老後の暮らしを考えるとき、まず前提になるのは誰と暮らしているかです。

厚生労働省の国民生活基礎調査によると、65歳以上の者のいる世帯は2761万4千世帯で全世帯の50.2%です。その内訳で最も多いのは単独世帯の933万5千世帯で、33.8%を占めます。三世代世帯は159万7千世帯の5.8%です。

この記事では世帯構造がどう変わったのかを確認したうえで、その前提で老後資金がいくら必要になるのかという計算の組み立て方を見ていきます。

1. 【世帯構造】65歳以上の者のいる世帯は3世帯に1世帯が単独世帯

世帯の姿は長い時間で入れ替わってきました。まず全体の数から確かめます。

なお以下では、65歳以上の者のいる世帯と高齢者世帯という2つの母数が出てきます。単独世帯の割合が33.8%なのは前者、53.2%なのは後者です。どちらを母数にした数字かで割合が変わるので、分けて読む必要があります。

1.1 全世帯は5505万8千世帯で、平均世帯人員は2.17人

出発点は全体の数です。

厚生労働省によると、2025年6月5日現在における全国の世帯総数は5505万8千世帯です。平均世帯人員は2.17人です。

1世帯あたり2人強という水準です。世帯の数が増えながら1世帯の人数が減ってきた結果になります。

世帯構造と世帯類型は別の分類なので、足し合わせずに読む1/2

全世帯5505万8千世帯の世帯構造と、65歳以上の者のいる世帯2761万4千世帯の内訳、高齢者世帯の単独世帯と夫婦のみの世帯の割合を並べた図

出所:厚生労働省「2025(令和7)年 国民生活基礎調査の概況 Ⅰ 世帯数と世帯人員の状況」などをもとにLIMO編集部作成

1.2 最も多い世帯構造は単独世帯の35.4%

内訳で一番大きい区分を確かめます。

世帯構造を見ると、単独世帯が1947万7千世帯で全世帯の35.4%を占め最も多くなっています。次いで夫婦のみの世帯が1362万6千世帯で24.7%、夫婦と未婚の子のみの世帯が1340万6千世帯で24.3%です。

上位3つで84.4%になります。ひとり親と未婚の子のみの世帯は368万7千世帯で6.7%、三世代世帯は170万世帯で3.1%、その他の世帯は316万2千世帯で5.7%です。

1.3 世帯類型では高齢者世帯が31.9%

別の切り方でも見られます。

世帯類型を見ると、高齢者世帯は1754万6千世帯で全世帯の31.9%です。母子世帯は54万3千世帯で1.0%、父子世帯は6万9千世帯で0.1%、その他の世帯は3689万9千世帯で67.0%です。

世帯構造と世帯類型は別の分類です。単独世帯という区分と高齢者世帯という区分は重なる部分があり、足し合わせて使うことはできません。

1.4 65歳以上の者のいる世帯は2世帯に1世帯

高齢者が含まれる世帯の広がりです。

65歳以上の者のいる世帯は2761万4千世帯で、全世帯の50.2%となっています。

2世帯に1世帯という水準です。高齢者だけで暮らしている世帯に限らず、子や孫と同居している世帯も含めた数になります。

1.5 その内訳は単独世帯が33.8%で最多

2761万4千世帯の中を見ます。

世帯構造を見ると、単独世帯が933万5千世帯で65歳以上の者のいる世帯の33.8%で最も多く、次いで夫婦のみの世帯が882万8千世帯で32.0%、親と未婚の子のみの世帯が554万9千世帯で20.1%です。

三世代世帯は159万7千世帯で5.8%、その他の世帯は230万5千世帯で8.3%です。単独世帯と夫婦のみの世帯を合わせると65.8%になります。

ただし夫婦のみの世帯には、配偶者が65歳未満の世帯も入ります。65歳以上の者だけで暮らしている世帯は再掲として別に示されており、1753万2千世帯で63.5%です。

1.6 高齢者世帯では単独世帯が53.2%

母数を高齢者世帯に絞ると割合が上がります。

65歳以上の者のいる世帯のうち、高齢者世帯の世帯構造を見ると、単独世帯が933万5千世帯で高齢者世帯の53.2%、夫婦のみの世帯が755万9千世帯で43.1%です。その他の世帯は65万3千世帯で3.7%です。

単独世帯の実数は933万5千世帯で先ほどと同じです。母数が2761万4千世帯から1754万6千世帯に変わるので、割合だけが33.8%から53.2%に上がります。

高齢者世帯の半分以上がひとり暮らしです。単独と夫婦のみで96.3%を占めます。

1.7 単独世帯は女が62.4%

男女の差も示されています。

高齢者世帯の単独世帯を見ると、男は37.6%、女は62.4%となっています。男の単独世帯が351万1千世帯で高齢者世帯の20.0%、女の単独世帯が582万4千世帯で33.2%です。

女のひとり暮らしが男の1.7倍ほどになります。同じ単独世帯という区分でも、男女で規模が違います。

1.8 年齢の山も男女で違う

年齢構成まで見ると差が出ます。

性別に年齢構成を見ると、男は70から74歳が25.0%で最も多く、女は85歳以上が24.5%で最も多くなっています。

男は70歳代前半に山があり、女は85歳以上に山があります。同じひとり暮らしでも、想定すべき期間の長さが変わってきます。

1.9 65歳以上の世帯では、1986年の最多は三世代世帯だった

長い時間で見ると順位が入れ替わっています。

65歳以上の者のいる世帯の1986年の姿を見ると、総数976万9千世帯のうち三世代世帯が437万5千世帯で44.8%を占め、最も多い区分でした。単独世帯は128万1千世帯で13.1%、夫婦のみの世帯は178万2千世帯で18.2%です。

2025年はこれが逆になりました。単独世帯が33.8%で最多、三世代世帯は5.8%です。約40年で、同居して支える形から1人で暮らす形へ最多の区分が移っています。

1.10 全世帯で見ると、順位ではなく差が開いた

母数を全世帯に広げると、話の形が変わります。

1986年の世帯総数は3754万4千世帯で、平均世帯人員は3.22人でした。当時の単独世帯は682万6千世帯、三世代世帯は575万7千世帯で、この時点ですでに単独世帯のほうが多くなっています。

2025年と比べると、単独世帯は682万6千世帯から1947万7千世帯へ増え、三世代世帯は575万7千世帯から170万世帯へ減りました。順位が入れ替わったのではなく、もともとあった差が大きく開いた形です。平均世帯人員も3.22人から2.17人まで下がっています。

誰と暮らすかが変われば、必要になるお金の前提も変わります。では老後資金はいくら必要なのでしょうか。

なお、世帯の前提を置いた老後資金の必要額の計算については、LIMOの記事「老後資金はいくら必要か。最新データで計算した必要額の目安。不足額×平均余命でシミュレーション」から一部を引用・参照しています。

老後資金はいくら必要か。最新データで計算した必要額の目安。不足額×平均余命でシミュレーション
老後資金はいくら必要か。最新データで計算した必要額の目安。不足額×平均余命でシミュレーション