額に関する詳しい解説は、下記の記事より一部を引用・参照しています。本文中の引用部分は引用ブロックで示しています。
- 厚生年金(国民年金を含む)の平均年金月額は、男女全体で15万289円
- 月15万円以上を受給している人は全体の49.8%で、半数に届いていない
- 男女別では男性68.8%に対し女性は12.3%と、5倍以上の開きがある
1. まずは公的年金の「2階建て」構造を押さえる
受給額の話に入る前に、公的年金がどういう構造になっているかを確認しておきましょう。この点については、LIMOの記事「【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント」で次のように説明されています。
日本の公的年金は、よく「建物の階層」に例えられます。働き方によって加入する年金が変わり、将来受け取れる年金額にも大きな差が生まれます。
出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
1.1 1階部分:国民年金(基礎年金)
1階にあたる国民年金は、日本国内に住む20歳以上60歳未満のすべての人に加入義務があります。自営業者やフリーランス、学生、無職の人は「第1号被保険者」として、収入にかかわらず一律の保険料を納めます。
一方、会社員や公務員に扶養されている配偶者(年収130万円未満などの要件を満たす人)は「第3号被保険者」に区分され、個別の保険料負担は発生しません。
1.2 2階部分:厚生年金
2階にあたる厚生年金は、厚生年金保険の適用事業所に勤める会社員や公務員が加入します。この人たちは「第2号被保険者」として国民年金にも同時に加入しているため、将来は「基礎年金+厚生年金(報酬比例部分)」という2階建てで年金を受け取ることになります。
厚生年金の保険料は給与や賞与の額に応じて変動し、勤務先と本人が半分ずつ負担する「労使折半」である点が、国民年金との大きな違いです。現役時代の収入と加入期間が長いほど、2階部分は厚くなります。
2. 厚生年金を「月15万円以上」受け取る人は何パーセント?
厚生年金の受給額は、現役時代の収入と加入期間によって個人差が出ます。では、その実態はどうなっているのでしょうか。
厚生労働省年金局「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、厚生年金(国民年金を含む)の平均年金月額は、男女全体で15万289円です。
公的年金は原則として2カ月に一度支給されるため、この平均額なら、1回の支給日におよそ30万円が振り込まれる計算になります。
では、この平均である月15万円をクリアしている人は、受給権者全体のどのくらいを占めるのでしょうか。
※以下の厚生年金の年金月額には、国民年金(老齢基礎年金)部分を含みます。
2.1 【男女全体】厚生年金を月15万円以上もらえる人の割合
【男女全体】厚生年金の平均年金月額:15万289円
- ~1万円:4万3399人
- 1万円以上~2万円未満:1万4137人
- 2万円以上~3万円未満:3万5397人
- 3万円以上~4万円未満:6万8210人
- 4万円以上~5万円未満:7万6692人
- 5万円以上~6万円未満:10万8447人
- 6万円以上~7万円未満:31万5106人
- 7万円以上~8万円未満:57万8950人
- 8万円以上~9万円未満:80万2179人
- 9万円以上~10万円未満:101万1457人
- 10万円以上~11万円未満:111万2828人
- 11万円以上~12万円未満:107万1485人
- 12万円以上~13万円未満:97万9155人
- 13万円以上~14万円未満:92万3506人
- 14万円以上~15万円未満:92万9264人
- 15万円以上~16万円未満:96万5035人
- 16万円以上~17万円未満:100万1322人
- 17万円以上~18万円未満:103万1951人
- 18万円以上~19万円未満:102万6888人
- 19万円以上~20万円未満:96万2615人
- 20万円以上~21万円未満:85万3591人
- 21万円以上~22万円未満:70万4633人
- 22万円以上~23万円未満:52万3958人
- 23万円以上~24万円未満:35万4人
- 24万円以上~25万円未満:23万211人
- 25万円以上~26万円未満:15万796人
- 26万円以上~27万円未満:9万4667人
- 27万円以上~28万円未満:5万5083人
- 28万円以上~29万円未満:3万289人
- 29万円以上~30万円未満:1万5158人
- 30万円以上~:1万9283人
出所:【国民年金+厚生年金】月15万円(年180万円)以上もらう人は何%?平均受給額を一覧で確認!私的年金の見直しで押さえておきたいポイント
厚生年金を月15万円以上受給している人は、男女全体の受給権者のうち約49.8%です。平均額でありながら、それをクリアしている人は半数に届いていないことになります。厚生年金を受給していない人まで含めて計算すれば、この割合はさらに下がります。
2.2 【男女別】厚生年金を月15万円以上もらえる人の割合
次に、同じデータを男女別に分けて見てみましょう。
【男性】厚生年金の平均年金月額:16万9967円
- ~1万円:3万446人
- 1万円以上~2万円未満:1万257人
- 2万円以上~3万円未満:5404人
- 3万円以上~4万円未満:5185人
- 4万円以上~5万円未満:1万4747人
- 5万円以上~6万円未満:3万9134人
- 6万円以上~7万円未満:13万4214人
- 7万円以上~8万円未満:23万186人
- 8万円以上~9万円未満:26万278人
- 9万円以上~10万円未満:26万99人
- 10万円以上~11万円未満:29万8838人
- 11万円以上~12万円未満:37万6357人
- 12万円以上~13万円未満:45万6689人
- 13万円以上~14万円未満:54万9337人
- 14万円以上~15万円未満:65万7775人
- 15万円以上~16万円未満:76万4713人
- 16万円以上~17万円未満:85万3718人
- 17万円以上~18万円未満:92万6462人
- 18万円以上~19万円未満:95万5327人
- 19万円以上~20万円未満:91万3998人
- 20万円以上~21万円未満:82万204人
- 21万円以上~22万円未満:68万2702人
- 22万円以上~23万円未満:50万9842人
- 23万円以上~24万円未満:34万1191人
- 24万円以上~25万円未満:22万4720人
- 25万円以上~26万円未満:14万7563人
- 26万円以上~27万円未満:9万2856人
- 27万円以上~28万円未満:5万4156人
- 28万円以上~29万円未満:2万9810人
- 29万円以上~30万円未満:1万4935人
- 30万円以上~:1万8801人
【女性】厚生年金の平均年金月額:11万1413円
- ~1万円:1万2953人
- 1万円以上~2万円未満:3880人
- 2万円以上~3万円未満:2万9993人
- 3万円以上~4万円未満:6万3025人
- 4万円以上~5万円未満:6万1945人
- 5万円以上~6万円未満:6万9313人
- 6万円以上~7万円未満:18万892人
- 7万円以上~8万円未満:34万8764人
- 8万円以上~9万円未満:54万1901人
- 9万円以上~10万円未満:75万1358人
- 10万円以上~11万円未満:81万3990人
- 11万円以上~12万円未満:69万5128人
- 12万円以上~13万円未満:52万2466人
- 13万円以上~14万円未満:37万4169人
- 14万円以上~15万円未満:27万1489人
- 15万円以上~16万円未満:20万322人
- 16万円以上~17万円未満:14万7604人
- 17万円以上~18万円未満:10万5489人
- 18万円以上~19万円未満:7万1561人
- 19万円以上~20万円未満:4万8617人
- 20万円以上~21万円未満:3万3387人
- 21万円以上~22万円未満:2万1931人
- 22万円以上~23万円未満:1万4116人
- 23万円以上~24万円未満:8813人
- 24万円以上~25万円未満:5491人
- 25万円以上~26万円未満:3233人
- 26万円以上~27万円未満:1811人
- 27万円以上~28万円未満:927人
- 28万円以上~29万円未満:479人
- 29万円以上~30万円未満:223人
- 30万円以上~:482人
月15万円以上の年金を受給している割合は、男性が68.8%にのぼるのに対し、女性はわずか12.3%にとどまります。同じ「平均15万289円」というひとつの数字の裏側に、5倍以上の開きが隠れているということです。
就労期間や賃金水準の違いが、そのまま老後の受給額に反映されている構図といえます。公的年金は老後の生活設計の基盤ですが、それだけで足りるかどうかは世帯ごとに大きく異なります。まずは「ねんきんネット」や「ねんきん定期便」で自分の見込額を確認し、早めに資金計画を立てておきましょう。
2.3 【シミュレーション】男女差5万8554円は、20年でいくらの開きになるのか
男性16万9967円と女性11万1413円の差は、月あたり5万8554円です。この差が受給期間を通じて続いた場合、累計でどれくらいの金額になるのかを、単純に掛け算して確認してみます(受給額が改定されないと仮定した、一定の前提を置いた試算です)。
- 5年間:5万8554円×12カ月×5年=約351万3000円
- 10年間:5万8554円×12カ月×10年=約702万6000円
- 20年間:5万8554円×12カ月×20年=約1405万2000円
65歳から85歳までの20年間で見ると、男女の差は累計で約1405万円に達します。月あたり5万円台という数字は一見それほど大きく感じないかもしれませんが、20年という時間軸を掛けると、退職金1本分に匹敵する規模の差になるということです。夫婦世帯であれば、この差を世帯合算でどう埋めるかという発想が必要になります。




